5~10%の誤差が現状 ズレの根拠を明確化に

有園:具体的に、どういったことをされたのでしょうか?
馬渕:1インプレッションが発生すると、そのデータはアドサーバー、SSP、アドエクスチェンジ、DSPを経由して取引が成立します。
ただ、計測技術やタイミングの違いなどを理由に、媒体社は「1,000万インプレッションを表示した」というレポートを出すのに、広告主が使っている計測ツールでは「900万インプレッションを表示した」というような誤差が出ているのが現実です。全容を把握する事は非常に難しいので、5~10%の誤差が出ているのが現状です。すべてを確実にトラッキングすれば誤差の根拠が明確化されます。
なので実験では、この各トランザクションのデータをブロックチェーンのプラットフォームに入れて、突き合わせをしました。
有園:先ほど、今回の実験が第一歩とのことでしたが、今後のステップはどんなイメージになるんでしょうか?
馬渕:まずは、現状の把握を進め、トラッキングの技術を確立していきます。そして参画する企業を増やして、オープンプラットフォームを築くこと。将来的にはプラットフォームの自動化でしょうか。そんなステップですね。
参画企業の増加が今後のスピードを左右する
有園:今おっしゃった“自動化”というところでは、AIが機能しそうな感じですね。
馬渕:まさに、そうですね。まだ、すべてが自動化できるのか、どこかでは人の目が必要なのかは見えていませんが、少なくとも「この条件が整えば入札」という個々の契約はAIに任せられるはずです。
ディスプレイもサーチも全部、アルゴリズムを決めてさえいれば、勝手に学習して進めてくれる。人間は最初のプランニングと、取引が回るのをチェックしてチューニングするのが仕事になりますね。
有園:ちなみに、日本でも先のIABの様な動きが今後あるのでしょうか?
馬渕:あり得ると思いますね。実証実験でも今後、また参加社を募るタイミングがあると思いますし、最終的にブロックチェーンのプラットフォームが増えたり、IABの様な団体がそれを認証したりする可能性もあるでしょう。
ただ、いずれにしても広告主が大きくこれをリードしないと、動きが加速しない。ここが肝ですね。アメリカを見習って、2、3年で確立しないとまずいと思っています。
有園:なかなか喫緊の課題ですね……。マーケターとして、常に状況を知っておかないといけないですね。最後に、直近の実験の展開があればうかがえますか?
馬渕:今後、より検証が進んだ後で実験の報告会をしたいと思っています。ぜひ多くの方に関心を持ってもらいたいですね。
