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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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定期誌『MarkeZine』特集

帰りのバスでタブレット検索 シニアの次のニーズを捉える施策とは

“当たり前”と“苦手” デジタルシフトは二極化

――それだけ多くシニアを捉えられている要因は、どういった部分にあるとお考えですか?

岡山:大きくは、顧客接点の強さだと考えています。企画から販売、添乗までを社内で進めているので、お客様と一対一の関係を築きやすいと思いますね。当社では専門の添乗員もいるのですが、現場を知る目的で、基本的に社員は全員ツアー添乗を経験することになっているので、そうした機会に現場で聞いたお客様の声を次のツアーにすぐ反映することもできます。お客様から見ると、自分の意見がすぐ反映されたという感覚があるのかもしれません。

――電話申し込みとWeb申し込みの割合は、どの程度でしょうか?

市川:オンラインで決済まで完結するWeb申し込みが、全体の3割です。旅行業界全体では無店舗のオンライン旅行会社が増えているので、若い人を含めると平均的にはもっとデジタル化が進んでいますが、60〜70代中心で3割というのは多いかもしれません。

 また、情報収集はネットで、申し込みは質問なども交えて電話で、という方もかなりいらっしゃるので、デジタルに触れている人の割合はもっと高いですね。ネットでクレジットカードを使うことに抵抗がある方もまだ多いので、EC化が進んでその抵抗が低くなれば、オンライン決済の割合はまだ伸びると思います。

 シニア層は、PC中心かというと意外にスマートフォン利用も増えています。ただ、オンラインが苦手な方はPCもほぼ使わないケースがあり、個人的には二極化している印象があります。

Webで新規を獲得し紙媒体でリピート化

――御社はテーマ性の高いツアーが特徴的で、パンフレットも相当な数に上ると思います。どのくらい発行し、どうパーソナライズしているのですか?

市川:毎月100種類以上発行しており、更新は毎月〜季節ごとなど様々です。制作は、国内外の地域別やテーマごとに各企画部門が外部パートナー企業とともに進めています。

 パーソナライズについては、まず資料申し込みや会員登録をいただいて『旅の友』を送る初回には、一般的に人気のあるパンフレットを同梱します。その後はお客様のツアー購買履歴に基づき、お客様の興味がありそうなパンフレットを加えていきます。たとえば、そこでその方がバスツアーを申し込んだら、次の機会にはバスツアーのパンフレットが加わるといった感じですね。

――紙媒体は制作費も郵送費もかかるため、元々は紙ベースで事業をしていた企業も、たとえば優良顧客にのみ送ってあとはデジタル化する流れもあります。そうした状況をどうご覧になっていますか?

市川:当社も、Web申し込みを増やしていく方針です。お客様から「今後は紙のパンフレットは要らない」とご意見をいただくケースも年々増えているので、その点でもデジタルに少しずつ軸足を移す必要はあります。

 ただ、紙媒体での獲得分を現状ではWebでカバーしきれないので、送付先の確度の見極めは大事ですが、紙媒体を止めることは当分はないと思います。また、当社が多く扱うテーマ性の高いツアーはロングテールの特徴があるので、Webとは相性がいいんです。なので、そうした企画をフックにWebで新規のお客様を獲得し、それ以降は紙媒体とWebを連携させリピート化を促す、そんな流れを目指しています。

「クラブログ」を通したコンテンツマーケティング

――ちなみに先ほど新聞広告のお話もありましたが、新聞など他のチャネルと比較して、Webでの新規獲得の工夫や実際の施策などをうかがえますか?

市川:特別にものすごく特徴的なことがあるかというとそうではなく、やはり検索エンジンを主体としたSEM施策が中心になっています。新聞広告は、1回出稿するとまとめて申し込みがあり、その時点で各ツアーの最少催行人数が埋まるので、1回の広告のインパクトは大きいです。その反面Webは、どちらかというと中長期的な売れ方をする中でPDCAを回しながら効果を最適化していくのが適していると思うので、先ほどお話ししたような顧客のデジタル化も踏まえて、Webでの最適な販売の形を常に模索しているところです。

 Webでの顧客の特徴という点では、シニア層の方々はPCやスマホをカスタマイズすることは少ないので、使用しているブラウザソフト、ブラウザ立ち上げ時のホーム画面の設定が初期設定のままということが多くあります。その点は、世間一般の傾向と比べると大く違う点だなと感じています。

――スタッフの方々が投稿するブログ「クラブログ」は、コンテンツマーケティングの一環だとお見受けしました。目的や方向性をうかがえますか?

岡山:確かにコンテンツマーケティングとして取り組んでいて、特にロングテールのテーマ性の高い旅を知っていただくきっかけになればと考えています。

 当社のテーマ旅行は非常に細かくセグメントしていて、歴史や写真などの趣味の切り口の他、「女性限定のひとり旅」「人生のエンディングプランを考える旅」といったニッチなものも多いのですが、紙にはスペースも限りがあるのですべてはお伝えできません。「クラブログ」は、企画担当者の息づかいがわかるくらい、リアルに旅の舞台裏を伝えられる場を目指しています。

 ただ、通常のコンテンツマーケティングは潜在ニーズのある顧客をつかみ、囲い込むことが目的になると思いますが、当社のツアー商品は既に根強い支持をいただいているので、顧客の囲い込みを目的にしているわけではありません。むしろ逆のベクトルで、テーマ性の高い商品を出してリーチを広げ、当社の活動をより深く知ってもらうことを狙っています。

クラブツーリズムの旅行情報サイト「クラブログ」

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 17:49 https://markezine.jp/article/detail/27434

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