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運用型広告時代の要!トレーディングデスク最前線(AD)

エクセルでのレポーティングはもう限界!BI活用企業に見るマーケターが一番輝く働き方とは

 チャネルが増えて得られるマーケティングデータ量が膨大になるにつれ、データドリブンマーケティングのハードルは上がるばかり。リアルタイムにデータを集約、管理できる環境整備が急務だが、そのためにはチームビルディングや施策全体のプラニングをディレクションできるマーケターの存在が重要だと語るエスワンオーインタラクティブの高瀬大輔氏。マーケティングに強みを持ったBIツールを提供するDatorama Japan(デートラマジャパン)の石戸亮氏との対談から、新時代のマーケターのあるべき働き方を探っていく。

「エクセルからの脱却」を図る時期がきている

――マーケターにとって、BIツールはどのように役立つものなのでしょうか。率直に言って、SQLなどの専門的な知識が必要そうで、ハードルが高い印象があります。

石戸:マーケティング活動においてBIツールを使うと言うと、難しそうだとか、なんとなく距離を感じてしまうなど、広告主・代理店の方からお声をいただくこともあります。

 私自身、以前はBIツールに対して「マーケティングや広告領域で使うにはスピード感やリソースの観点で実用性が低いのでは」と感じることが多々ありました。ETL処理を行い、DWHを立てて、データマートを準備し、ようやくそこでSQLのステップというふうに、欲しい情報にたどり着くまでに、とても手間がかかるからです。

 ところが、Datorama入社前に代表の布施から会社のビジョンを聞くのはもちろん、ダッシュボードやその機能を紹介されて、BIツールの印象が大きく変わりました。

 全てが一気通貫で、かつエンジニアのリソースを使わずに立ち上がる、ビジネスユーザーに寄り添ったBIに出会い「これはエクセルの代替になるな」と思ったんです。ひいては「マーケティングのあり方やこの業界の働き方が抜本的に変わる」と確信するに至りました。

高瀬:ほとんどの代理店の方や広告主の運用担当の方は、エクセルでのレポーティングに多くの時間を割いていますよね。

左から、Datorama Japan株式会社 セールスディレクター/ビジネスディベロップメント 石戸亮氏、株式会社エスワンオーインタラクティブ 代表取締役社長 高瀬大輔氏
左から、Datorama Japan株式会社 セールスディレクター/ビジネスデベロップメント 石戸亮氏、
株式会社エスワンオーインタラクティブ 代表取締役社長 高瀬大輔氏

石戸:そうですね。これまでマーケターの多くがマーケティングデータの集計やレポーティング作業をエクセルで行ってきたと思います。エクセル自体は非常に便利なアプリケーションです。しかし、マーケティングチャネルが増加の一途をたどり、得られるデータ量が膨大になる中で、エクセルでの集計と資料作成を続けるのは非現実的な時代に突入しました。

 またチャネルの増加とともに、お付き合いするADパートナー・代理店も増えてしまっている。各代理店からあがってきたレポートのチェックに時間がかかりますし、ブランドをたくさん抱えていれば、それをさらにブランドごとにまとめる必要があるので大変な作業になります。

 結果として、レポート作成のために長時間労働する状況に陥り、肝心なプラニングや実行・改善に取り組む前に疲弊してしまうのは、健全ではないですよね。

 そうした状況を解決するツールとしてBIツールがあるのですが、心理的抵抗やコスト面の疑問、入れても使えないんじゃないかなどの心配から導入に二の足を踏む企業も少なくありません。ですので、少しでもハードルが下がるように、使いやすさやマーケティング活動全体への波及効果をご説明しています。

SQLやDWHの知識は不要、マーケターが自力で操れるBIツール

――DatoramaのBIツールとしての特徴は何でしょうか。

石戸:Datoramaはマーケティングに強みを持ったBIで、データ統合・可視化に強く、事実、マーケティング部門で使われているケースが多いです。

 日本国内ではネスレ日本様、日本ケンタッキー・フライド・チキン様など、データソースによりますがSQL無しでダッシュボードを立ち上げられています。グローバルではIBM様など国内外で2,000社以上の広告主様にご利用いただいています。

