最強のマーケティングはパンクだ!
毎月変動が少ない「マーケティング・宣伝」の分野のトップに、いきなり2冊新刊がランクインしました。そこで今回注目したのは、2位に輝いた『ビジネス・フォー・パンクス』(honto/Amazon)です。手元の300万円ではじめたクラフトビールの会社が、クラウドファンディングで資金を集め、発足から8年で70億円を売り上げるまでになったという奇跡の実話。この一文だけでもおもしろそうですが、その理由を探ってみました。
英国を代表するクラフトビール会社創業者の著作がついに発売!
ランキング初登場2位の『ビジネス・フォー・パンクス』。手元の300万円ではじめたクラフトビールの会社が、クラウドファンディングで資金を集め、発足から8年で70億円を売り上げるまでになったという奇跡の急成長を、創業者自身が語った本です。
英国では2015年11月にすでに発売され、アマゾンの「起業」ジャンルで1位を独占していました。その日本語訳がついに発売されたということで、感度の高い人たちが買い求めたと考えられます。
創業者の名前はジェームス・ワット。ビール会社の名前はBrewDog(ブリュードッグ)。看板商品の「PANK IPA」は、ホップを大量に使った華やかな香りが特徴です。BrewDogは今や英国を代表するクラフトビール会社になっており、同社のビールは日本でもスーパーやコンビニで手に入るので、名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
BrewDog(ブリュードッグ)は2007年、英国で創業した会社です。当時24歳だったジェームスとマーティンが、共同で事業を起こしました。当時、元手が300万円しかなかった2人は、クラウドファンディングで資金を調達しようと考えます。しかし、普通のことをしていたのでは、名もなく若い2人に投資してくれる人を集めることはできません。また、自分たちが作ったビールを宣伝するときにも、莫大な広告費がかかってしまいます。そこで2人は、世間を驚かせる「パンクな」マーケティングを考えました。
- マイナス30度の冷蔵庫に裸で入り、動画に撮ってブログに載せる
- 車にはねられたリスの死骸を、ビールのパッケージにデザインする
- 英国の国会議事堂の壁に、創業者2人の裸の写真をプロジェクターで写す
- 大量生産された他社のビールの瓶をゴルフクラブで割る
パソコンやスマホが普及している現在、この戦略は見事に成功。SNSで拡散されるなど、書き込みはたちまち世界中で話題になりました。つまり、お金をまったくかけずに自分たちの事業を世界中に発信することに成功したのです。英国といえば、有名なパンクバンド「セックス・ピストルズ」や斬新なデザインで人気を集めるファッションブランド「ヴィヴィアン・ウエストウッド」をはじめとしたパンク発祥の地。パンク文化が根づいた国だからこそ生まれたマーケティングと言えるのかもしれません。