経営者と現場担当者でビジョンが異なる悲劇
MZ:確かに、各レイヤーで求められる役割は異なりますよね。
中村:組織として1つの方向性があるはずですが、それぞれのレイヤーの方に聞くと、まったく見解が異なっていたりします。たとえばお客様と話していても、社長から「私、マーケティングは詳しくなくて」「うちなんて、まだまだですよ」といった言葉をよく聞きます。「いや、そんなことはないですよ」という状況にもかかわらず、です(笑)。
経営者の立場からすると、「マーケティングがよくなっている」と聞けば、「昨年対比で売上が伸びたのか」「競合他社と順位が入れ替わったのか」といった最終的な結果が気になります。そこで結果が出ていないと、「なんだ、順位はそのままなのか」となってしまう。しかし、「マーケティングの成果によって、売上が大幅に改善された」といったところまで耳に入れば、話は違ってくるはずです。問題は、そこまで話が伝わらないことです。
MZ:こうした立場の違いが、ミドルマネジメント層や現場担当者にもあり、それぞれに言い分があるので、ますます収拾がつかなくなるんですね。
中村:環境が揃っていると、「何かがやれそう」という予感は持ってしまいます。しかし、実際はやれていない。マーケティングの成果について、リードを獲得すること、商談まで進むこと、実際の売上に結びつくこと、これらを1本のつながりで見るべきなんです。
共通のゴールが持てると、各部門で適切なKPIを設定できる
MZ:レイヤーごとに見解が異なっている現状を踏まえると、解決の一歩として、全社的に共通のゴールを持つことが重要なのだとわかりますね。
中村:現場担当者は、課題“感”を持っていても、明確な課題を持ち合わせていなかったりする。つまり、分析や検証に基づいた裏づけといったエビデンスがない状態で、肌感覚で感じていることに終始しているケースも、よく見受けます。
もちろん、「課題感」と「明確な課題」とが大きく実態からかけ離れているわけではありませんが、あくまでも肌感覚なので、深く追求されると明快に返答できない。エビデンスがないので、相談されたミドルマネジメント層とも課題が共有できず、結局予算が計上されない。営業からは「マーケティング部門がしっかりしてくれないから動けないよ」なんて言われてしまう。
MZ:よく耳にする、マーケティング部門と営業部門の断絶ですね(笑)。
中村:考えるきっかけとなるなら、スタートが道具ありき、ツールありきでもいいのかもしれません。問題は、ツールありきで止まることです。そうではなくて、共通のゴールに向けて1本のシナリオがあると、ゴールを因数分解して各部署、各部門で連関したKPIが導けます。
MZ:共通のゴールによって、周りが何をやっているのかも見える、というわけですね。
中村:そうですね。懸案の課題に対して、課題AとBはMAで見通しがつきそう、CはMAではなく広告での解決が得策、Dはシステムとは関係なく勉強会をやるべき、といったように、解決方法と取り組むべき優先順位が見えてきます。あとは、事前のROIに基づいて、難易度(時間・リソース・リスク)と成果の度合いも勘案した選択が可能になっていきます。
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