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スマートフォンはデジタルコンバージェンスの産物/テレビ離れの真実【新世紀テレビ大学レポート】


テレビ離れの真実

境:では最近よく言われる「テレビ離れ」の実態について考えていければと思います。結局はネットでテレビのコンテンツを見ているだけじゃないかという話もあったりしますが。

奥:かつてはテレビといえば、やはりチューナー内臓のテレビのことを指してたわけです。それが今では、動画という意味で何でも見れる時代になったわけです。コンテンツとしてのテレビがどうかといえば、生活者は見ていますよね。

 また動画ってどうなるのってよく聞かれることがあるのですが、「動画」とひとくくりにしている時点でアウトだと思います。今流行っているコミュニケーション型の素人的な動画と、いわゆる我々が考えるプロのクリエイターが作る尺の長い動画は別物ですよね。

 よく冗談で話すのですが、スマートフォンを横にしてフルスクリーンでYouTubeを見ていませんか?これはおっさんの行動です(笑)。若い人はスマートフォンを縦にしたままYouTubeを見るんですよね。再生している動画下に表示されるレコメンデーションで次に何を見るか考えながら動画を見るのが若い子のスタイルです。

 フルスクリーンの動画は、若い人にとってはテレビみたいなんですね、スマートフォンではそんな行動はしない。だからこそ、縦動画の波が今きているのです。そこにメッセージやコミュニケーション、広告、コンテンツといった役割をどう与えていくかが求められています。

株式会社角川アスキー総合研究所 取締役主席研究員 遠藤 諭氏

遠藤:AbemaTVなどは、新しいカテゴリーを作ったという見方でしょうか。

奥:Abemaはテレビ的に振る舞うというか、縦長ではなく横長のインターフェースにこだわって作っていますよね。だからこそ、400万ダウンロードまできているのだと思います(AbemaTVは2016年7月11日時点で500万DLを突破)。だけど、スマートフォンベースのものは飽和感があるので、やはり見たいという動機づけの視点からはから言うとテレビのコンテンツは強い。将来的には、テレビはテレビのままでいくのではと思います。

境:サイバーエージェントの藤田さんは、「習慣が大事だ」と言っていましたね。キラーコンテンツよりも、帯で何をするかが大事と。

奥:結局のところ、オーディエンスがコンテンツをどう受け取るか、その文脈というか間合いに尽きるのでは。これはアナログでもデジタルでも変わらない。「いつ(Time)」「どこで(Location)」「どんな気分で(Mood)」「どんな心理で(Scene)」の4つの要素にオーディエンスの視聴環境はまとめられると思います。それら4つの要素を判断した上で、コンテンツを提供しない限りは、うざいものになってしまう。

 例えばリターゲティングはうざいとよく言われますが、「Timing」と「Scene」は違うので、そこをクリアできるかどうかです。また現状のレコメンデーションでは「Mood」と「Scene」がコントロールできていないので、まだまだ物足りない。4つの要素がうまく含有されてコンテンツが生活者に届いたときに、その間合いの中でテレビCMや企業メッセージが自然に伝わっていくのでは。

境:さて、それでは時間になりました。結論が出たというよりは、何となく方向性を示すことはできたという感じでしょうか。本日は面白いお話を、どうもありがとうございました。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2016/07/15 12:12 https://markezine.jp/article/detail/24651

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