「AIの一般化」で起こる変革の時代
こうした未来を見据えて、現在RITが進めているのが「AIの一般化」だという。これは、AIを一部の専門家のものにするのではなく、ビジネスに携わるすべての人がAIを使って自社内の課題を分析し、新しい価値を生み出すことを目的にしたものだ。
リクルートでは、このように誰もが「レンジでチンする」感覚で機械学習を扱える環境を目指し、AIプラットフォームを提供する米データロボットの出資に至った。これにより、データサイエンティストの費やす時間が「分析に8割、問題の定式化に2割」だったのが、「分析2割、問題の定式化8割」とさらに付加価値の高い業務にシフトできるという。
そして、「こうした技術の一般化は、新しい職種や事業、付加価値の創造をさらに加速させる」と石山氏は語る。
「たとえば、クラウドの発展によりシステム構築のコストが下がったことで、起業するエンジニアが増えました。そこから高性能なシステムの汎用化が進むと、今度はデザイナーが起業するようになり、グロースハッカーやデータサイエンティストなど新たな職種が続々と起業するようになりました。AIの一般化は、新たな職種が生むきっかけになると思います」(石山氏)
そしてマーケターもAIの一般化による影響を大きく受けると石山氏はつづけ、「マーケターは広告投資のみならず、データサイエンティストの採用、さらにはAIを使って自ら発想したアイデアを実現するなど、視野を広く持って仕事をすることがいずれ必要になるでしょう。もしそれができれば、マーケターは今後のビジネスの最先端を走ることができるのでは」と石山氏は語り、講演を締めくくった。