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有園が訊く!

激変する放送と通信の環境 テレビ業界は新局面へ

テレビはスマホで見られる? NHK視聴料は?

有園:私はこの件にはポイントがいくつかあると思っていて、一つは、NHKの収益増を目指しているのだろうと。また、既にロンドン大会でネット同時配信は実行済みであり、東京オリンピックでも実行される可能性は高いと考えられます。その前提に立つと、たとえば、外国人観光客が競技をスマホで見られたり、マイナースポーツをリアルタイムで視聴できたりする状況をより整えようとしているのだろうと思ったんですよね。これは、各局同じような認識なのでしょうか?

岩田:そうなることもあるだろう、とは考えていますね。少なくとも、スマホで見られればユーザーには便利ですし、おっしゃったようにマイナースポーツは放送だとどうしても優先順位が下がってしまうので、通信とは相性がいいと思います。

 ただ、本当に各局のネット同時配信が実現してスマホで自由に見られるようになるか、ましてNHKが受信料が取れるようになるかどうかは、わからないというのが本音です。それには法改正やまだ決めなければいけない制度もありますし、我々としては見守りつつ、民放が関係する部分には社内や各局の意見を取りまとめていくという感じですね。

有園:逆に、実はこれまで民放は放送法でネット同時配信を制限されていなかったので、今このタイミングで新聞に取り上げられたものの、民放では既に同時配信が実施されていますよね。

 たとえば大阪の朝日放送と朝日新聞では、数年前からネットおよびアプリの『バーチャル高校野球』で甲子園をライブ中継していますし、AbemaTVのニュース配信の一部も、同時配信と言えると思います。実際、NHKがネット同時配信を始めると、競合になりそうでしょうか?

岩田:答えづらいですが、それを競合というなら、他のあらゆる時間消費サービスが競合になりますよね。今は業態の垣根を越えて、ユーザーの時間の奪い合いになっていますから。

同時配信のビジネススキーム確立はこれから

岩田:また、現時点で我々のサービスが戦う相手としてはっきりと“競合”になっているかというと、まだその手前、手探り段階な気がしています。ネットで視聴する動画という括りでいえば、この数年本当に様々なサービスがリリースされていますよね。それらの中でどんなものが定着し、廃れていくのか、ユーザーのニーズや利用状況をみながら、横を見るというよりはまずは自分たちのサービスを磨いていく段階だろうと思っています。

有園:確かに、まずはユーザーに受け入れられることが大事ですね。

岩田:ええ。たとえば私が駐在していた韓国では、日本よりメディア環境が少し進んでいて、既に同時配信もあればVODもあれば、見逃し配信のような考え方も浸透しています。

 実際に韓国に住んで、いちユーザーとしてそれらを使うと、実に便利なんですね。何らかの動画コンテンツを見たいと思ったとき、「あぁテレビでしか見られない、録画しなきゃ」などと思う必要がないので、ストレスがないんです。正式なサービスが多種多様なので、コンテンツ提供側に不利益になることもない。

有園:なるほど。それなら、制限があるNHKはともかく、同時配信を含めてもっと民放が積極的に様々な視聴環境を整えてもいいのでは、という気もするのですが。なにかハードルがあるのでしょうか?

岩田:ハードルというより、しっかりと収益化できるビジネススキームが確立できていない、収益化できるかの確固たる判断に各社が至っていないという状況じゃないかなと思いますね。

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コンテンツ制作段階からネット配信を視野に

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/01/31 10:00 https://markezine.jp/article/detail/25816

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