日本の現状を捉えた、新しいマーケティング思考とは
1冊目にご紹介するのは、『顧客視点の企業戦略 -アンバサダープログラム的思考-』です。同書のメインとなるアンバサダープログラム的思考とは、既存顧客を重視し、企業との新しい関係構築を目指し様々な取り組みを行っていく姿勢のことを指します。
同書のおもしろいところは、アンバサダープログラム的思考が必要となる背景がきちんと前段で語られているところです。例えば、日本は高齢化や人口減少が進んでおり、それをきっかけに経済成長率の低下が引き起こされます。そうするとアプローチできる市場も縮小していきます。
つまり、グローバル進出などを仕掛けていかない限り、新規顧客を獲得し続けるのは難しく、必然的に既存顧客への対応強化が求められているのです。私が様々な取材を続けていく中でも、年々既存顧客への対応強化や、LTVの重要性をうたうマーケターの方が増えたように思います。
同書籍はこういった社会背景、またマーケティングの歴史を振り返り、その中で今最適な思考の1つがアンバサダープログラム的思考であることを解説しています。顧客視点で物事を捉え、アンバサダープログラムを設計するためのポイントが事例とともに紹介されているので、とてもわかりやすい内容となっております。
今後も日本でビジネス、マーケティングを推進していく上で必要になる考え方の1つだと思いますので、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
メディアに取り上げられる中小企業になるためのメソッドを解説
2冊目に紹介するのは、『【小さな会社】逆襲の広報PR術』です。同氏の著者であるベンチャー広報の代表取締役の野澤直人氏は、同書の冒頭で現在のPR業界の抱える課題を明らかにし、中小・ベンチャー企業が広報PRを進めていく上で必要になる考え方を解説しています。
同書では、これまでのPRのノウハウは大企業向けのものがほとんどだったと語られています。例えば、大企業であれば、ネームバリューを活かし、プレスリリースを一斉配信することで一定の反響が得られます。しかしながら、中小やベンチャー企業の場合、同じ手法をとっても上手くいかないと野澤氏は述べています。その他にもPR業務で一般的に行いがちな行為の問題点をあぶり出しています。
我々の編集部でもPR会社の方や企業の広報担当の方とやり取りすることがありますが、同書の中に出てくるようなアプローチを受けたほうが嬉しいと思う部分もありました。また、媒体ごとに使えるノウハウを適宜まとめているため、テレビや新聞、雑誌、Webメディアなどそれぞれの記者や編集者、ディレクターを相手にする際に必要なポイントも理解できます。
その他にも、プレスリリースの書き方や記者会見などのイベントの開き方など、広報業務を行う上で必要なスキルを磨くヒントが詰まっています。「急に広報に任命されたけど何から始めればいいのかわからない」といった悩みを持った中小・ベンチャー企業の方におすすめの1冊です。