シルク・ドゥ・ソレイユはコンセプトを売っている
シルク・ドゥ・ソレイユのバイス プレジデント、アルマ・デリックス氏が登場。サーカスという、まさにその場でしか味わえない「体験」を売っているのが彼らだろう。ショービジネスは、リアル以外の他のメディアで表現しきれない魅力がある。ショーを録画したものを家で見ても、ステージでの体験とはまったく異なる意味合いとなる。それはパフォーマーとの物理的な距離感の違いがあるためで、シルク・ドゥ・ソレイユでは「近さ」も体験の重要な要素となっているのだ。デリックス氏によると「私たちはショーを売っているのではなく、コンセプトを売っている」ということだ。

さらに、観客との心的距離感を縮めるための創意工夫も続けている。例えば、一般的なショーでは派手なBGMや効果音を多用するのに対し、シルク・ドゥ・ソレイユでは意図的に音を小さくし、パフォーマーのちょっとした会話を聞こえるようにするという試みを行っている。そうすることで、舞台上での物語とは異なる、パフォーマー同士や舞台裏にあるストーリーを伝えようとしているのだ。
ストーリーを伝える工夫はステージ上に留まらない。「シルクショップ」というダンス教室も開いている。そこでは、シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーが講師を行い、ショーとは別の形で顧客と接点を設けているのだ。これもストーリーを作って人を惹きこむ工夫の一つだ。
Adobeも取り組んだ「スパークセッション」とは
アクロバティックなサーカスは危険と隣り合わせだ。そのため、安全性を保つためにもチームは強い信頼関係で結ばれていなくてはならない。そこにもストーリーがある。そのストーリーを伝え、また社会的意義のあるものにしているのが「スパークセッション」。シルク・ドゥ・ソレイユのレッスンを体験するというプログラムだ。Adobeでもこのプログラムに参加したという。

オフィスなどの日常的な環境から離れ、ストレッチやステージ上での立ち回りなど、普段やらないことを参加メンバー全員で取り組む。信頼関係の組み立て方やチームビルディングについてとても多くのことを学べる。同時に、シルク・ドゥ・ソレイユの舞台裏にあるストーリーを体感できるという仕組みだ。
では、次にハリウッドを代表するスターの話を見てみよう。