まず、各ライフステージでの顧客の“当たり前”を分解
では、実際に現在どのような施策を実行しているのだろうか?
前提として、カードには入会や利用促進といった複数のライフステージがあり、それぞれのステージにおいて各顧客の“当たり前”がある。その抽出と分解が取り組みの第一歩となった。各ステージで理想のカスタマージャーニーを描き、その中の各プロセスにおける顧客の期待を整理した上で、ではその期待に応えられているのかを考え、ギャップを洗い出す。そこでも、先の岡田氏の話のように数値で可視化しなければ感覚的になってしまうので、逐一KPIを設定して数値での確認を基本とした。
Marketing Cloudを用いた顧客満足の向上には、WEB統括部の企画グループ内のCXチームが主に取り組み、データの抽出などは分析チームがサポートしている。CXチームの桑原光彬氏は、チームについて「Webサイトやアプリ、メールなどのデジタルチャネルを活用した顧客体験の最適化がミッション」と話す。
最初に取り組んだのは、「入会初期」のライフステージでの顧客体験の改善だ。事前に部内でカスタマージャーニーのたたき台を作成しながら、入会後のコミュニケーションを主管する部署に取り組みの背景や目的を説明し、合わせて同部に現状の取り組みやKPIをヒアリング。チームビルドに、今年の2月ごろから2ヵ月ほどかけたという。
3時間のワークショップで顧客行動・心理の仮説を構築
プロジェクトの要は、3時間に及ぶワークショップ。カードを申し込んだ顧客が1~2週間後にカードを受け取ってから、具体的にどういう行動をとるのか。その都度、どんな希望や要望があるのか。それに対して現状でどうアプローチしていて、その反応はどうか。それらを把握し、理想のカスタマージャーニーに対して欠けている穴を埋める施策を検討した。
たとえば以前は、入会後1ヵ月ほどしてからウェルカムプログラムとして、カードの使い方に関する6話構成のメルマガを送付していた。しかし実状を調べると1ヵ月後には多くの顧客が初回利用を終えており、また顧客全員への自動配信のため各人の利用状況を踏まえてはいなかったことから、もっと初回送付を早め、かつ未利用の顧客へは別のアプローチが必要だと浮かび上がった。
そこで、メルマガでの解説とは別に、入会初期施策としてシナリオメールを設定。1~2週間のうちに、入会のお礼から始まる4通のメール送付を計画し、ワークショップ後に実際にMarketing Cloudを通して実行。
すると、入会のお礼メールは開封率が約70%と高い数値を示し、MyJCBへのログインページなどへのクリック率も約43%となった。続く初回利用のお礼メールなどでも、同様に高い反応が得られたという。
「当社から配信するスポットのメールだと、開封率は20%ほどなので、施策を実行してみて、タイミングを捉えたアプローチが大切だと実感しました」(桑原氏)
「マーケティング最新事情レポート」(全49ページ)で
世界3500人のマーケティングリーダーのインサイトをチェック!
世界中のマーケティングリーダーを対象に毎年Salesforceが実施している市場調査。その最新の調査結果から明らかになったマーケティングトレンドや、高い成果を上げているマーケティングチームの共通点などをまとめたレポートです。
* マーケティング業界に波及するAI革命
* 加速するマーケティング組織変革
* カスタマージャーニーの進化を阻むデータ管理の問題
その他、最先端のマーケティングインサイトをぜひ、ご覧ください!
ダウンロードはこちらから。