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動画マーケティングの最新情報・成功事例を紹介!「動研」出張版

「初めての動画マーケティングだったが、予想以上の成果」WWFの動画活用事例

ブランド向上とエモーショナルな表現を両立させた動画は、内外ともに高評価

── 「消えゆくトラを守ってください」といったキャッチーなコピーが印象的なのですが、こうしたコピーはどなたが考えられたのですか。

 最初に作った紙のプロモーションでは、以前からずっとお付き合いのあるコピーライターやデザイナーが所属している広告代理店にお願いしました。動画ではそのコピーを活用しています。

── WWFさんとのオリエンテーションでは、動画で伝えたい内容やコンセプトについて、非常に丁寧な説明があったとクリエイターからきいています。そうした点は意識されていたのでしょうか。

 私たちは科学的、理性的な環境保全団体であるというブランドイメージを大切にしています。絶滅に瀕している動物が「かわいそう」という共感は喚起したい一方、過度にエモーショナルな内容で煽るような動画だと、そのブランドイメージが崩れてしまうリスクがあるのではないかと考えていました。クリエイターの方が、そうしたもう一つのジレンマの問題も汲み取って、上手く絵コンテに落としてくださったなと思っています。

 できあがった動画には、「かわいそう」という感情に訴えかける部分も含まれているのですが、過激に煽ることはしていない。具体的にこの点が良かったから、上手くいったという分析はできないのですが、非常に良いクリエイターさんとマッチングいただいたなと思っています。

 内部から否定的な意見が出ることも予想していたのですが、他のセクションからも良い評価や反応をもらえました。ファンドレイジングで動画を作るのが初めてで、これが失敗すると次は難しいと思っていたのでホッとしました。

── 動画を活用したプロモーションを始める前と後では、何か変化したことはありますか。

 キャンペーンは全体的に非常に上手くいきまして、ざっくり言うと前年度の2倍程度の支援をいただくことができました。その中で、動画が貢献してくれた割合というのは非常に高かったと感じています。Facebookのコンバージョン数も伸ばしてくれましたし、TrueViewも上手くいきました。また、gooddoさんでも、いい数値だったので、非常に動画を活用して良かったと感じています。

 もちろん、その成功は動画だけではなく、猫好きの方にネコ科の動物保護を訴えるターゲティングとセットとなっての結果なので、動画単体の効果を定量的に抜き出すのは非常に難しい。

 とはいえ、多くのユーザーの方からネコ科の動物を守ってくださいとコメントをいただき、Facebookでの投稿で「いいね!」などのリアクションをしていただけた。そうしたアクションをしていただいた方には、その後入会もしていただいた方が複数人いらっしゃることが分かっています。

今後の動画マーケティング戦略における課題と可能性

── 今後は動画を含めてファンドレイジングに関する戦略をどのように進めていくのか、何か方向性があったら教えていただけますか。

 アイデアベースでは、動画を活用したいくつかの企画が進行していますが、今後も動画を活用していくには、いくつか考えないといけない事があります。一つはコスト面と制作面における制約です。というのは、WWF全体としても良い動画素材が豊富にあるわけではありません。今まで制作してきた動画も、限られた素材の中から厳選して作りました。

 WWFが動画を作るということになれば、やはり野生生物についての映像が必要になるのですが、動画のためだけに野生動物が生息する地域に撮影に行くことは、コスト面を考えると現実的ではありません。

 すでにある素材から選ぶとしても、NHKのスペシャル番組のようなハイビジョンクラスの映像に慣れてしまっている、目の肥えたユーザーが満足できるような解像度の映像を探し出すのは、非常に難しいのです。このように、コスト面や制作面での制約条件が多くありますので、そこをクリアする必要があります。

 あとはWWFに共感していただくため、動物保護や環境保全に尽力している現地のスタッフのコメントなどをもっと紹介したり、今流行している360度動画を利用して、現地の広大なフィールドに思いを馳せてもらうみたいなことを想像しています。

 それができればもう少しサポーターや支援を考えている方に、臨場感を持って自然環境の実態について感じてもらえるのではないかと思っています。ぜひチャレンジしていきたいですね。

── 自分があたかもその活動に参加しているように感じられる動画ということですよね。それは非常に拝見してみたいなと感じました。効果も高そうですね。 この度は、非常に参考になるインタビューをありがとうございました。

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この記事の著者

小野 敬明(オノ タカアキ)

外資系コンサルティングファームにて戦略コンサルティングに従事した後、2014年に企業のデジタル動画マーケティングを支援する株式会社Viibarに参画。自社のマーケティング活動を統括すると共に、動画を活用したマーケティング戦略や、データを基にした動画の企画・制作メソッドの開発を行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/09/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25077

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