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ゼロスタートが提示する、EC検索データ活用の可能性(AD)

「検索データの活用はECに留まらない」アド領域へ歩を進め、レビュー活用を見据えるゼロスタートの戦略

 EC向け検索レコメンドエンジン「ZERO ZONE」シリーズを提供するゼロスタート。2016年2月に経営企画部を新設し、ソフトバンクでEC事業・アドビジネス事業を手がけてきた松田忠浩氏が参画した。同氏の参画により、ゼロスタートはどのように進化するのか。ゼロスタート 代表取締役社長 山崎徳之氏、そして松田氏の両名に聞いた。

2016年、アド向けソリューションの本格展開をスタート

MarkeZine編集部(以下、MZ):ゼロスタートといえば検索テクノロジーを活用したECソリューションが有名ですが、2016年2月に元ソフトバンクの松田忠浩さんを迎え、事業のさらなる拡大を目指されるようですね。

山崎氏:当社はこれまで検索レコメンドソリューションのシリーズ「ZERO ZONE」を提供し、多数のECサイトやWebサービス企業の方から高い評価をいただいてきました。そして、昨年(2015年)6月に広告配信最適化エンジン「ZERO ZONE AD」の提供を始めています。

株式会社ゼロスタート 代表取締役社長 山崎 徳之氏
株式会社ゼロスタート 代表取締役社長 山崎 徳之氏

 ZERO ZONE ADは、消費者の検索行動を基にニーズを理解して、配信する広告を最適化するアド業界向けソリューションです。おかげさまで、非常に多くの問い合わせをいただいたのですが、残念ながら従来からのECソリューションの提供が手一杯で、アド向けの方は十分にお応えできていなかったのです。また、アド事業を始めるに当たり、さまざまな課題も感じていました。

 今回、松田さんをお迎えしたのは、このような課題を解決し、アド事業を加速したいと考えたからです。さらに、新たな事業立ち上げにもお力をお借りしたいと考えています。

MZ:具体的にどのような課題があったのでしょうか。

山崎氏:どの業界でも同じことがいえますが、アド業界もビジネスを進める上で人とのつながりは重要です。ZERO ZONE ADは広告配信最適化エンジンなので、広告配信プラットフォームの提供企業とのパートナーシップを進めていく必要がありますが、やはりそこで必要になるのが人脈です。

 松田さんはアド業界での実績もある上、ソフトバンクでEC事業を立ち上げてきた経験もあるので、当社の事業拡大には最適な方です。今後、ZERO ZONE ADの本格展開を始め、そのほかの新規事業の立ち上げにもご協力いただきたいと考えています。

エンジニア集団に不足しがちなビジネスデベロップメントを補強

MZ:松田さんがゼロスタートに参画されたきっかけは何でしょうか?。

松田氏:私は2016年1月末までソフトバンクに在籍し、14年間インターネット事業に携わってきました。まずEコマースサービスの立ち上げ・事業拡大に8年間、次いでデジタル広告事業を5年半以上手がけてきたのです。そうした中、40歳という節目の年齢になり、自分のノウハウを生かして新しい事業に貢献したいと考えました。

株式会社ゼロスタート ECソリューション事業部 副部長 松田 忠浩氏
株式会社ゼロスタート 経営企画部 松田 忠浩氏

 山崎さんとの出会いは、あるデジタルマーケティングのカンファレンスがきっかけです。そこからプライベートも含めてお話しさせていただき、その人柄に惹かれました。仕事や趣味にかける情熱の強さは素晴らしい。コミュニケーションをとる中で、一緒に仕事をさせていただきたいと考えました。

MZ:なるほど。そこでゼロスタートに参画を決めたのですね。

松田氏:私にとっての意義は3つあります。1つめは、いま申し上げたとおり山崎さんの魅力です。ぜひ一緒に仕事をやりたいと思いました。2つめは、ゼロスタートというエンジニア集団が持つ可能性です。

 私自身はビジネス系の人間なので、周囲もマーケティングや事業開発に強い方が多いです。そのためエンジニアリングの方面は、あまり強くありません。裏を返せば、ゼロスタートのような優秀なエンジニア集団がいま悩んでいるのは、私のようなビジネスデベロップメント系のノウハウを持つ人間の不足です。そのため、シナジー効果をうまく出せるという期待や自信もありますし、また、自分にない才能を持つゼロスタートの事業に参画に対し高揚感を抱いています。

