商品特長の訴求に物語を活用する
特に広告に物語を組み込む場合、テレビCMでもよく使われている構造が「対極法」です。商品を知らない主人公がムダな努力をする、商品の性質と対極的な展開をするといったものです。
たとえば、「LINEバイト」のPRとして私が企画・原案を手がけたマンガコンテンツ『バイト先への電話が死ぬほど怖い』は、「LINEなら手軽にバイト応募ができる」という特性と真逆の行動を主人公がとっていく内容です。

このマンガのあらすじは次の通りです。
1.電話マナーが苦手な主人公
2.好きな子の職場へバイト応募するが、電話が苦手で失敗する
3.電話マナー教室に通い、猛烈な電話修行を行う
4.電話の達人になるが、交通事故で声が出なくなる
5.LINEでバイトできる「LINEバイト」を知る
※「LINEでも応募できたんか…」と号泣する主人公
1~4の「ムダな努力」を丹念に描くことで、そのムダな努力をしなくて済むという商品特性を訴求できます。
あのテレビCMもこのパターン
この対極法は最後に商品紹介をすれば話がオチるので、ドラマ描写に尺をさけるというメリットがあり、使いやすい方法です。実際にテレビCMでもよく使われています。たとえば、「それさぁ、早く言ってよ~」が印象的なクラウド名刺管理サービスの「Sansan」のテレビCMは、対極法を使った以下のような展開です。
1.競合プレゼンに負けた課長
2.課長「連中が先方の田中常務と面識があったなんて」
3.若手社員「あの~、田中さんとは地元の釣り仲間でして」
4.課長「それさぁ、早く言ってよぉ~」
5.クラウド名刺管理サービスの紹介

1~4で「商品のことを知らない主人公のムダな努力」を描く、構造としては先ほどのマンガとまったく同じものです。
この対極法は昔からよく使われる方法です。ちなみに「対極法」は私が名付けたものです。対極法は、「説明が少なくてもわかる」「従来習慣を変える革新的なコンセプトの商品」の広告に合っています。ですが、実はそういった商品はそれほど多くありません。ですので、いくら対極法が便利でも、実際に使える機会は限られてくるかもしれません。
広告とコンテンツを組み合わせる「構造パターン」の中で、「物語のパターン」と合致するものは、小説やマンガや映像など、物語として構成できます。

対極法自体、「無知ゆえにムダな努力をしてしまった……」という物語でよくあるパターンなので、比較的広告と相性が良いパターンです。このように、広告に使える物語のパターンに名前をつけて体系化していけば、コンテンツマーケティングで物語を自由に使えるようになります。
物語のパターンは限定されます。その中で広告と組み合わせることができるパターンはさらに数が限られるので、できるだけ具体化して広告と組み合わせるようにします。