アプリ導入で事業課題を解決

押久保:事前ミーティングの際にデジタルを活用する際に、広告・マーケティングの発想から離れて、アプリを活用し結果的に事業課題を解決し、マーケティング面でのシナジーも生み出したという話があったかと思います。それについて教えていただけますか。
岩田:とある飲食チェーンの事例です。飲食店の課題に行列の解消が挙げられますが、この飲食チェーンではアプリ上で受付・予約機能を搭載し、待ち時間の解消に取り組みました。これにより、待ち時間の解消という事業の課題解決はもちろん、マーケティングの観点で見ても、アプリ利用ユーザーの利用金額やオーダー状況が分析できるメリットがあります。店舗での売り上げとオンラインの施策は今まで結びつけることができなかった中で、とても画期的といえます。
押久保:手段にとらわれずに、自由は発想でデジタルを活用した結果、従来の事業課題およびマーケティング上の課題双方の解決に至ったというわけですね。このような例は珍しいと思いますが、成果の可視化、計測に関しては、阿座上さん、どのようにお考えですか?
阿座上:まだできてない部分が多いのが現状ですね。当社のピクトケーキは、PC・スマホ・アプリと3つのポイントでコンバージョン計測を行ったところ、8割がアプリからでした。しかし、デバイスの多様化やアプリの登場によってCookieによる追跡が困難になり、ユーザーがどういった経路でコンバージョンに至ったのかが不透明になっています。先ほどのアプリの事例は、施策の効果を可視化しているため参考になりますね。
商品の深い理解につながることが重要
押久保:では話題を変えて、先ほど岩田さんよりお話しがありました、刈り取りに使われるSEMの施策が飽和している一方で、コンテンツマーケティングなど見込み客潜在層へのアプローチが注目されていますが、社内の状況を教えていただければと思います。まず、阿座上さんからお願いします。
阿座上:例えばピクトケーキでは誕生日に使われることが多いためか、施策後すぐにコンバージョンにつながるケースは少なく、平均でコンバージョンに至るまでに1ヶ月くらいかかるということがわかってきました。コンテンツマーケティングで商品のことをより深く知っていただき、時間をかけてでも一度試していただくのが重要だと思っています。
押久保:なるほど。加藤さんはいかがですか?
加藤:日々の生活の中で、「あー、一番搾り飲みたいな」って常に考えている消費者なんていないと思うんですね。当社が「ノミモノ」を始めたのも、消費者とのタッチポイントを増やし、ビールのことを思い出してもらいたいのが狙いです。ですので、他のメディアや企業とタイアップをして、そこにいる消費者にも「ノミモノ」に来てほしいと思っています。
押久保:岩田さんは、コンテンツの支援ソリューションも提供していますが、いかがですか?
岩田:コンテンツマーケティングは、手間もコストもかかるのでとても面倒というのが背景にあります。しかし、今までのようにSEMのみで効果が右肩上がりには伸びない時代ですので、SEMに依存しない継続的なコミュニケーション戦術が必要だと思っています。
押久保:SEMも保ちつつ、次の+αの施策が必要ということですね。コンテンツマーケティングは面倒だというお話がありましたが、阿座上さんはどう思われますか?
阿座上:面倒なことをどう捉えるかだと思います。私としては、消費者とコミュニケーションをとって、ファンになっていただく活動の一つだと思っています。ただ、友達になりましょうと握手しただけですぐ友達になれるかというと、そうではないはず。友達になるために、日々何を語りかけるかを考えることが必要で、それを面倒だと思ったら、もちろん友達はできません。
押久保:わかりやすい例えですね。加藤さんはどうですか?
加藤:正直、手間はかかりますね。他社タイアップの窓口は私で、代理店も入れていないため全て自分で進行しています。ただ手間に関しては悩みに感じていなくて、それよりも売上などの結果とのつながりを説明するのが難しく、悩んでいます。