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有園が訊く!

激変する放送と通信の環境 テレビ業界は新局面へ

コンテンツ制作段階からネット配信を視野に

有園:そうなんですね。私が広告の仕事をしていてよく壁になるのは、著作権です。テレビCMをそのままネットで流すのに、色々とクリアすべき問題がある。

岩田:それもありますね。それも、ビジネススキームの確立に絡んできます。つまり、映像コンテンツの制作段階から、ネット配信を視野に入れて関係各所と調整していくことが必要になりますね。そのためには、放送局だけでなく幅広いステークホルダーの理解が要るので、すぐにというよりは、少し時間をかけて丁寧に進めることになると思います。

有園:なるほど。デジタルの業務に携わっていると、進化が速いのもあってどうしても目の前のことに没頭しがちで、なかなか総務省の動きであるとか近い将来に議論になるようなことが身近じゃないんですよね。若手の方は、特にそうじゃないかなと思います。

岩田:わかります。実際、用語も聞き慣れないと思いますし。その点でも、もう少し我々放送局も、ビジネスパーソンや広く社会に向けて今の動きや考えていることを発信していってもいいのかなと感じます。

 放送の歴史からすれば、私がテレビ局に入社して以来、その間に起こった変化、起こるであろう変化は本当に驚くほどです。でも、それらの革新がすぐに産業界や、まして民間に定着するかというと、ビジネスや生活を激変するだけに一足飛びではいかない。地デジ化だって、長い準備を経て2003年に開始し、完全に移行したのは2011年ですから。

検討が進む5Gモバイル、実証を重ねて実現へ

有園:いわれてみれば、そうですね。たとえば直近でデジタル事業者に密接なトピックでいうと、第5世代移動通信システム、5Gサービスの実現に向けての議論が進んでいると思います。こちらも技術的に実現可能であることと、使える状態にしていくことは、完全に一致するわけではなさそうですね。

岩田:そう思います。5Gでいうと、総務省と関連企業や学術関係者が構成する「第5世代モバイル推進フォーラム」など、各所で話し合いが進められています。今はまだ、5Gで何ができるのかの経験を積む段階だと思いますね。冒頭で挙げた4K放送にしても、サービスが整うことと4K作品を作ることとはまた別の話ですし。

有園:確かに。個人的にテレビ大好きな私としては、若年層のテレビ離れといわれる状況をネット同時配信や見逃し配信が覆しているような現状は、とても嬉しいんですよね。一足飛びにはいかなくても、技術を味方に、もっと活性化してもらえたらと。

 さらに、日本にはたくさんの優れた作品や番組企画があるので、海外への輸出や配信が進むと収益拡大に繋がるだろうと期待しているんです。国内の人口減少への対策にもなるでしょうし。

岩田:異業種で海外進出が進むのと同じように、海外へ市場を広げる流れになる可能性はあるでしょう。少なくとも、韓国やマレーシア・タイなどASEAN諸国が力をつけてきたときに時既に遅しとならないように、戦いにエントリーしておく必要はあると思います。

 ただ、その際もやはり制作から考えるのが妥当じゃないかなと。権利者の利益も含めて、ステークホルダーの皆でどういう作品にしていきたいか、どんなふうに視聴者に見てもらいたいかを考えていく。仕組みは発展していきますが、純粋にコンテンツの質が広告収益も左右するので、その議論も欠かさないようにしていきたいと思いますね。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/01/31 10:00 https://markezine.jp/article/detail/25816

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