 BIツールとひとくちに言っても、それぞれに得意分野があり、Datoramaはマーケティングデータの接続から可視化、意思決定に関して機能的な強みを持っています。

 他にもマーケター向けのBIツールで、Datoramaよりも深く分析できるものもありますが、そうしたものはSQL言語が使える必要性があったり、データウェアハウス構築についての知識やAPI接続のためのプログラミング知識が必要だったりします。

 昨今ではSQLがマーケターの重要なスキルになってきましたが、全てのマーケターがSQLを巧みに使えるわけではありません。

 結局エンジニアリングやデータアナリシスのスキルがある人じゃないとBIツールは使いこなせず、マーケターも気軽に手を出せなかったり、マーケティング組織が使いこなせなくてまたエクセルに戻してしまったりということもあるようです。

 DatoramaはAPIのないプラットフォームやデータソースでもデータ統合の際にAPI接続が不要で、データのマッピングも自動で終わるので、データの整理や可視化までのプロセスが、他のBIツールよりもビジネスユーザー寄りなのが特徴ですね。

 マッピングは従来のBIでは、まさにエンジニアが手がける部分です。Datoramaは、マーケティングやビジネスで頻出する指標がデータモデルとしてプリセットされています。たとえば、運用型広告のデータを接続するなら、それにふさわしい指標がワンセットになったモデルがあるので、データを取り込んだら、プリセットの指標と実データのカラム名を機械学習のサポートで自動的に紐付けします。

 もちろん、独自指標もユーザー自ら追加できる上に、次回以降は機械学習により、再度の紐付けは不要なんです。かなりビジネスユーザーに便利なBIツールではないかと。

高瀬:Datoramaはコンサルティング的な支援も手厚いですよね。「ビジネスゴールはどこにあるんでしたっけ」とか、「◯◯のデータを可視化すると△△が解決するはずですよね」といった仮説立てとか、BIツール以前のビジネスの根幹部分からクライアントを支援していくイメージがあります。

石戸:そうですね、我々の既存サービスの中にコンサルは正式にはないのですが、データ可視化に慣れていない会社も多く、担当者が何から手を付けたらよいのかわからない状況にあることも多いので、意識的に取り組んでいます。

 たとえば、「広告のダッシュボードを作成したい」というご相談をうけたケースでは、色々とヒアリングをしていくうちに、他にも組織課題が見つかり、社内の経営会議のために部長陣が休日返上でエクセルをまとめて会議に出す資料を作成しているという話があって。

 広告ダッシュボードの可視化に加えてそれも課題ですよね、という話をし、結果的にまずは経営会議の資料のDatorama化を優先的に推進しています。

 もちろん次の段階で広告ダッシュボードの可視化にも取り組むのですが、部長がエクセルをまとめている時間をDatoramaで省力化して、戦略立案など部長にしかできないことに取り組んでいただいたほうが、組織の生産性は上がります。

高瀬:ある種 BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)的なスタンスをお持ちなのだと思います。社内の業務フローをどう改善するかを設計して、事業効率をどう変えるかを考える。その結果としてデータの可視化や、オペレーションの効率化に話が向かうわけですね。

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デジタル広告とテレビCMのPDCAを一元的に回すことも可能に!?

――どんな課題の解決のためにDatoramaを利用するユーザーが多いのでしょうか。

石戸:最近クライアントのニーズが大きいのが、テレビCMとデジタル広告、顧客の売上関連データなどの一元的モニタリングです。特にマス広告を中心に施策を行っている企業は、TVCMが一番大きな投資であるにも関わらず、投資比率の低いデジタルチャネルよりも最適化や科学がしづらいという問題意識をお持ちの企業が多いです。

 たとえばテレビCMとデジタル広告のクロスチャネルキャンペーンが始まった際、テレビの視聴データとデジタルのデータがリアルタイムにわかれば、その結果に応じてキャンペーン途中であっても、デジタル施策によってテレビCMでリーチできていない部分を即座に補完できますよね。

 これまではデジタルチャネルと比較し、テレビCMのパフォーマンスを可視化するためのデータを得る手法が限られていて、リアルタイム性がなかったため、テレビCMの 最適化を追求できている企業は少ない印象ですが、Datoramaを使えば近い将来実現できると気づき始めている広告主さんもいらっしゃいます。

高瀬:テレビの視聴データ取得はよりきめ細やかなものになってきていますね。たとえば、ビデオリサーチでは世帯GRPではない、ターゲットリーチでのGRPが取れるようになっていくようですね。自己申告ベースではあるそうですが。

石戸:そうですね。他にも、インテージの子会社のIXT(イクスト)が、スマートテレビの視聴ログデータを持っています。具体的には、50万台以上のネットに結線されたテレビの視聴ログを蓄積しているのです。他にもエム・データのTVメタデータなど、世の中にはTVCMを科学するためのデジタルデータが増えてきており、それぞれのデータのN数も年々伸びています。

 インテージ社とは今年5月にDatoramaとのデータ接続のパートナーシップを発表しているのですが、既に具体的にDatorama上で実装を開始している会社もあります。ここ1年でそうした企業も増えていくのではないでしょうか。

 ただそれができるのは、企業の中にいるマーケターの方々に強い課題意識があるからなんです。その際に広告主側のナレッジとリーダーシップが必要なのですが、日本の多くの企業ではジョブローテーションが数年に一度はあるため、優れたマーケターの方が築き上げたナレッジが組織に蓄積されにくいという課題も持ち合わせていると思います。

 また、どんな場合でも必ずうまくいくというわけではないですが、自社のデータを大切にして活用していこうと主体性を持って取り組む一環として、ノウハウを蓄積していくためにエージェンシーに委任してきた業務を一部インハウス化してみるのは、一つの方向性だと思います。

データの示唆は会社にとっての資産

高瀬:弊社としても、なんでもかんでもインハウス化するのがいいとは思っていません。ですが、外部パートナーと一緒に仕事していく中で得られるデータや、そこから出てきた気づきやアクションの結果はクライアントの資産なのだということは、いつもお伝えすることです。

 そして何より、おこがましい言い方かもしれないのですが、我々のような外部パートナーに対するディレクション能力を高め続けていただきたいんです。外部パートナーを巧みにディレクションできる企業は、分析や次の施策を打つ際のプラニングなどのスピードが速くなるのはもちろん、RFP(提案依頼書)の精度が格段に高くなります。

――RFPの精度が上がるほど、パートナーはより良い仕事を提供できるようになりますね。

高瀬:まさにそうなんです。弊社に限らず、外部パートナーによるアウトプットの質を上げるためにRFPは重要です。そして優れたRFPを作れるのは、BIツールの導入などによってレポーティング作業を省力化し、データ全体を俯瞰的な視点でモニタリングし続け、多くのファインディングスを資産として獲得している(つまり本質的にPDCAが回せてきている)からこそと考えています。

外資系エンタメ企業のデータドリブン体制に衝撃を受ける

石戸:インハウスの話で思い出したのですが、私がBIダッシュボードに感銘を受けたのは前職Google時代に訪れた某外資系エンタメ企業さんのアメリカ本社オフィスだったんです。

 彼らは40-50人規模のインハウスのエージェンシーを組織していて、トレーディングデスク機能を持っている。名だたるエージェンシーやパブリッシャー出身者で組織化されていて、磐石なインハウスエージェンシーの実務を経た彼らの知見は圧倒的でした。恥ずかしながらGoogleの社員だった私よりDoubleClickに詳しい時もありました。

 加えてマーケティングダッシュボードも駆使していて、グローバル展開している130ヵ国のデジタル広告パフォーマンスや自社のビジネスデータなどを色々な部門で見ることができるんですよ。これがData Driven Marketingの一つのあり方だなと思いました。

 その会社とはGoogle Hangout(テレビ会議システム)経由でGoogle documentやGoogle Slide(オンラインソフトウェア)をテレビ会議に映しながら外部パートナーと打ち合わせをするのが当たり前で、そのマーケティング組織体制や働き方を見て私の世界観が変わっちゃって。

