日本コカ・コーラが見つけ出した「アプリ普及の鍵を握る3要素」
今回の「Coke ON」プロジェクトは、主に3つの大きなハードルがあると考えていい。1つ目は全国各地にある自販機を順次アプリ対応化していくこと、2つ目は専用アプリのダウンロード数(DL数)を伸ばすこと、3つ目はアプリの利用(購買行動)だ。
「特に、ダウンロード数を伸ばし、アプリを普及させる難しさは十二分に承知しています。まずは、都市部や利用率の高い自販機から優先的に「スマホ自販機」TM化を進め、夏のリオデジャネイロオリンピック開催ごろから、さらに本格的な専用アプリのプロモーションを行うようにして、現状は全国的に広がりを進めているところです」(豊浦氏)
施策の実行にあたって、日本コカ・コーラは日本を含む全世界でのアプリに関する分析を行ってきたという。そこで、利用頻度の高い企業発のアプリについて、3つの特徴を割り出した。
「1つ目がバリュー、2つ目がユーティリティ、3つ目がエンターテインメントです。これら3要素を押さえたアプリなら、DL数を伸ばせるだけでなく、アクティブユーザーを増やせることがわかってきました。そのアプリを、コカ・コーラブランドと生活者が接点を持つ自販機で利用できれば、コカ・コーラ独自の体験を提供できるというわけです」(豊浦氏)
目標は「Coke ON」を通じた新たな体験が習慣になること
もちろん、この施策は自販機ユーザーに対して、自販機で購入する前にアプリを起動するという手間(ハードル)を求めることになる。その点をどう考えているのだろうか?
「おっしゃるように、購買時に手間が生じます。ですが、新たなハビット(習慣)へと育てていきたいのが、私たちの願いでもあります。高いハードルですが、「スマホ自販機」TMの普及が進みながら、専用アプリを使うとお得で(バリュー)、便利で(ユーティリティ)、楽しい(エンターテインメント)と感じてもらえれば、決して実現できない目標ではないと考えています。スマホユーザーが増えた現代だからこそ、強く成果を意識できる現実的なビジネスとして、もっと全国的にスケールを狙っている段階です」(豊浦氏)
利用喚起の一つが、冒頭で触れた、スタンプを15個集めると1本プレゼントという仕組みだ。
「実は2014年から、カード式のロイヤリティプログラムを展開していて、これが後に「Coke ON」のスタンプサービスを企画開発する際の試金石となりました。例えば、オフィス内にある自販機には固定のお客様がついているので、ロイヤリティプログラムカードを設置して、購入時にカードを自販機にかざすとカウントアップされる仕組みを実装しました。10本、15本、20本と、本数別で1本プレゼントの枠組みをパターン別で試すと、15本に1本プレゼントという割合が、もっともROI(投資対効果)が高いことがわかり、Coke ONでも15本で1本の割合でスタートしています」(豊浦氏)
こうしたテストを経て、全国各地のオープンな場所へと舞台は移り、カード形式はアプリへと姿を変えた。
