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こんなにも愛してくれるのか。コミュニティに飛び込んだブランド担当者が見た「ファンの熱狂度」

手厳しい意見も愛ゆえのこと

宮本:コミュニティの参加者に変容は見られますか?

田嶋:商品やイベントの感想をコミュニティ外の方々に共有してくださるかたが増えました。例えばご自身のブログやSNS、@コスメといったサイトで情報を発信してくださっています。コミュニティの会員は一言で表現すると熱量が違う。実体験を交えた、メーカーでは考えがつかないような情報も踏まえて、語ってくださいます。

宮本:先ほど、「モノからコトへ」と仰っていましたが、感想を伝えるという体験や、ほかのファンの意見を聞いて購入を検討するという新たな体験が生まれているのですね。

田嶋:その通りだと思います。実際にお会いした後に丁寧な手書きのお手紙をいただいたり、ブランドをイメージした曲を作ってくださったりと購買以外の行動をとっていただけています。こんなにブランドを愛していただけるのだな、と感動しました。

 愛情という面では、手厳しいご意見を多くくださるかたもいらっしゃいます。そのようなかたほど、エスプリークを本当に好きでいてくださっていると思っています。例えば、商品の効果をビフォーアフターで発信したことがあるのですが、それでは足りない、実際の良し悪しが伝わらないとご指摘いただいたことがあります。その際になんと「こうした方がもっと良い」と、ご自身の左頬と右頬に別の商品を使用してその結果を発信してくださった。そこまでやってくださるのか、と胸が熱くなりました。

推奨度×熱狂度で見ると、LTVにも違いが見える

宮本:1年間はトライアル的な運営とのことでしたが、KPIはどのように設定されたのでしょうか? また、成果は見られていますか?

田嶋:成果指標はコミュニティ参加率などを見ています。そのなかで、最近わかり始めたことがあります。それは、推奨度と熱狂度の二軸を取ったときに、相関は間違いなくあるということです。

宮本:熱狂度と推奨度とはどのようなものでしょうか

田嶋:推奨度は、NPS調査です。商品を他の人に薦めるかを11段階で調査して批判者・中立者・推奨者に分類しました。一方、熱狂度はエスプリークを「はまっている・愛着を感じている・好き・悪くないと思っている・興味関心がない」の5段階で調査して、分類しました。

 すると、外部パネルで調査した一般のエスプリークユーザーと比較して、コミュニティ参加者は推奨度も熱狂度も高いかたが多いことが分かりました。そして、このかたがたは、実際のLTVも高い

 具体的な数値でいうと、熱狂度が高いかたは平均的なかたと比べると、お求めいただいている商品の金額が3~4倍になっています。今後、この軸で様々な施策の効果検証をしていきたいと考えています。

次は質・量にこだわる

宮本:今後はどのようにコミュニティを発展させたいですか?

田嶋:2年目は質と量にこだわっていきたいと考えています。現在コミュニティは約1000名。一方、エスプリークはマス向けのブランドです。パレートの法則で考えると現在のコミュニティはブランドを支えてくださる2割を満たせてはいません。そこを増やしていきたいです。もちろん、コミュニティ内での関与率も同じく2割は維持していきたいですね。

 また、Dressing Roomでは会員同士の対話も重視しています。ですが、会員によっては会話を望まなかったり、より深い商品情報を知りたかったりと、興味関心は異なると思います。ですから、コアは持ち続けつつも、コミュニティという枠からファンが集うサイトへと拡張させたいと考えています。最終的には、ここに来ればエスプリークのことは何でもわかるし、愛用者からの自発的な発信もある場所にしたい。

宮本:エスプリークの利用者が、単純に商品を使うだけじゃなく、サイトに訪問することで体験が深められるという仕組みでしょうか

田嶋:そうですね。体験は蓄積していくものですし、その蓄積はブランドにとっての財産になると考えています。極端な話ですがエスプリークのブランドサイトに、イメージキャラクターの女優さんやモデルさんと並列してお客様がいる姿を目標にしています。

宮本:ブランドに利用者が参加する未来は、素晴らしいと思います。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

宮本 昌尚(ミヤモトマサナオ)

 株式会社トライバルメディアハウス 共創マーケティング部 部長。アクセンチュアのITコンサルタントを経て現職。ソーシャルメディアの黎明期から、ソーシャルメディアマーケティングの戦略策定や、オウンドメディアのソーシャル化支援、リスク対策、国内外のFacebookページ構築運用支援のプロジェクトマネージャーを勤める。その後、共創マーケティング部を立ち上げ、コミュニティの戦略策定から商品の企画提案を担当。過去に担当したクライアントはキリンビール、KFC、P&am...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/03/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/24076

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