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スマートフォンはデジタルコンバージェンスの産物/テレビ離れの真実【新世紀テレビ大学レポート】


スマートフォンはデジタルコンバージェンスの産物

株式会社電通 電通総研 メディアイノベーションラボ 統括責任者
メディアイノベーション研究部 部長 奥 律哉氏

奥:内閣府が発表している消費動向調査では、1969年から2016年まで、100世帯あたりのテレビの普及台数の推移データが公開されています。100世帯当たりの数値なので、200で1世帯当たり2台テレビを保有しているということです。2005年の252.0をピークに、家庭のテレビ保有台数は減っていきます。家の中の人の人数はおよそ2.4人なので、2台では足りないですよね。テレビ局の番組も、2番までに入らないと視聴されない苦しい時代です。そんな状況で、生活者の手元にタブレットやスマートフォンといったデバイスがあって、そこでテレビコンテンツが消費されているのならば、そこを計測していく方針につながっていくのは自然なことです。

境:テレビ離れの要因は、テレビが面白いかどうかとは別に、様々な環境変化も起因しているということですよね。昔はみんな、家にいる時間の4割ぐらいはテレビを見ていた状況が、がらっと変わってしまったということですね。

奥:要は、簡単に言うと昔は家に居させすればよかったわけですよ。雨が降ったり電車が止まったりすると、自ずと視聴率も上がっていた。

遠藤:ECと一緒ですね。

奥:ええ。でもその様子がだんだんと変わってきたのです。

境:ではここで遠藤さん、メディアの椅子取りゲームの話をしていただけますか。

遠藤:これはささっと書いた図で少しデータが古く、2014年のものです。テレビやPC、携帯電話に加えて、ゲーム機までスマートフォンに生活者の可処分時間が流れていきました。

境:PCをはじめデジタル系は伸長していくのかと思いきや、全てがスマートフォンに吸い込まれていったと。結局のところ、テレビの視聴時間が減った、生活者に受け入れられなくなったという前に、この近年でスマートフォンが非常に重要なものになってきていることに違いはありません。では、生活者はスマートフォンでいったい何をしているのでしょうか。

奥:スマートフォンで何してるの?って聞くと、LINEやってるよとかみんな言いますよね。でも実際のところは、言うほど覚えてなかったり。そこで2015年7月にインテージさんのi-SSPのWi-Fiを活用し、ログ分析をかけて実態を調査しました。 ランチタイムとゴールデンタイム、プライムタイムの時間帯に注目すると、スマートフォンの3分の2が起動しています。

 またアプリの起動回数は平均で50回。中でも女性10代は1日に平均で65回アプリを起動しており、極端な結果では300回使っている人もいました。なぜこんなに回数が多くなるのか。例えばLINEにメッセージが届くと、すぐに返信しないと既読スルーになってしまうので、アプリを頻繁に切ったり起動したりするです。毎分毎秒使われているスマートフォンは少しせわしないですよね。

遠藤:そうですね。

奥:で、とても面白い結果もあるんです。ゲームユーザーと言えば、若年層男性のイメージが強いかと思いますが、実は年配の女性が一番長く使ってたのです。

遠藤:世の中の常識って、変わりつつありますよね。今の奥さんのお話を聞いて、本当そうだなと思います。スマートフォンはまさにデジタルコンバージェンスの産物なわけです。「スマートフォン」とひとくくりにまとめてしまうと、危険な分析に向かってしまうのでは。

デジタルコンバージェンス:デジタル技術や通信技術の発達により、放送・通信・出版など異なるメディアが一つに統合・収斂していくこと

境:スマートフォンを外で使ってる時と家で使ってる時で、使われる用途もそれぞれ異なりますしね。

奥:モードチェンジというか。

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テレビ離れの真実

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2016/07/15 12:12 https://markezine.jp/article/detail/24651

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