カスタマージャーニーを強化する「4つのMAプログラム例」
施策が定まれば、いよいよMAを活用してカスタマージャーニーを強化するステップに入る。「BtoC企業がMAを活用する場合、意識すべきはカスタマージャーニーにおける有効な顧客接点を自動化すること」だと加藤氏。効果的なMAプログラムとして、次の4つを例示する。
- マルチチャネルのジャーニー
- LINEのCRM連携
- ソーシャル広告とメール連携
- モバイルアプリのプッシュ活用
マルチチャネルのジャーニー
Webの行動履歴を使ったパーソナライズメールの配信など、複数のチャネルをクロスして、顧客に一貫性のあるメッセージを届けるプログラムだ。店舗の購買履歴データベースとMAをつなぐことで、ECのレコメンデーションに店舗での行動を反映するといったこともできるだろう。多店舗展開している企業であれば、顧客データベーの住所も活用し、近隣店舗のキャンペーンを案内することもできる。
LINEのCRM連携
LINEは普及率もさることながら、他の会員登録と異なり住所や電話番号などの個人情報を登録する必要がないため、企業と顧客が接点を持つハードルが圧倒的に低い点が特徴だ。LINEデータとCRMデータを連携することで、購買履歴を元にLINEでクーポンを送るといったOne to Oneのアプローチなどに活用できる。
ソーシャル広告とメール連携
FacebookやTwitterが提供しているカスタマーオーディエンスの機能をMAと連携すれば、自社が保有するメールアドレスとソーシャルアカウントに登録された情報をマッチングすることができる。例えば、広告配信において既存顧客を除いた効率的なアプローチが可能となる。または、Facebookの誕生日情報をフックに広告オファーを出すといった活用も考えられる。事実、メールとソーシャル広告を組み合わせることで、購入率が22%アップしたケースもあるという。
モバイルアプリのプッシュ活用
スマートフォンにダウンロードされたアプリへのプッシュメッセージも有効だ。スケジュールに基づいたプッシュ通知はもとより、位置情報やビーコンと連携させた配信ができる。例えば、休眠ユーザーの掘り起こしやロケーションに合わせた情報提供ができる。
MAを活用した施策は様々なものが考えられる。重要な事は「適切な施策を判断すること」であると加藤氏は注意を促す。「コストやオペレーションのリソースも鑑みて、手軽にできるところから優先順位をつけて取り組むことが大切です」(加藤氏)
店舗スタッフの知識をデジタル化させた「エノテカ」
では、既にMAの活用を実践している企業はどのような成果を出しているのか。加藤氏は最後に、実店舗とECで約5万本のワインを販売する「エノテカ」の事例を紹介した。
エノテカでは顧客の性別や年齢層などの属性、予算や味の好み、購買履歴を統合してデータ化。店舗のスタッフが知識と経験をもとに「このワインが好きなら、これも飲んでほしい」という嗜好ベースのコミュニケーションをデジタルでも実現している。
具体的には、ECサイトで初回購入をした顧客に対して利用期限が1週間のクーポンを提供するとともに、新たなワインを紹介する。そこで行動がなければ、さらにお得なセール情報を案内。それも買ってくれなかった人にはたの情報やオプションをつけるというシナリオを「Salesforce Marketing Cloud」で設定、展開している。その結果、ECサイト新規購入者の2回目購入率が1.5倍向上した。
「シナリオ作りは大変だと思われがちですが、Marketing Cloudの場合はドラッグ&ドロップで行なえ、瞬時にシナリオをテストできます。最適なタイミングでお客様と適切なコンタクトを取ることが容易にできるのです」(加藤氏)
エノテカがこのような成果を出せている背景にも、カスタマージャーニーの可視化と施策の検討があっただろう。自社のカスタマージャーニーをいかに更新し、MAを用いて顧客と新しい関係を築いていけるかが重要だ(エノテカの詳しい記事はこちら)。
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