特定の業界を獲得したいなら、その業界のドンを捕まえよ
松澤:レシピを提供してくれるパティシエ2名、ブロガー10名が揃い、かつ一般人がどんどん自由に投稿できる機能が揃って自動的にレシピが集まる。この時点で、かなり理想的な状況だと思うのですが、さらにこのコミュニティの階層化もされていますよね?
佐藤氏:はい。ブランディングにはプロが必要だなと思ったので、パティシエを増やしました。親会社のタイセイのお客様は、小さいケーキ屋さんなどが主だったので、パティシエの中でも上位層への知名度がまだ低かったんです。
そこでスイーツ界のトップofトップ、辻口博啓氏にアプローチをしました。パティシエへのお支払いの金額はすべて一律ですが、快く承諾をいただき、レシピ掲載に至りました。
松澤氏:おお!一気にパティシエ界のトップを獲得したんですね!
佐藤氏:辻口氏には、「一般人でもプロの資材を使ってレベルの高いお菓子作りをしてほしい」という思いを伝えました。個人的なつながりは一切なく、真っ正面から思いを伝えようとメールしました。快諾いただき取材・掲載した後は、辻口氏のレシピと並ぶならと、多くのパティシエがレシピ提供の取材を受け入れてくださるようになりました。

松澤:その業界のトップを獲得することで、一気にその業界のコミュニティも獲得できたんですね!
徹底された階層化でコミュニティを活性化
松澤:ところで、ブロガーさん達も、オフィシャルパートナーとパートナーの二層に分けていますが、これにはどういった狙いがあるのですか?
佐藤氏:ブロガーは一般ユーザーにとって手の届きそうな、でも一歩先を行く存在です。なので“私もなれるかも!”という親近感と“手が届きそうで届かない”憧れの両方がコミュニティには必要なんです。
そこで、3つの基準から選定試験を行い、合格した方を弊社の「パートナー」に昇進させることで、コミュニティの階層化を実行しました。選定基準は、ブログがcotta掲載にふさわしい、 ブログからcottaへの流入数値が良い、レシピの質が高い、の3点です。
パートナーになると弊社のサイトで紹介され、資材や食材のプレゼントがあるだけでなく、仕事の依頼もきます。パートナーの中でも上位の方を弊社サイトに常に掲載するなどして、競争原理が働くようにしています。

松澤:階層化させた結果、コミュニティがさらに活性化したんですね。それ以外にメリットがありましたか?
佐藤氏:パートナーさんが、弊社のサイト作成を手伝ってくれるようになりました。もちろん仕事として依頼していますが、プロの方々で頼むよりも安価で、それにユーザー目線も理解してるので本当に質がいいんです。
たとえば、エプロンの商品を紹介するページの作成を依頼すると、細かくディレクションしなくても自分のお友達を動員して撮影したり、ユーザー目線のライティングもしてくれるんです。社員ではないし、別に顔や名前を出してもらってるわけでもないのに、自分から積極的に関わってくださる方が多くて本当に感謝しています。

松澤:コミュニティメンバーを巻き込んでどんどん参加させているんですね!あと、そのパートナーさんやオフィシャルパートナーさんの事情をcottaの運営側が理解されていて、適正なお仕事を依頼されているというのも大きい気がします。
佐藤氏:そうですね。パートナーさん達は地方に住んでいる方も多いのですが、少なくとも年1回は挨拶周りしてパートナーさんを理解するようにしていますね。パートナーさんたちの得意分野なども把握しています。先述したエプロンの紹介ページの依頼の時も、スタジオのような写真映えするキッチンを所有している方へピンポイントに依頼をかけています。
cottaにとってブロガーさんは一緒に成長してきたまさにパートナーのような存在です。