大規模なプロジェクトを効率的に進めるアジャイル開発
今回のプロジェクトは、2016年の初めに検討スタート。要件定義や導入技術・パートナー企業の選定を経て開発は2017年1月に着手、5ヶ月という短期間で2017年5月末にグローバルサイトを新設・リリースした。これに並行して、ローカルサイトの基本フォーマットとなる日本のサイト開発が進行中。そして2018年からは、各国のサイトをリニューアルする予定だ。大規模で長期にわたるプロジェクトだが、スケジュールの大幅な遅れは出ていないという。その理由は、アジャイル開発にある。
システム開発において、要件の増減や変更はよく発生する。また、できあがったシステムを実際に動かし、イメージと違っていたということも起こりやすい。アジャイル開発では、スプリントと呼ばれる短期間の中で小さな成果物を開発していく。小さな単位で開発・テスト・修正・完成を繰り返すため、要件の変更や認識のずれに対応しやすいのだ。
「アジャイル開発はすばらしいですね。実際に稼働する製品ができあがると、クライアント側も嬉しいものです。次のスプリントもしっかりとやっていこうという良いサイクルにつながります」(松田氏)
関連部署、パートナー企業と同じゴールを目指す
アジャイル開発において同社は、プロジェクトメンバー同士のコミュニケーションにも重点を置いている。毎朝のWeb会議では、案件の進捗・要件の確認を行い、常に関係者同士で連携を取っている。会議には技術者とクライアントが参加するため、システム開発にありがちな「こんなはずではなかった」という認識のずれは発生しない。
これは部署間においても同様だ。アステラス製薬側からは広報部と情報システム部のメンバー5名が毎朝の会議に参加。一般的に、このような開発は情報システム部が主導で進めることが多いが、要件確認などでタイムラグが発生しがちだ。一方、今回のプロジェクトではビジネス部門の広報部がプロダクトオーナー部署であった。同部署は関連部署との連携を重んじて、毎日活発なコミュニケーションを取り、相互理解を深めたため、スムーズに開発が進行できたという。
また、プロジェクト管理にはアトラシアンが開発した「JIRA Software」を活用。タスクを見える化・仕組み化して管理していたことも、円滑な開発スケジュールの進行につながっていたという。
最後に松田氏は今後の展望を語り、公演を締めくくった。
「アステラス製薬はイノベーションを大切にしています。パートナー企業であるCI&TとAcquiaもイノベーションに価値を置き、目指す方向性が一緒です。そのようなパートナーと組み、しっかりと協力体制が取れていたことが、これまでのプロジェクトの成功につながり、かつ今後の成功を約束するものだと確信しています」(松田氏)
クライアントをはじめ、広告代理店、開発会社と多様な企業が参加した「Acquia Day 2017」。アステラス製薬のセッション動画および登壇スライドは公開されているので、ぜひ参考にしたい。また、Acquiaは日本オフィス開設を計画中とのこと。海外のみならず国内企業においてもDrupalおよびAcquiaへの期待が高まっている。
勉強会「デジタル・エクスペリエンス研究会(DX研)」毎月開催!(要参加申込)
AcquiaやDrupalなど、エンタープライズ・ソリューションによるデジタル体験の構築や最新事例についてカジュアルに共有・議論する会です。周辺・関連サービスの方も歓迎、ビール片手にやります!
題名:デジタル・エクスペリエンス研究会【Peatix参加申込・フォロー】
日程:
第1回 2017年 7月 26日(水)@CI&T南青山オフィス
第2回 2017年 8月末 @未定
第3回 2017年 9月末 @未定
定員:各10名