「カップル成立=退会」がマッチングアプリのジレンマ
次に登壇したのは、エキサイトで「AMIPLE」のグロース施策を統括しているの山本貴士氏である。

「AMIPLE」はライブやスポーツ観戦などのイベント同行者を探せるサービスで、趣味によってつながる「インタレストグラフ」と呼ばれる仕組みだ。「AMIPLE」が一番得意としているのはサマーソニックなどの音楽フェスだという。

山本氏は過去にエキサイト婚活のようなマッチングサービスや、AKB48・SEKAI NO OWARIなどのファンサイトを運営してきた。マッチングとファンサイトの両方を経験する中で、ジレンマを感じてきたという。

いわく、マッチングは「カップルが成立したら退会するのが前提」のサービスであり、ファンサイトはコミュニティを築き上げることの費用対効果が見られないことにネックがある。そこで、公式のイベント情報を軸に趣味でつながるインタレストグラフのコミュニティを形成し、「ダム」として婚活アプリへの継続的な送客源にするというアイデアが生まれたという。
「出会い系」とみなされないことで、社内外との連携が容易で、イベントコラボ、アーティストコラボ、スポーツチームコラボが次々に実現したという。

現状は無料のサービスとして運営しており、「AMIPLE」自体のレベニュー源は広告のみで、自社の婚活アプリへの送客がメインとなっているが、今後は「AMIPLE」のコミュニティを活用してBtoBtoCの形で売上を作っていきたいとのことだった。
アメリカではカジュアルマッチングが覇権握るも、人気に陰り?
「すでにオンラインデーティングアプリは米国人が出会って結婚した理由として最大のものになっています」と語るのはMrk&Coの上條景介社長。

上條氏は学生時代にブログ「がんばれ、生協の白石さん」を開設した人物で、ディー・エヌ・エーに務めたのち独立。Mrk&Coを設立して、アメリカとカナダのユーザーに向けてマッチングアプリ「Dine」を展開している。
上條氏によると、北米のオンラインデーティング市場は巨大で、「2002年から2012年に結婚したアメリカ人カップルの出会いのきっかけ」のうち第一位は「オンラインデーティング」だという。

アメリカにおけるオンラインデーティングの市場規模は2017年において2,500億円で、日本の200億円に対して大きく差をつけている。アメリカには2,000以上のオンラインデーティングアプリが存在するという。
上條氏によると、オンラインデーティングアプリには大きく2つの世代があり、現在は第2世代が支配的な地位を占めつつあるということだ。第1世代は、日本の「Pairs」のような検索型マッチング。第2世代は「Tinder」のようなカジュアルマッチングで、写真ベースで手軽に異性とマッチングできることが若者を中心にうけているという。


ただ、カジュアルマッチング型を中心に、真面目に婚活したいユーザーの間で不満が高まっているのも事実だという。
「Tinder」の使用目的を調査したところ、3位がエゴブースト、つまりアプリで出会いたいと思われる自分を演出して自己顕示欲を満たしているユーザーで、2位がカジュアルデートをしたいユーザー、1位はエンターテイメントで、単純に異性の写真を見て楽しんでいるユーザーが一番多いという結果になった。

そこで上條氏が開発している「Dine」は、第1世代・第2世代のオンラインデーティングアプリにおける課題を解決すべく、カジュアルマッチングのように使いやすくしたうえで、デートを実現することに特化することで、真剣な婚活ユーザーのニーズを満たそうとしているという。すでに好評を博しており、App Storeで「Best New App」に選ばれるなど、メディア露出が増えているという。
