ストリーミングサービス元年だった2015年
レコード、カセットテープ、CD、MD、そしてダウンロードと、音楽を楽しむ媒体は時代とともに変化してきました。そして、恐らく最終形態であろうと思われるものが、ストリーミング音楽配信サービスです。専用の再生機器もソフトもいらず、端末のストレージさえ使うこともなく、ネットワークを介してクラウドに保存されたデータをいつでもどこでも聞ける時代へ、ついに人類は到達したのです。
最大の特徴は、「定額で聴き放題」という点。国内外で続々と開始され、プレイヤーが出揃った感のある現在、はたしてストリーミングサービスにはどのような展開が待ち受けているのでしょうか。
音楽ファンにとって、2015年は「ストリーミング元年」だったといえるでしょう。サービス自体は何年も前からありましたが、Apple、Google、AmazonといったIT界の巨人、国内でもLINE、サイバーエージェント、エイベックス、ソニー・ミュージックなど、名うてのプレイヤーたちが一気にこの市場に参加してきた節目の年となりました。一種のブームでもあり、スマートフォンとブロードバンド、そしてクラウド環境という条件が整ったことによる必然的な変化ともいえます。
今回は、「聴き放題(サブスクリプション)」の特徴、「CD不況」は変わるのか、そして、ストリーミングサービスがミュージシャンにとって敵なのか味方なのかを考えてみたいと思います。
結局、どのサービスがいいの?
とはいえ、みなさんが最も気になっているのは「結局どれがいいの?」だと思います。比較表を作ってみましたので、まずはこちらをどうぞ。
こうして見ると、各社微妙な違いがあることがわかりますが、注目したいのは、大手プレイヤーのストレージ容量です。クラウド保存できる曲数や動画サービスの並行利用など、まさに物量でガンガン攻めている印象があります。これは、企業としての体力、これまでに培ってきた大量のストレージを捌くインフラ技術の蓄積があってこそでしょう。
一方、気になるのは邦楽の充実度です。日本の一般的なリスナーは、洋楽より邦楽を好む傾向があります。音楽ストリーミングを一般層に広く浸透させるためには、いかに邦楽のラインナップを充実できるかがカギでしょう。その意味では国内企業が有利といえるかもしれません。
しかし、誰もが知っているような国内の大物ミュージシャンの名前は、2016年1月現在、どこのサービスを探しても見つかりません(この理由は後ほど分析するとしましょう)。