 3つめは、現在アド業界でデータ活用が進んでいる状況の中、データ活用に圧倒的な強みを持つゼロスタートをドライブしていくという、仕事人としてのやりがいもあります。

MZ:ECのご経験はどのような場面で発揮できるとお考えですか

松田氏:ECは、サイト構築からバックエンドの物流まで、本当にゼロから立ち上げました。Webで消費者が商品を買って、ものが手元に届くまでの流れをすべて構築したなかで、各プロセスにおけるデータ活用が何より重要だと理解をしています。

 ゼロスタートには、データをうまく活用してEC事業者を支援する技術もソリューションもあります。一方、私は、ECサービスの立ち上げか軌道に乗せるまでのプロセスを構築するノウハウを持っています。技術とプロセスをつなぐ際に、私のノウハウを活かせると考えています。

DMPもレコメンドも本質は同じ、違いは消費者側に立つか否か

MZ:山崎さんにお伺いします。ゼロスタートにとって、アド業界に参入する意味はなんなのでしょうか。

山崎氏:ZERO ZONE ADは配信プラットフォームではありません。ですから、厳密にいうとアド事業への完全参入ではないのです。当社が目指しているのは、広告配信の最適化という分野です。

 広告配信最適化というとDMPが思い浮かぶかもしれません。対して、当社の強みは検索とレコメンドエンジンの技術です。検索とレコメンド技術を中核にしたビジネスは9年前から始めていますが、この姿勢は一貫して変わっていません。

 検索とレコメンドを端的に言い表すと、「消費者のニーズに合った情報を勧める」ことです。実はこれは、DMPの本質と一緒なんですよ。

MZ:DMPの本質と、検索とレコメンドエンジンが提供する意義が同じということですか。

山崎氏:そうです。DMPの本質は「企業が出稿する広告を、消費者に最適化して配信する」ことにあります。消費者からしても、自分が求めている有用な広告が配信されれば嬉しいはずですし、企業にとっても良い結果になる。

 しかし現実はあまりそうなっていません。この理由は、DMPのソリューションが主に広告主に向けてのものなので、消費者の目線になっていないところにあります。必ずしも消費者にとって有用になっていないのです。当社が目指しているのは、消費者のために最適化された広告を配信すること。これは、売り手の企業側にとっても効果的なはず。当社が目指している分野は、まさにここです。

アド領域でも信頼を勝ち取る鍵は「誰が語るか」

MZ:とはいえ、広告配信の最適化という本質は配信プラットフォームベンダなども目指していると思います。ここを踏まえ、ゼロスタートの強みはどこにあるのでしょうか?

山崎氏:当社の強みは検索レコメンドのノウハウです。これが最大のポイントです。当社のパーソナライズドECソリューションは、ユーザーが検索した結果を最適な順番で表示するソリューションですが、この検索結果は、EC事業者にとってみれば広告と同じなのです。

 なぜならレコメンドとは「この検索条件で買うのならば、これがいいですよ」というEC事業者からの提案ですから。実際、当社のパーソナライズドECソリューションは、検索キーワードを基に消費者のニーズを探り、それに最適な結果をパーソナライズして表示しているので、効果も高く、ユーザーの方から喜ばれています。

 これに対し、一般の広告がなぜ嫌がられる事が多いのかといえば、出す側の論理で押し付けてくるからです。クリック錯誤を誘導するような見せかけ広告や、何度も追いかけてくるリターゲティング広告は、消費者に押し付け感を与えるのです。

 その点、検索キーワードは、「今まさに消費者が求めている情報」にほかなりません。そのデータを活用し、実績を出してきたからこそ、消費者に最適な広告配信ソリューションが可能だと考えています。

MZ:松田さんは、ZERO ZONE ADの事業拡大に向け、具体的にどのような活動を展開していくのでしょうか。

松田氏:先ほど山崎さんが話したように、新しいビジネスを始めるには、その業界に向けた人脈作りが鍵になります。信頼していただくには、技術力はもちろん前に立つ人間にも重要な役割があります。

