SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

カスタマージャーニー研究プロジェクト(AD)

お客様の当たり前を追求し「気が利くね!」を醸成していきたい、三井住友カードのコミュニケーション改革

配信の最適化が生んだ、メール開封率2〜3倍の向上

 Marketing Cloud導入や全社的なCXへの意識改革を背景に、2016年7月から部署横断的に発足したマーケティング部とネットビジネス事業部が中心となり、CXの最適化に向けた具体的なアクションが始まっている。

 現時点ですでに、Marketing Cloudの成果としてメール開封率の大幅な改善が挙げられる。従来、メール開封率は平均20%弱であったのが、2〜3倍に向上したという。

 「お客様の行動をトリガーにしてメールが配信できるからこそです。一人ひとりのお客様に対して因果関係を考慮しながら、今までより1カ月前のアナウンスのほうがいいのか、それとも1週間前なのか、2日前なのかなど、最善の配信タイミングを模索するようにしています」(辻本氏)

 もちろん、この成果は各事業部の理解があってこそだ。ネットビジネス事業部が心がけているのが、各部署とKPIへのスタンスを共有することだ。顧客満足度を高めることだけに専心せず、高めながら事業収益を追求する。経営層からのメッセージとも通じる姿勢だ。

 「こうした取り組みは、決して短期的にすぐ効果が出るものではありません。長期的に追い求めながら、お客様側から“なんだか、三井住友カードはいい感じだね”“気が利いているカードだね”といった気持ちが少しずつ醸成されて、結果として事業収益の向上につながっていくものです。だからこそ、各事業部と密接に連携しながら、じっくりと取り組んでいきます」(佐々木氏)

今後も「お客様の当たり前」を追求する

 ここまでを通じて印象深いのは、顧客視点で“当たり前にできること”を追求している点だ。

 「顧客エクスペリエンスと聞くと、中には感動体験や、予想だにしないサプライズといったスペシャリティを想像する人も多いかもしれません。ですが、私たちは“お客様が不満を感じることなくカードを利用できること”という日常性、ノーマルの提供に徹しています」と佐々木氏。いわゆる「当たり前」を提供すること、ここにカード会社としてのプロフェッショナルな意識、矜持を垣間みる。

 「数字の追求を優先するとはじかれていたお客様ニーズに応えていくことが、会社の未来を支えると考えています。行動履歴を見て、Webでのアクションから事前にお客様の動きを察知し通知できるような、お客様にとって最適なあり方に、今後も挑み続けます」(佐々木氏)

 「2016年7月から具体的なアクションを開始しました。まだまだ小ロットでの展開ですが、目に見えた効果が出ているので、もっと社内にも効果を示しながら、CXの追求が生む効用を浸透させたいです。また、WEBだけでなく、コールセンター部門との連携も重要であり、お客様が選択するどのチャネルでも一貫したコミュニケーションができる基盤を早く整えていきたい」(辻本氏)

 佐々木氏、辻本氏はこれからの挑戦に意欲を見せる。企業一丸となってCXの追求を進める三井住友カードが、顧客とどのような関係を作っていくのか。また、Marketing Cloudはどのようなサポートをするのか。これからの展開が楽しみだ。

カスタマージャーニー研究プロジェクトチームのコメント

加藤: 2,400万人もの会員を有する三井住友カード様が、「全社で顧客エクスペリエンスを最適化」する方向に舵を切るのは、簡単な道ではありません。本事例から学べることとは、テクノロジー活用の前に、顧客に向き合ってコミュニケーションを根本から考え直すという顧客理念が、経営層よりしっかりと共有されている点です。
 さらに、理念を形にできているのは、ネットビジネス事業部の全社横断的なプロジェクトを遂行する力強いリーダーシップがあるからこそだと思います。マーケターは、シナリオ作りのアプローチはもちろん、社内における「マーケターとしてのリーダーシップ」のあり方を本インタビューから学ぶことができます。

押久保::国民的人気番組『サザエさん』に登場する三河屋さん。サザエさんが三河屋さんを贔屓にしているのは一目瞭然です。その理由は注文した商品を宅配してくれるという当たり前のことに加え、サザエさんの好みや思考を先取りした「気が利く」提案や会話があるからだと思います。デジタルを介したエンゲージメントの理想形とは、「気が利くね」という当たり前かつ心地よいコミュニケーションの実現と言えるのではないでしょうか。

カスタマージャーニー研究プロジェクトとは?
「カスタマージャーニー」、顧客の一連のブランド体験を旅に例えた言葉。デジタルやリアルの接点が交差し、顧客の行動が複雑化する中、「真の顧客視点」に立って、マーケティングを実践する重要性が増してきました。
カスタマージャーニーに基づいたマーケティングの必要性は、その認知が進む一方で、「きちんと“顧客視点に基づいたシナリオ”を作成し、運用できている企業はまだまだ少ない」多くのマーケターに意見を聞くと、そのように認識されています。
今回、押久保率いるMarkeZine編集部とセールスフォース・ドットコム マーケティングディレクターとして、各企業とジャーニーを研究してきた加藤希尊氏を中心に、共同でカスタマージャーニー研究プロジェクトを立ち上げました。本プロジェクトでは、「顧客視点のマーケティング」における成功例を取り上げ、様々なアプローチ方法をご紹介していきます。その他の成功例はこちら

三井住友カードが提供する「お客様の当たり前」を支えるテクノロジーとは?

 現場からアイディアを集め、お客さまが困ったり悩む前に情報を提供する。あらたなコミュニケーションへと変革を進める三井住友カード。同社を強力にサポートするMarketing Cloudは、具体的にどのように機能しているのでしょうか?

 現在、Marketing Cloudの製品デモ動画を公開中です。記事とあわせてぜひ、ご覧ください!動画はこちらから。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
カスタマージャーニー研究プロジェクト連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

加藤 希尊(カトウ ミコト)

チーターデジタル株式会社 副社長 兼 CMO 広告代理店と広告主、BtoCとBtoB両方の経験を持つプロフェッショナルマーケター。WPPグループに12年勤務し、化粧品やITなど、14業種において100以上のマーケティング施策を展開。2012年よりセールスフォース・ドットコムに参画し、日本におけるマ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2016/12/07 12:00 https://markezine.jp/article/detail/25524

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング