少数精鋭で全社のデジタル戦略を統括
国内だけで8,100万会員、海外を含めて実に1億以上の会員を擁するジェーシービー(以下、JCB)。CRMデータの容量は40TBに上るというから驚く。同社は2015年4月、全社のデジタル戦略を担うWEB統括部を立ち上げた。これまで各事業や商品・サービスごとに存在していたデジタル関連機能のうち、戦略立案から推進の統括をとりまとめた形だ。
同部の業務の範囲は、実に幅広い。海外を含め、会員や加盟店などのステークホルダーがアクセスするWebサイトやアプリ、ソーシャルメディアなど100以上のチャネルのガバナンスと戦略立案、施策の推進だ。さらに、会員専用Webサービス「MyJCB」およびアプリの開発や運用なども担っている。
これらを、ガバナンス、データ分析、CXデザインの3チームからなる企画グループと、WEB推進グループの2体制で進めている。社員21名、協力スタッフ数名の少数精鋭で、カードの会員獲得や利用促進などを担当する各事業部門と都度タッグを組み、施策を検討・試行して軌道に乗せるまでを進めている。
同社の主な事業は、カード事業、加盟店事業、各種カードへのブランドライセンス事業、カード事業者から決済スキームを受託するプロセシング事業の4つ。大きく、BtoCとBtoBtoCのモデルの2種類がある。
「いずれにおいても、お客様の日常の生活やライフイベントに寄り添い、期待に応えることで『持っていてよかった』という存在になることを目指しています」と、WEB統括部長の岡田良太氏は話す。
有効な指標・施策を速やかに見極める、クラウド導入の理由
かつてJCBの顧客体験の場は、カードを使う店舗の対応などが中心だったが、やがてコールセンターや海外サポート窓口のJCBプラザでの対応も重要度が増し、今では直接の接点であるデジタルチャネルの存在感がとても大きくなっている。
「そこでしっかりとお客様と良好な関係を築いて初めて、BtoBのパートナーともWin-Winの関係を築けると考えています」(岡田氏)。
そのため同社は以前から「顧客視点」を掲げたサービス向上に取り組んできたが、このデジタル時代に多様化する顧客に寄り添ったアプローチを実現するために、2017年2月から「Salesforce Marketing Cloud」(以下、Marketing Cloud)を導入している。
Marketing Cloudを導入した大きな理由は、そのスピード感にある。岡田氏は、各チャネルから集まる顧客の要望にすべて目を通しているというが、「お客様にとって当たり前のことを当たり前に実現するのは、企業にとっては決して当たり前ではない」と苦労を語る。
「どうすればお客様満足が上がり、LTV向上につながるのか、自己満足ではなくしっかりとKPIを設定して追う必要があります。ただし要素が多いので、様々な取り組みのPDCAを速く回して、有効性を速く見極めていくことが重要です。それはオンプレミスでは対応できない。都度、必要な契約をすることで、速くPDCAを回せる実行環境として、Marketing Cloudは最適でした」(岡田氏)
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