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デジタルマーケティングプラットフォーム「Microsoft Azure」の魅力とは?(AD)

マイクロソフトとアドビの連携で変わるデジタルマーケティング、大規模分析でPDCAサイクルを劇的に向上

 2015年春、アドビ システムズ(以下、アドビ)から発表された「アドビとマイクロソフト、マーケティング、販売、顧客サービスの変革に向け提携」というリリースに驚いた人も多いだろう。このリリースでは、マイクロソフトのCRM「Microsoft Dynamics CRM」と、アドビの統合マーケティングソリューション「Adobe Marketing Cloud」の連携を示していたが、このニュースの前後でアドビとマイクロソフトの連携はPrimetimeとMedia Services、Adobe AnalyticsとPower BI、Experience ManagerとAzure VM等が行われていた。このアドビとマイクロソフトの連携について、アドビ システムズ デジタルマーケティング プロダクトマネジメント部門 製品統括責任者-JAPAC市場 上原正太郎氏は、「Microsoft Azureと連携することで、蓄積されるデータの成長に合わせた柔軟なマーケティングプラットフォームが実現できます」と語る。

アドビとマイクロソフトがアライアンスを組む3つの理由

 マイクロソフトとのアライアンスにおける大きな疑問は、「同じクラウドソリューションなのに、連携することでどのようなメリットがあるのか」ということだろう。これについて上原氏は、「柔軟なマーケティング分析環境の迅速な実現」「データサイエンティスト不足の支援」「高速・高度な分析と施策の融合」という3つの利点を挙げている。

アドビ システムズ株式会社 デジタルマーケティング
プロダクトマネジメント部門 製品統括責任者-JAPAC市場 上原正太郎氏

 「柔軟なマーケティング分析環境の迅速な実現」とは、具体的にどういうことか。上原氏は「オンプレミスで実現していた柔軟なデータ環境を、クラウドの強みを生かして迅速に実現することです」と説明する。

 オンプレミスのメリットは、利用目的や要件に合わせて柔軟に構築できることである。たとえば、アドビ システムズ(以下、アドビ)の提供する「Adobe Marketing Cloud」(以下、Marketing Cloud)はマーケティングプラットフォームとして必要な機能を備えており、Webサイトのアクセスログやユーザーの動き、ソーシャルリスニングや広告効果の測定など、さまざまなデータを分析できる仕組みが搭載されている。これにCRMシステムのデータや基幹システムの売上実績などをインポートして、総合的なマーケティング分析を行うこともできる。とはいえ、オンプレミスの方に優位点があるのも事実だ。

 「やはり、より多くの膨大なデータを使うのならば、オンプレミスで環境を整えた方が利便性は高いでしょう」(上原氏)

 しかし、オンプレミスの最大の欠点は、要件定義からハードウェア選定、導入工数などでかなりの工数・コストがかかること。クラウドの利用が当たり前になっている今日、一からシステム構築をしていては、変化の速いデジタルマーケティングの潮流の中に取り残されてしまう。こうした問題を解決するのが「Microsoft Azure」(以下、Azure)だ。さまざまなデータソースとの接続口を備え、膨大なデータ量を格納できるAzureは、Marketing Cloudを補完した上、クラウドというメリットを生かして大量のビッグデータを収集・分析できる基盤を迅速に構築できる強みを持つ。

データ分析のサイクルを高速化

 「データサイエンティスト不足の支援」に関しては、Azureが提供する「Azure Machine Learning」(以下、Azure ML)と呼ばれる機械学習ソリューションが解決に導く。通常、データ分析を行う場合は、データサイエンティストの手により、対象となるデータを洗い出して分析モデルを当てはめ、関連性や予測分析などを進めていくが、社内にデータサイエンティストを抱えている企業は数多くはない。一方マーケターは、統計解析の専門家ではないので、高度な分析になると時間がかかる。

 Azure MLはこうした課題を解決するソリューションで、機械学習により、予測モデルの精度を自動的に向上させていく。さらに、直感的に利用できるAzureの分析コンポーネント「Microsoft Power BI」を利用すれば、データサイエンティストがいなくても、マーケター自身で高度な分析が行えるようになるという。

 上原氏がAzureとの連携によるメリットとして最後に挙げた「高速・高度な分析と施策の融合」も重要なポイントだ。なぜならマーケティング部門のミッションは、何らかの施策を打ち、売上拡大などビジネス効果を得ることにあるからだ。その施策立案のためにデータ分析があるのであって、分析して終わりというわけではない。Azureで実現した高度な分析を、具体的に施策に落とし込むMarketing Cloudにもう一度返すことで、マーケティング施策のPDCAサイクルが劇的に向上するのだ。

 「これまで、膨大なビッグデータをマーケティングに活用するには、システム構築の工数、データ分析の工数、そしてマーケティング施策に落とし込む工数と、それぞれの過程で時間がかかっていました。Azureとの連携により、こうした課題をすべて解決できるのです」(上原氏)

マーケティング部門とIT部門の消えゆく垣根

 今回のAzureとの連携は、「施策の効果を上げるため、高度なデータ分析を行いたい」というマーケターのニーズに応えるもの。だが上原氏は、「マーケターだけではなく、実はIT部門にとっても大きなメリットがあるのです」と語る。

 近年のデジタルマーケティングの進化により、マーケティングとITの境界はあいまいになってきている。だがこれはテクノロジー観点から見た話であり、実際の企業の中ではどうかといえば、マーケティング部門とIT部門の融合は進んでいない。

 Web広告の出稿や効果測定、アクセス解析であれば、マーケティング部門の範疇で収まっていたが、基幹システムデータやクラウド環境にあるビジネスデータまで含めた分析を求める場合、IT部門の協力は不可欠となる。だがこれまでは、両者の間に「どんな目的で、何をどうすれば良いか」を話し合う共通言語がなかったのだ。

 Marketing Cloudは、CMOやマーケターなどマーケティングに携わる人を中心に支持されてきた。実際、国内外の著名企業でも活用されており、その高度なソリューションには定評がある。一方マイクロソフトは、データベースやシステム基盤、業務アプリケーションなど、CIOやIT部門を通じてビジネスを支援してきた。Azureも、ビジネスクラウド環境として数々のSI企業やITベンダーからの協力の下、事業会社での活用が進んでいる。マーケターに強いアドビと、IT部門の信頼があるマイクロソフトが連携することで、マーケターのニーズとIT側の要件を固めた、強固なデジタルマーケティング・プラットフォームが実現するという。

クリエイティブを含めた広告戦略も展開可能に

 アドビがデジタルマーケティングプラットフォーム実現のアライアンス先として、マイクロソフトを選択した理由は何なのだろうか。

 上原氏は「マーケティングに携わる人は多種多様になっています。そんなさまざまな立場からのニーズを実現するため、Marketing Cloudはオープン性を重視しており、エコシステムとしていろいろなソリューションをいかにプラグインしていくかを考えています。この点においてAzureは、それ自体が柔軟性あるクラウド基盤であることに加え、分析コンポーネントや連携のためのAPIコンポーネントが充実しており、強固なプラットフォーム構築が可能になります」と語る。

 実は、アドビとマイクロソフトのアライアンスはこれが初めてではない。マイクロソフトが提供するタブレット・Surfaceに特化したクリエイティブ・ソリューション「Adobe Creative Cloud」(以下、Creative Cloud)をリリースし、クリエイターの創作活動支援を共同で展開した実績がある。こうした背景を踏まえ、上原氏は次のように説明する。

 「ご存じのとおり、もともとアドビはクリエイター向けソリューションで定評があり、映画や広告業界で活躍するデザイナーやフォトグラファーを支援してきました。そうして制作したコンテンツを企業がマーケティングに活用する中、『マーケティング効果を分析したい』ということで、マーケティング分野にソリューションを拡大してきたのです。今回のAzureとの連携も、クリエイティブ分野で培った両社のアライアンスをマーケティング分野に適用したい、ということから実現しました」(上原氏)

クリエイティブ制作から結果検証まで一気通貫で実現

 クリエイター向けのCreative Cloudには、制作したコンテンツを管理する「Adobe Experience Manager」がある。これには企業が持っているさまざまなクリエイティブコンテンツと、クリエイターが新規に制作したコンテンツを自動同期する機能があり、新しいクリエイティブに更新する場合は自動的に企業側のクラウド環境に格納される仕組みになっており、それをAzure上に保管する体制が組まれたという。

 コンテンツは本来、ターゲットとなるオーディエンスのアクションを促進するために作成されるものである。そのために、マーケティング側で分析した結果に基づきセグメントを分け、最適なクリエイティブを制作し、それをモバイルやPCなどデバイスによって出しわけることで、より効果的にキャンペーンを推進できる。この一連のプロセスの中で、データ管理や分析部分はAzure、コンテンツ管理やキャンペーン実行管理をMarketing Cloudが担当。これにより、高度な分析に基づく魅力的なコンテンツ提供を可能にし、効率的なOne to Oneマーケティングが実現できる。

 例えばAzure MLで得たクラスタリングやレコメンデーションをMarketing CloudのAudience ManagerやCampaignやTargetにつなぐことで、より細かなターゲティングや精緻なレコメンデーションに活用できる。また、その結果をAzureのデータプラットフォームに蓄積し、蓄積されたデータを使い分析を高度化させることも可能だ。これらのクリエイティブ制作から保管、データの格納、分析、そして施策の実行と結果検証まで一気通貫で実現できるのは、Marketing CloudとAzureの連携ソリューションだけだ。

ハイブリッドなデジタルマーケティング人材育成の可能性も

 本格的にデジタルマーケティングを推進するのならば、マーケターとIT部門それぞれのニーズに応じたシステム環境はもちろん、マーケティングとITの両方がわかるハイブリッド型人材が必要になるといわれている。業界全体で見ると、広告代理業者がSIerのスキルセットを吸収しようと努力していたり、反対にSIerも広告ビジネスやマーケティングの知識を得ようと努力しているケースが増えているという。

 「Marketing CloudとAzureの連携により、マーケティング基盤として、技術的にマーケティングとITの融合が加速するのは確実です。マーケターに強い当社と、IT部門に信頼されているマイクロソフトがアライアンスを組むことと同様に、これまで垣根があったマーケティングとITの融合は人材の方でも進む可能性があります。デジタルマーケティングを進める上で、技術的なソリューション以外に、お互いの知見やノウハウが共通語として育っていくのは、これからの企業に必要なのではないでしょうか。

 マイクロソフトもそうですが、弊社パートナーのソフトバンク・テクノロジーなどもIT部門とマーケティング部門、双方に価値を提供する支援サービスを提供しています。そういったベンダーに相談をしてみることも、具体的な解決策に繋がると思います」(上原氏)

 既に多数の企業において導入実績のあるMarketing Cloud。今後はMicrosoft Azureとの連携により、機械学習による高度な解析に裏打ちされたOne to Oneマーケティング施策の効果を、更に多くのデジタルマーケターに届けるものと期待される。今後の展開に要注目だ。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/04/27 15:16 https://markezine.jp/article/detail/24196