マーケティングは動画が主流に
2日目は昼過ぎに空港に向けて出発した関係もあって時間がなく、このあとはいくつかディベートや展示を見る時間に費やした。そして今回、海外を視察して気づいた点を3点にまとめてみた。
1.動画が主流のマーケティングの時代になっていく
2.ヨーロッパでは“地に足が着いた当たり前のマーケティング”が広く展開されている
3.サードパーティデータの活用が進んでいる
1点目の動画が主流のマーケティングについては、FacebookもTwitterも近い内容をイベントのセッションを通して話していたのには驚いた。
確かに、スマートフォンの普及をきっかけに、誰もが静止画はもちろん、動画を発信できる時代になった。静止画とテキストの情報よりも、動画で見るとより深く知ることができる。もちろん、流れてくるすべての情報が正しい訳ではなく、その説得性の高さを悪用し、地震などの災害時に嘘の情報を動画で配信するユーザーも出てくることさえある。それだけ動画を見る人の印象が強くなるということだ。
また、これから動画は、ビッグデータの対象にもなり得ると考えている。それは先日、ニューヨークのIBMワトソン研究所に視察にいって聞いた話による。
その時私は、「Watson自身は何かユーザーにアクションをしてくれる訳ではない。ただ、膨大に蓄積したデータとその分析・連携をもとに、ユーザーとの間にあるアプリケーションがサービスを提供してくれる」と理解した。

特に動画は“非構造化データ”と区分され、これまでは分析の対象になりにくかった。しかし、人工知能やITの処理能力の拡大で、構造化され分析対象となり得るようになってきた。
このタイミングでの“動画主流マーケティング”宣言は、非常に理解できるものであった。私も引き続き注目していきたい。
当たり前の施策が根付いていく時代に
2点目の“地に足が着いた当たり前のマーケティング”とは、技術的には決して最先端の話ではないが、実際の消費者の行動に寄り添い、店舗とネットの利用を結びつけながら、ポイントやクーポンなどの施策を最大限に活用しているということだ。
「メールアドレス、ネット会員IDと、店舗カードは紐づいていますか?」「CookieやIPアドレスの紐づけはできていますか?」こんな当たり前のメッセージがDMEXCOのブースでは展開されていた。
では、日本国内で見た時に、どこまでの小売り・メーカーがそれを実現できているだろうか。まさにオムニチャネルの領域ではあるが、お客様の実店舗、ネットでの行動状況がきちんと紐づけられて、最適な提案ができている例は非常に少ない。
こうした基本アクションができているからこそ、クリック&コレクト、つまりネット注文から店舗受取という文化が欧州では浸透しているのだと思う。もちろんマーケティングだけではなく、在庫連携や物流連携などの取り組みが進んでいる点も大きい。
消費者が便利に商品を選んで購入できる当たり前のマーケティング施策を、日本でも見直すべきだ。特に、マーケティングを、売上・利益・資産評価などの財務諸表と紐づけ、経営と現場で理解できる形にすべきではないだろうか。