クラウドがマーケターの負担を下げる
MZ:まだツールを使いこなす余裕がないマーケターもいると思いますが、いかがですか。
青木:それは課題としてあります。特にマーケティング専門組織が少人数だと大変ですね。例えば我々のクライアントのカルチャー教室では、マーケティング組織が2~3名というケースもあります。
ただ、ツール内の機能を取捨選択すれば解決できると考えています。先ほどのクライアントでは、Sitecoreの持つ機能から取捨選択して作業を効率化し、講座のレコメンデーションを機械学習ソリューションのAzure Machine Learning(以下、Azure ML)で行いました。Azure MLを使った結果、PVや滞在率が10%も上がり、自動でレコメンドされるので運用工数を下げることもできました。
MZ:Azureを基盤としてKenticoやSitecoreを導入することで、自動化が進みマーケターの負担が軽減されるんですね。
青木:クラウドを基盤にすることでデータ連携が簡単にできるというメリットがあります。先述のカルチャー教室では、もともとはデータ基盤としてAzureとSitecoreを採用しており、Azure MLの活用は後から始めました。Azureが基盤だったことで、スピーディーかつ容易にデータ連携が可能になりました。
MZ:カルチャー教室がAzureを導入するに至った理由を教えてください。
青木:クラウド環境にすることで、サーバーのスケールを柔軟に上げ下げしたいというニーズがあったからです。カルチャー教室のサイトでは、四半期に一度、講座を一斉公開する日があり、その日はサイトに急激な負荷がかかります。オンプレミスの環境だとサーバーの処理能力にバッファをとっておく必要がありましたが、Azureのようなクラウド環境なら、その負荷がかかる瞬間に合わせてスケールを上げることが可能です。この柔軟性は、短期的なキャンペーンで急激にサイトPVなどが上がりやすいマーケティング領域においては、とても魅力的かと思います。
機能拡充がスピーディーなのも魅力
MZ:Azure MLでコンテンツのレコメンデーションを行うに至った経緯を教えてください。
青木:Azureの導入当初から、レコメンドを使いたいという要望はあったのですが、その当時Azure MLが機能として存在しませんでした。しかしサイト公開から1週間後に、Azure MLが正式にリリースされたため、導入に至りました。この時に、Azureを基盤にしていると機能が次々と拡充されるというメリットも感じましたね。
MZ:そうした機能拡充のスピードは速いですか?
上坂:様々な機能が日々アップデートされています。マーケティング領域で最近役立つ機能としては、Web閲覧履歴だけでなく、コールセンターの履歴など様々な形のデータをつなげることが容易になりました。
これまでは、データをつなげる場合、それぞれのデータを加工する必要がありましたが、現在は加工することなくつなげることができます。
青木:デジタルマーケティングではWebログが重視されることが多いですが、Webサイトにコンテンツが少ない場合、実はあまり価値がない。企業によっては、コールセンターや実店舗など、別のデータなら多く持っているケースもありますよね。本来であればオンライン・オフライン問わず全てのデータをクラウド上で管理して、マーケティング施策に活かすのが理想なので、この機能拡充もマーケターには有益かと思います。
渡邊:実際にWebの購買履歴だけでなく、実店舗での接客データもDBにためておき、それをECサイトのレコメンドに反映して売り上げを伸ばしたクライアントもいます。
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