課題と提案をマッチングする「ファネルワン チャレンジ」
押久保:「MarkeZine」ではもう10年以上、デジタルマーケティングの情報を発信していますが、この1年ぐらいで編集部に問い合わせいただく人の幅が急に広がった印象をもっています。まさにこれから勉強を始める方、しかも、切迫感をお持ちの方が多い印象です。
中村:それだけ、デジタルの裾野が広がったということですね。
押久保:そう思いますね。この領域はとにかく加速的に進化していて、日々勉強している方でもキャッチアップするのが大変なので、これからという方にはよほどだろうと。そう感じていたところ、田中さんからファネルワン チャレンジの話を聞き、時流に合ったサービスだと思ったのです。簡単に、田中さんから概要を紹介いただけますか?
田中:ひと言でいうと、広告主とベンダーをマッチングするプラットフォームです。広告主は部署ごとに登録でき、課題の粒度はそれぞれでご判断いただきますが、現状の課題を入力し公開できます。ベンダーはそれらを確認し、どの課題なら自社のサービスで解決できるかを考えたり、より実情を踏まえた提案をしたりすることができます。
現状ではキリンさんをはじめとして、こうした新規サービスのトライアルに積極的な6社さんに、最初の広告主として登録いただいています。ベンダーは60社ほどが登録している状態で、年内に150〜200社程度まで増やしたいと思っています。
星の数ほどあるサービスから解決策を選ぶには
押久保:今はプレオープン段階と聞いています。
田中:そうですね。まずは6社が公開する課題にどんな提案が集まるか、利用状況を把握しながら、今後のモデルケースとなるような成功事例を生み出せればと考えています。また、広告主側の使い勝手も短期間で改善していきます。
押久保:そうなんですね。今回の座談会では、ファネルワン チャレンジの提供社であるFunnel1の田中さん、キリンから島袋さん、そしてキリンのビジネスパートナーであるSupershipから、広告主とベンダーの双方の立場を知る中村さんを交えて、広告主とベンダーの間にある課題と、その突破口を考えてみたいと思います。
まず田中さん、サービス立ち上げの背景をうかがえますか?
田中:まさに最初にお話があった、この領域の進化が速すぎるということがひとつの大きな理由です。カオスマップもベンダーの数が増えすぎて、各社の製品・サービスの強みをそれぞれすべて把握することは、現実的に考えて無理だと思います。日々新しいソリューションが誕生していますが、広告主が自社の課題に本当にマッチしたものを選ぶのはとても難しいと思います。
同時にメディアや生活者の多様化も進み、広告主の課題も本当に千差万別です。ベンダーも、どのような提案をしていいのかポイントが掴めない。結果的に、自社の話が中心の売り込みになってしまう。中村さんは両方のお立場を経験されていますから、よくご存知ですよね。
中村:わかります。ブランド側にいたときは、電話を受けてちょっと聞けば「あ、すみませんがそれはまったくうちの課題に合致しません」ということも多かったです。でも、ベンダーや代理店から「御社の課題はなんですか?」と聞かれても困る。粒度が読めないからです。
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