LINE上で集客から購買までシームレスに完結
杉本氏は、先述のアカウントの機能拡張を前置きとした後、ビジネスプラットフォームのオープン化戦略を発表した。

「LINEバイトやLINE NEWSといったサービスを提供する中で、多くの知見を蓄積することができました。また、ヤマト運輸様とパートナーとなり、LINEを活用した再配達通知を始め、メールに比べた反応率は160%、そして再配達のコストも下げることに成功した事例もあります(関連記事はこちら)。そして数々の事例から学んだことを、より多くの企業に使ってもらえるよう、ビジネスプラットフォームとしてオープンにしていきます」(杉本氏)
そして杉本氏は、その「オープン化」について3つの軸で発表した。1つ目はWebサービスを提供する事業社向けの「Offcial Web App」だ。これは、自社のWebサービスとLINEアカウントを連携させ、LINEアカウントを起点に集客・アクション誘導・リピート促進まで、ユーザーの行動をLINEアプリ上でシームレスに完結できる仕組みだ。
具体的には、パートナー企業に対し、LINEアカウントの各種機能を企業向けにAPIで提供している「LINE ビジネスコネクト」、ならびにオートログインや個人情報入力サポートツール「プロフィール+」、また前ページで紹介された新機能を自社サービスに実装できる。
これにより、メッセージのパーソナライズ化はもちろん、ユーザーの情報入力の手間を省いて離脱を防ぐなど、コンバージョン率の向上が期待できる。
そして「Offcial Web App」に対し、杉本氏は以下のように解説する。
「この機能の特徴はWebアプリだということです。ネイティブアプリは、新規開発やアップデートも必要で、何よりユーザーへ新たにアプリをインストールしてもらう必要がある。その一方で、Offcial Web Appであれば、LINE上での集客もでき、アップデートや新規開発はいりません」(杉本氏)
そしてこの機能に関しては、45社のパートナーが参加し、対応していくとのことだ。

スモールビジネス向けの機能も加速
杉本氏は「オープン化」の2つ目として、飲食や小売店鋪など中小規模の事業者向けに提供してきた「LINE@」の活用を推進するため、「SMEパートナーシッププログラム」を開始すると発表した。同プログラムでは、店舗向けWebサービスを提供している事業者をSMEパートナーとして認定。パートナーには13社が選ばれている。

そして、これらのパートナーとLINEは、サービス連携や提携店舗への導入促進を優先的に協力して行っていくとともに、下記の機能が提供される。
1. LINE問合せ:ユーザーと企業のコミュニケーションにLINE@を利用したチャットシステムを導入促進
2. LINE@連携システム:SMEパートナーが運営するシステムとLINE@のメッセージングAPIを組み合わせた連携システム開発と導入促進
3. Account Plug-in:SMEパートナーの持つコンテンツや企業向けのソリューションをLINEアカウントの拡張機能・コンテンツとして組み込むための開発と導入促進
この中で、杉本氏は「Account Plug-in」が同プログラムの核になると話す。
「Account Plug-inを利用することで、LINE上のホームページといえる、プロフィールページ上でSMEパートナー企業のサービスも導入できます。中小規模の事業者は、LINEとSMEパートナーのサービスを掛け合わせ、例えばLINEで情報を閲覧後、店舗予約まで全て完結することができ、集客につなげることができます」(杉本氏)
最後の三つ目は、開発者向けの「オープン化」だ。「BOT API」「Beacon」「Chat AI」に関する発表があったが、中でも注目すべきは「Beacon」だろう。これにより、LINEを活用したO2Oプロモーションがより行いやすくなる。LINEではスタートトゥデイとの取り組みを5月に開始するのを皮切りに、順次各社とも提携を進めていく。
そして最後に、杉本氏はこれら3つの「オープン化」における今後の展望について語った。
「企業と個人のコミュニケーションにおいて、電話、メール、企業アプリの代わりに、LINEを利用いただくことで、リアルタイムでパーソナルかつ心のこもったエモーショナルなやりとりを実現していければと思います」(杉本氏)