 印刷したエクセルのレポートを山のように積み重ねて会議をしていたのは本当に非効率だったし、実際に私もそれからは数えるほどしか資料を印刷したことがないと思います。BIの大切さと、データドリブンな組織の最新形を学んだ瞬間でした。

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「定例会資料、次からはいらないよ。」

高瀬: 当社のクライアントで、似たケースがあります。マーケティングダッシュボードを構築されているクライアントなのですが、「定例会の資料は、時間がもったいないからいらない」と言われ、以降の会議はデジタル上のシートに更新しながら行っています。そうした企業は、チームの方々がデータの重要なポイントを把握していて、運用の結果がどう数値に反映されたのか、定例会が始まる前に認識している。

 かつ、運用の結果が組織内に蓄積されているので、次に施策を仕掛けた時に得られるユーザーのリアクションや、そこから出る定量的な結果をマーケター側である程度予想している。私たちトレーディングデスクやエージェンシーが経験を積む中で学んで、広告主にお伝えしたいと感じる知見を、マーケターの方々が独自に獲得しているんですね。

 彼らは私たちトレーディングデスクをアウトソースとして使っているけど、マーケティング活動におけるデータの基点は内製している。マーケティング活動の主体は、あくまでも広告主にある。そのことを私たちはすごくポジティブに捉えています。願わくば、マーケティング全体のディレクションを積極的に担っていこうという企業が増えていってほしいです。

 データを社内で整理・統合するためのダッシュボードを持っていて、それを基点に私たちパートナーに対して示唆してくれる、というのは一つの理想形です。そういう企業は、課題意識が明確で、フィードバックも早いので、オーダーが多いんです。

 こちらも必死に提案をさせていただくのですが、鋭い逆提案をいただいたりして危機感を覚えるほどです。こういったことも我々はポジティブだと感じています。もっと頑張らないといけませんが(笑)

「ディレクション能力のあるマーケター」が輝く時代に

――現時点では、広告代理店・広告主サイドを問わず、資料作成・レポーティング自体を重要なタスクだと考える文化があると思うのですが、広告業界全体が「レポーティング離れ」を達成できればその先にどういう世界が広がっていくとお考えですか。

石戸:Datormaをご利用いただいているネスレ日本様の例を話しますと、広告の運用結果をリアルタイムに見られるようになったことでビジネスインパクトが出たとうかがっています。また、広告代理店のレポート作業が省力化されたことで代理店からのご提案の質も上がったそうです。

 代理店側が、「レポートがなくなったら仕事がなくなってしまう」という不安感を持っているケースも見られますが、杞憂だと考えています。

 代理店側も、レポーティングの仕事が減ることで働き方が改善され、追加の提案にリソースを割けるようになり、追加の発注がくれば当然収益の柱である広告メディアの取扱高も上がっていく。広告主、代理店の両サイドにとっての好循環が回るようになります。

 実際にここ数ヵ月で日本の広告代理店にDatoramaの導入が進んできていて、レポーティングにおける考え方も変わってきているように思います。

高瀬:私たちとしては、そうした「双方よし」の取り組みが拡大していくかどうかは、本質的には広告主側のマーケターのディレクション能力にかかっていると思っています。

 代理店主導でBIツールの導入を進めたものの、マーケター側がそれを見ていない、あるいは見ても指示が出せない状況にあるとしたら、マーケター側の一念発起も必要になると思います。

 パートナーとなる代理店の担当者が圧倒的なパワーを持っていて、良い意味でクライアントを掌握して、部門内外の利害関係者全部をディレクションできるならいいですが、そうでない場合は、マーケター側が主導権を持って実行していくんだ、ディレクションをしていくんだ、パートナーを動かしていくんだという強い意志と行動で推進していっていただきたいのです。

 そして、挑戦するマーケターのみなさんを、私たちは全力で支援して、本当の意味でのパートナーシップを築きたいと考えています。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/10/11 12:00 https://markezine.jp/article/detail/27007