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統括編集長インタビュー

「自らの価値を言語化し、チーム一丸で突き進む」注目Fintechベンチャー・マネーフォワード成長譚


思い込みがユーザーとの「ギャップ」を作った

── まさに、車の両輪のような感覚ですね。失敗談はいかがでしょうか。

森:失敗談というか教訓なのですが、自分たちの思い込みで機能をリリースすると、ユーザーが必要とするニーズとのギャップが生まれ、よい体験につながらないと学びました。

 一例を挙げると、予算機能を一時リニューアルしたのですが「予算管理とはこうあるべきだ」という考えから、変動費と固定費を分けて管理する機能をリリースしました。固定費は毎月変わらないコストだから、日常的に予算管理するのは変動費のみにしたのです。

 ただ、実際に蓋を開けてみると、ユーザーからは不評でした。機能がこれまで以上に複雑になったり、そもそも、きっちりと家計簿をつけている方はごく一部で、多くのユーザーはざっくり把握できればよい、というニーズを持っていたのです。

 マネーフォワードの提供するベネフィットの1つは「家計簿をつける面倒さの解消」なので、後者のニーズの方が強いのは、冷静に考えて見れば当たり前かもしれませんが、当時は気づきませんでした。

 ただ、サービス側の思いとユーザー側の欲しいものがぴったり合うことなんて、ほとんどないのです。なので、重要なのは「失敗を恐れずに改善していく姿勢」です。

 また、当社は元LINE代表取締役の森川亮さんに社外取締役として参画いただいてるのですが、森川さんから「仮説の精度を上げることが重要」とアドバイスをいただきました。精度を高めることで、リリース前の機能であっても、ユーザーニーズに近い機能がリリースできるようになります。教訓やアドバイスで学んだ以降は、大きな失敗はなくなってきています。

── 「仮説の精度をあげる」。言うは易く行うは難しと言いますが、一朝一夕でできることではないですよね。

森:そうですね。仮説の精度をあげるために必要なことは、シンプルに考えると「ユーザーにいかに寄り添えるか」という点に尽きると思います。

 繰り返しになりますが、私たちが提供したい価値は「お金に対する不安の解消」です。お金に振り回される生活ではなく、お金をコントロールして、ユーザーやその家族が描くライフプランの実現をお手伝いしたいと思っています。

社会の変化にあわせ、自らも変わっていく

── 最後に、今後についてそれぞれの思いを聞かせてください。

森:これから、ユーザー層が変わるタイミングなのかなと感じています。男性会社員で独身の方も、もちろんですし、お子様がいらっしゃって子供の教育費はどうしよう、保険はどうしよう、家の購入はどうしよう、という悩みを持った方々の支援にも力を入れていきたいですね。そのためにも、ユーザー層の変化に対応できる基盤を構築して、もっともっとサービスを磨いていきます。

 これからの社会を想像し、その社会に対して自分たちはどんな価値を提供していきたいのか。そのためにはどんなアクションを起こしていけばいいのか。5年後、10年後を想像して一歩一歩進んでいきたいと思います。

 また、情報を知らないためにユーザーが損をする状況が歯がゆくて、マネーフォワードでは、お金に関する情報も継続して発信しています。こうした、お金に関するリテラシーの向上も支援していきたいですね。

細谷:マネーフォワードは元々、代表の辻が留学した際に知った個人向け資産管理サービス『Mint.com』から着想を得てスタートしました。アメリカは確定申告を自分で行わないといけないので、資産管理サービスが根付く下地があります。

 日本のユーザーは異なった環境で育ってきているので、Mint.comと同じようなことをしてもユーザーに響くとは限りません。サービスを利用いただいているユーザーが何を求めているのか、徹底的に追求していきたいと考えてます。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/07/08 14:31 https://markezine.jp/article/detail/24514

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