情シスに依頼せずにタイムリーなメール配信を実現
ホテルや旅館、レストランなどの予約サイトなどを運営するA社では、ユーザーがサイト内で自分の予算や好みに従って回遊したり予約したりすることから、豊富なデータを取得することができる。
しかし社内の体制上、氏名やメールアドレスをはじめとする顧客の個人情報は情報システム部が管理しており、マーケティング部はタイムリーにユーザーにアプローチできないことが課題となっていた。
マーケティング部が管理できていたのは、会員IDやホテルの情報など。たとえば一度閲覧したホテルの情報をメールでお知らせする際は、まずマーケティング部にて会員IDをもとに配信対象者を抽出し、それを情報システム部が管理するメールアドレスと紐付けることで配信リストを完成させていた。
一連の作業を手動で進めていると、メールを配信するまでに当然時間がかかってしまう。「こうした問題は、実は非常に多くの企業で共通しています」と北村氏。
そこでCCMPを導入し、マーケティング部が管理するデータと情報システム部が管理するデータの両方を一つのプラットフォームに取り込むことで、それぞれのデータをデイリーで自動連携できるようになった。また、CCMPのリレーショナルデータベース構造により、顧客マスタ情報と予約データを結合するなどし、柔軟な配信リスト生成が可能になった。
このようにCCMP導入後は、手作業でのリスト作成がなくなり、業務を効率化することに成功した。結果、マーケティング部が常にフレッシュなデータを使い、機を逃さずにセグメントメールを配信できるようになった。
人対人のような自然なコミュニケーションを実現
続いて、MAツール導入でどのような効果的な施策が実施できるのか、さらに具体的な例が紹介された。食品の定期宅配便を中心とするネットスーパーのオイシックスドット大地は、モバイルファーストという同社の方針に基づいて、MA導入を検討。
もともとスマートフォン最適化に注力し、当然ながらコミュニケーションもメールだけでなくSNSやLINEなどモバイルに合ったチャネルを使いたいという要望が強かったという。
定期宅配というビジネスモデル上、顧客満足度を高めて継続率を維持することが重要なテーマとなる。「食材をおいしく食べていただく体験が、サービスの継続において重要なので、MAツールでその後押しをしよう、という狙いがありました」(北村氏)。
そこでCCMPを導入して今実施している施策のひとつが、「食べ方おすすめメール」。卵や野菜のセットなどを購入したユーザーに、食材の魅力を最大限に伝えるための、食べ方を提案するメールを送るというシンプルな施策だ。
このメールを単純にメールシステムで配信すると、常に特定の商品を買っている人には同内容のメールがいつも届いてしまう。そのためMAツールで重複を避け、適切な頻度でのコミュニケーションを実現した。「MAというと、とかく複雑な分岐と膨大なシナリオがイメージされますが、人対人なら当たり前に行われる“自然なコミュニケーション”の実現もMAを使う醍醐味。その好例だと思います」と北村氏は解説する。