匿名データから類似オーディエンスを発掘、CRMへ
押久保:ということは、Salesforce DMPの特徴の1つは、匿名データと非匿名の顧客データを融合して、最も有効な形で活用できる、ということですか?
松本:そうですね。厳密には、従来から我々が提供しているCRM製品にSalesforce DMPを連携させることで、認知から優良顧客化までの流れがよりスムーズになります。
さらに顧客データを元にしたルックアライクで、セカンドやサードパーティーデータから類似オーディエンスを探して、IDやデバイスの重複を省いてアプローチするといったこともシームレスにできるようになりました。匿名の世界と顧客の世界をつなげて、大きい循環を作っていく。その準備が整ったと捉えています。
押久保:Salesforce DMPは、御社のMarketing Cloudにおいてどういった位置づけになるのでしょうか?
松本:これまで提供しているEメールマーケティングプラットフォームやオーディエンス&キャンペーンマネジメント、ジャーニービルダーなどと並列する形で加わります。
カスタマージャーニーの大きな流れ、認知から購入、リテンション、アップセル/クロスセルの中で考えると、まだ購入前で匿名状態のカスタマーを適切に捉え、アプローチできるのがSalesforce DMPです。そして最終的に、我々のCDPであるSalesforce CRMを充実させていく、というイメージです。
セカンド、サードパーティーデータをどう扱うか
押久保:先ほど少し話が挙がりましたが、ファーストパーティーデータと、セカンドやサードパーティーデータについても、実は日本だとそこまで意識的に特徴を捉えた活用がなされていない感じがします。
松本:そうですよね。サードパーティーデータの活用はそれなりに進んでいると思いますが、第三者からデータを購入する際に、既にラベリングされているケースが多いんです。たとえば「20代女性で◯◯に関心がある人」といった形ですね。そうすると、仮にファーストパーティーデータを元にルックアライクをしても、得られる量がデータプールの時点で制限されてしまいます。
押久保:ラベリングされる前のローデータ状態から扱えれば、データのポテンシャルをもっと活かせる?
松本:そういうことですね。たとえばファーストパーティーデータとして把握できている顧客が1,000万人いるとして、サードパーティーデータから類似オーディエンスを抽出すると5,000万人くらいいる。そうすると、管理画面上で配信先を選び、すぐに広告を配信できます。5,000万人に含まれる既存顧客は、ワンクリックで除外できます。
ただし当然、この規模のセグメントは人力ではもう無理です。その部分を含め、今我々の提供するプラットフォームに大きく関わっているのが、昨年9月に発表した人工知能「Salesforce Einstein」(以下アインシュタイン)です。これを使って、膨大なデータからその都度で最適なセグメンテーションを可能にし、さらにどんどん精緻化していきます。