各事業で散在するデータを統合し一元管理する
三井住友カードでは、さまざまなデータウェアハウス(以下、DWH)が存在していた。One to Oneを意識していたとはいえ、データを一元管理できておらず、顧客データが各DWHに分散して管理されていたわけだ。
無論、配信システムも乱立することとなり、メール配信システムだけでもASPやオンプレミスを複数併用し、お客様の接点となるべきツールがまちまちという状態だった。
そこで、2014年から全社的なデジタルコミュニケーションの最適化を目指し、2015年からMarketing Cloudの採用が決定する。狙いは、「お客様データの統合」と、「データの一元管理をしながら、お客様にとって最適な方法(Web、メール、SMS、アプリ)でのコミュニケーション」の実行である。
「これまで、私たちのもとで散在して蓄積されてきたデータを統合し、一元管理すること。しかもセキュアに実行できるMarketing Cloudによって、具体的にお客様に寄り添うためのエンジンを手に入れることができました」と佐々木氏。次は顧客視点でのコミュニケーションを重ねた先に、各事業部が成し遂げたいKPIの達成も約束される、という循環へとつなげたいと語る。
では、顧客にとって最適なコミュニケーションとはどのようなものか。辻本氏は次のように語る。
「一人ひとりのお客様に寄り添うという原点に立ち返り、顧客接点を根本的に見直すことから始めました。たとえば、新規カードを発送したお客様にカードの不在不着が起きたとします。お客様は配送業者からの不在通知にも気づけず、私たちの元にカードが返ってくるケースがこれまでも一定数は発生しています。
本来手元にあるはずのものがなかなか届かないので、お客様に不愉快な思いをさせてしまっています。またカードが不着になったまま解約になった場合の逸失利益を考えれば、これだけでも相当な額の損失が発生します。そこで、Marketing Cloudによって不着をトリガーにしてメールを送ることを可能にし、カードが不着になっていることにお客様が気づけるようにしました」(辻本氏)
緻密なカスタマージャーニーマップを作成し、事業改革に活用
並行して三井住友カードが行ったのは、一つひとつの事象に対して、従来のコミュニケーションを再設計することだった。かなり緻密なカスタマージャーニーマップを作成しているという。
「私たちの場合、お客様がカードを申し込んでからカードを受け取り、初回利用を経て、利用回数を重ねていただきながらエンゲージメントを深めていくという流れが想定できます。さらに、カードを更新していただきながら、ロイヤリティ化するという一連の横軸(LTV)を損なわず、一人ひとりのお客様と常に良質良好な関係性を築き上げていきたい。そのためにも、各フェーズで考えられる出来事・アクシデントを顧客目線で可視化していきました」(佐々木氏)
本記事で公開しているのは、あくまで一接点のカスタマージャーニーマップのイメージであるが、各フェーズで細かく想定していることがわかる。たとえば、顧客行動を軸に想定を変えることに、まさしく“一人ひとり”に着目しようとする、三井住友カードの意思が表れている。
こうした全社的な動きへと加速できたのは、各部署に意識改革への理解を求めたと同時に、経営サイドの経営課題認識も、非常に近い感覚だったことが大きな追い風になったという。
「経営層からも、顧客エクスペリエンス(Customer eXperience:CX)の追求というキーワードが出てきていました。顧客エクスペリエンスを徹底的に追求しながら、収益も伸ばしていこう、と。こうした経営層からのメッセージが、現場から生まれた危機管理意識と一致したことで、全社的にCX重視の企業マインドが醸成されていきました」(佐々木氏)
三井住友カードが提供する「お客様の当たり前」を支えるテクノロジーとは?
現場からアイディアを集め、お客さまが困ったり悩む前に情報を提供する。あらたなコミュニケーションへと変革を進める三井住友カード。同社を強力にサポートするMarketing Cloudは、具体的にどのように機能しているのでしょうか?
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