現場では、無駄な業務やPDCAの改善が課題に
こうした大きな目標に加え、運用型広告の現場では業務上の課題もあった。それらに対しても、Marinの機能は大いに期待できたという。現場の課題としてSEMプランナー 渡邊智也氏は「これまで代理店にキーワードの入札調整を一任していたため、社内にノウハウが蓄積できない側面がありました」と語る。
さらに代理店を変えるたびに、入札ツールのアカウントを変更したり、キーワードを再設定したりなど、手間も生じていた。
また、広告効果の検証においても、代理店との定期的なミーティングで結果を共有し、その時点で入札停止やクリエイティブの絞り込みを行っていたため、適切なタイミングでの打ち手が取れないという課題もあった。細かい点でいえば、代理店から上がってくるレポートの数値もその都度確認を取っていたので、それだけで時間が経ってしまう。将来を見据えた戦略的な話は何もできず、「結果を見て打ち手を変える」だけに終始していたという現実があった。
MarinはGoogle Adwords、Yahoo! Japanスポンサードサーチといったサーチ広告やGoogleディスプレイネットワーク(GDN)やYahoo! Japanディスプレイアドネットワーク(YDN)といったアドネットワークをパブリッシャー横断で入札や運用管理を行い、何か突発的な事象が起これば自動アラートを出す機能やレポーティング・分析機能を備えている。また社内データとも連携でき、獲得単価やCVRだけでなく、事業との関連性を含めて分析することも可能だ。以上のことから、「Web広告の正しい運用」という大きな目標だけでなく、現場の課題解決にもつながると考え、導入を決めたという。
Marinの導入でCVR、CPAが大きく改善、PDCAサイクルも迅速化
現在、同社においてMarinは大きく3つの分野で活用されている。第一に「自動入札」だ。自動入札には様々な戦略があるが、同社では「DMM」を含む「ブランドワード」と、それ以外のワードで自動入札を推進している。ブランドワードは、社名やサービス名を想起させる重要なワードであるため、常時検索トップに掲載されるようにMarinを使ってGoogle, Yahoo! Japanを横断して順位指定入札を行っている。
それ以外のワードに関しては、投資対効果をもとに目標CPAを設定し、各キーワードで自動入札による調整を行っている。渡邊氏によると、この自動入札機能によって、広告の無駄クリックが削減できたほか、細かい入札調整ができることでCVRが劇的に改善。数値で見ると、導入前に比べCVRは1.4ポイント向上、CPAも30%ほど改善したサービスもあるそうだ。
第二に、アラートメールだ。「たとえばニュースに取り上げられるなどでキーワードのimp数が急激に増えた場合、すぐ対応できるようにMarinからアラートを送ってもらいます。さらにもうひとつ、運用調整用にもアラートメールを利用しており、CPAが極端に高かったり、またはコンバージョンが多いのにCPAが非常に低かったりといった時に、メールで通知するように設定しています」と渡邊氏。以前に比べ、毎朝アラートメールをチェックして、大きな変動の確認や対策を立てられるようになったという。
第三が検証レポートだ。これはランディングページや広告バナーの検証レポートを自動出力する機能で、これにより現場側ですぐに広告効果が確認できる。「以前は代理店との打ち合わせの後でしか対策が取れませんでしたが、現在は有意差が出た時点でクリエイティブを絞り込んだり、配信を停止することができます。これにより、無駄な広告出稿コストを抑えることができるほか、現在どのような訴求メッセージが有効かを即時確認できるようになり、検証結果が出る前に次のクリエイティブ作成の方針を立てられるようになりました。これにより、クリエイティブ検証のスパンや精度が上がっていると実感しています」(渡邊氏)