 幸い私は長年アド事業に携わっていたこともあり、ゼロスタートにジョインした旨をFacebookでお知らせしたところ、「詳しく話を聞かせてほしい」という問い合わせを多くいただきました。ありがたいことに、今はこうしてインバウンドで引き合いをいただいている状態です。これを受け、引き続きパートナーシップを確立すべく、具体的な話を進めていく予定です。

 アド事業はまさに始まったばかりです。足元からきちんと関係を固めて一つひとつ実績を作り、私たちの強みや価値を確信していただく。まずはここからですね。

次に目指すのは「レビューを活用した最適マッチング」

MZ:冒頭に「松田さんに新規事業の立ち上げにもご協力してほしい」という言葉がありました。具体的な事業計画がありましたら教えてください。

山崎氏:いま注目しているのが「レビュー」情報です。検索キーワードがファーストパーティデータならば、レビューは集合知そのものです。つまり、レビューデータを使って掘り下げができるんです。

 例えばレストランのレビューでも、5点満点中、平均で3.8点のレビューがついていれば「いい店」と判断しがちです。レビューの内容をよく見てみると、「量が多くて安い」点が高く評価されているお店もあれば、「ホスピタリティの高さ」が高く評価されているお店もあります。学生にとっては前者の方がいい店でしょうし、ある程度ゆとりのある人にとっては後者の方がいい店かもしれません。

 このように、「40代以上の男性が高い評価をする店」「30代女性の辛口評価が多い店」など、さまざまな条件によってレビューにも違いがあるはずです。ところが現実は、星の評価にだけ注目が集まって、レビューで活用されるべき情報の価値が薄まってしまっている。本来、レビューは「評価の平均値」と「属性」を分離して考えるべきなんです。

 ところが実際には、そこまでレビューは活用されていません。海外ではレビューの積極活用が始まっていますが、日本ではまだ「何かを選ぶ時の参考にしよう」程度。レビューには、もっと活用できる余地があります。次はこの分野をやっていきたいと考えているところです。

テクノロジーの強さをエバンジェリストとして伝えていきたい

MZ:具体的にどのようなソリューションになるのでしょうか。

山崎氏:レビューの活用ができれば、ECや広告配信の精度も上がりますし、一般的なEC以外のところまで適用範囲が広がると考えています。具体的には、自動車購入やマンション・家などの不動産購入に加え、病院や幼稚園・保育園などのサービスを選ぶ際などにも当社のエンジンの適用範囲が広がる可能性があります。

 実は2007年にも同様のことを考え、自社でレビューサイトを立ち上げたのですが、時期尚早だったのか、うまくドライブしませんでした。いま考えると、何もかも自社内で集約してやろうとして負担になってしまったのかもしれません。

 レビューを活用してレコメンドを提示するとき、オーディエンスデータがあった方が精度が上がりますから。このような反省や改善点を踏まえて、今後レビューにビジネス領域を広げていく際には、パートナーシップを組んで進めていきたいと考えています。ここでも、先ほど同様、松田さんが立つ意味は大きいですし、期待もしています。

MZ:アド事業進出に続いて大きな構想があるのですね。では最後に今後の展開について抱負をお聞かせください。

松田氏:ゼロスタートの強みは、なんといっても検索レコメンドのテクノロジーです。この技術力が高いからこそ、多くの企業から評価されているのです。私はそのテクノロジーの強さや優位性を、エバンジェリストとして、より一層多くの企業に伝えていきたいと考えています。

山崎氏:当社はやはりテクノロジーオリエンテッドな文化なので、ソリューションとして世に広めるところは松田さんの力に期待しています。

 まずはZERO ZONE ADについて、アド向けプラットフォームとしてもソリューションとしても、多くの企業の方に利用していただき、消費者・企業の間を最適に取り持つ存在になりたいですね。

ゼロスタートのソリューション情報はこちら

●EC商品検索/サイト内検索エンジン「ZERO ZONE SEARCH」

●レコメンドエンジン「ZERO ZONE RECOMMEND」

●広告最適化エンジン「ZERO ZONE AD」

●ゼロスタートの製品に関するお問い合わせはこちらから

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/03/03 10:55 https://markezine.jp/article/detail/23962