ポイント2:実際の運用を加味した要件定義
次に紹介したのは、ECモールを展開するアパレル企業の事例だ。新しいマーケティングツールを導入すると機能や仕様に対する理解が属人化してしまうことを課題としていた。
チーターデジタルがサポートを始めたところ、このクライアントが送っているHTMLメールのソースに、それを制作した担当者以外の人が見た時に極めてわかりづらい、画像の差し込み箇所があることを発見した。
「クライアントは、この差し込みパーツを活用して、受信者ごとに表示するコンテンツを変えていくという想定でした。しかし、HTMLソースの制作担当者と実際の施策運用担当者が別だったため、運用担当者はこのソースを見ても、どこがどの画像を指しているのかがわからず、施策を打つ時に読み解く必要がありました。これでは設定に時間がかかってしまうと我々は考えました」(是枝氏)
そこでチーターデジタルは、ソースのどこがどの差し込み箇所に対応するのかがわかるよう、HTML上でコメントをつけておくよう提案した。結果、設定時間を大幅に短縮することができ、ツール運用に詳しくないアルバイト従業員でも配信設定ができるようになったという。
「ゴールは導入ではなく、あくまで運用です。そのためにどう設定すべきかこだわり抜く我々だからこそ、ご提案できたことです」(是枝氏)
ローンチ後も頼もしいプロフェッショナルサービス
さらにチーターデジタルではMAツールのローンチ後も、施策立案や効果測定、クリエイティブ制作、設定や運用の代行など、手厚くサポートするプロフェッショナルサービスを用意している。
一例として、是枝氏はピーチ・ジョン社へクリエイティブ制作サービスを提供したケースを紹介した。本件ではクリエイティブの制作にとどまらず、マルチデバイス対応までサポートしたという。
「きっかけは、送ったメールを顧客が何秒間読んでいるのかがわかる当社の“開封エンゲージメントサービス”をご利用いただいたことでした。メールをすぐ削除する率が、スマホはPCの3倍もあることがわかったのです。
ピーチ・ジョン様の配信メールでは、クリエイティブがPC向けに作られているため、スマホでは見づらく離脱してしまうということが考えられました。そこで、画像を大きくしたり、屋外で見てもわかりやすいよう色のコントラストをはっきりさせたりなど、クリエイティブの制作サービスで改善しました」(是枝氏)
こうした取り組みの結果、クリックは1.7倍、売り上げは1.3倍になったという。
プロフェッショナルサービスは、効果検証を前提とした実施施策のリニューアル設計も得意としており、PDCAプロセスの基盤づくりから支援するところに特徴がありそうだ。
最後に是枝氏は、まとめとして本講演で紹介したポイントをおさらいし講演を締めくくった。
- MAの導入においては、多くの業務が発生する
- 導入の目的を明確化させることが、ファーストステップである
- 導入目的達成のために必要なスキル・リソースを把握する
- 自社に合ったMAベンダーを採用する
- 導入後も一貫したサポートを受けられるか、あらかじめ把握する
MAの導入・運用は多くのタスクを含んでおり、事業会社がすべてを自力でクリアするのは難しい場合もある。だからこそ、自社に合ったサポートが受けられるMAベンダーを選定することが、成功への第一歩といえそうだ。
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