商材によってクロスデバイスのシナリオ設計に関心
MZ:広告主の意識としては、いかがですか?
江川:まだ、具体的にスマホで接触してPCで刈り取るというシナリオを明確に描くケースは多くありません。単純にユーザーはどちらも見ているので、両方でアプローチしたほうが効果を見込めるといったところです。ただ、たとえば金融などのフォームの入力項目が多かったり、年配の方の利用が多く、コンバージョンがPCで起こりやすい商材や業種だと、先のようなシナリオ設計への関心は高いですね(参考情報)。
MZ:御社の課題感としては、どうでしょうか?
矢吹:前述のようにネット接触や機会そのものは純増していても、データ自体がフラグメントになってしまっている状況はあります。そこを一本の線でつないでターゲティングし、結果を計測することに今まさに注力しています。
MZ:今は、クロスデバイス=PCとスマートデバイスになりますが、今後IoTやスマートテレビなどが広がると、広告配信可能なスクリーンがますます増加します。こうした状況下では、さらにクロスデバイス接触に期待がかかりますね。
江川:そうですね。また、新しい仕組みやデバイスだけでなく、既存のCRMを参照すれば、リテンションにも取り組めます。実際に施策に落とし込まれ、結果の検証などが進んできています。インターネットの広告出稿とCRMは部署が異なることが多く、組織的な課題もあるのですが、CRMを掛け合わせるとコンバージョン数が15倍となったり、CPAが半分になったなどの事例は増えつつあります。
Yahoo! DMPとYDNで広がるアプリ広告配信
MZ:では具体的に、Yahoo! DMPとYDNを活用してできることを教えていただけますか?
江川:これまでもYDNのみで、クロスデバイスへの配信やアプリへの配信は可能でした。ただ、広告主様のアプリ内でのユーザー行動をもとにした配信は行えていませんでした。
Yahoo! DMPを使えば、ユーザーのアプリ内での行動をもとにしたユーザーリストを広告主様から連携いただくことで、対象のユーザーに対してクロスデバイス/クロスチャネルでリテンション施策を実施することができ、さらにYDNの類似ユーザー拡張機能を活用することで、優良ユーザーになる可能性の高いユーザー層に絞って新規獲得施策を実施することも可能となります。
矢吹:補足すると、これまでは、ユーザーが複数のデバイスを使い、またスマホでもWebとアプリを行き来する中で、単一デバイスの情報だけではそのユーザーをつかみきれないのが大きな課題でした。
それを今回、たとえばアプリに関しても広告識別子(IDFA/Advertising IDなど)をYahoo! DMPに組み込むことで、それをトリガーにPCもスマホもアプリもすべての情報を統合してユーザーを捉えることがまず可能になります。その上でYDNを運用することで、ユーザーを点ではなく面で捉えたターゲティングができる。それが非常に大きなメリットです。