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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

帰りのバスでタブレット検索 シニアの次のニーズを捉える施策とは

ロングテール商品の検索時の受け皿に

――既に人気のあるツアーを、Webでリアルに紹介して広く見てもらい、新規を獲得するということですか?

岡山:そうですね。まさに、そのテーマの粒度をどのくらいに設定するかを悩んでいるところです。ニッチなツアーは驚きや話題性はありますが、度がすぎると新規の方に興味を持ってもらいにくいので、確かめながら調整していきます。また、販売現場からの発信はどうしても商品ありきの目線になるので、新規の方の動線を強化できるような内容や記事のタグ付けもマーケティング部としての課題です。

――コンテンツマーケティングは、売上への貢献を部門や社内から求められ、苦戦している話もよく聞きます。現状の閲覧状況やKPI、手応えをうかがえますか?

岡山:7月にリニューアルして、現在月間約1万PV程度です。特にこれ単体での広告はないので、オーガニックと既存サイトからの動線が流入経路です。

 マーケティング部としてのKPIは、まずECサイトへの流入数とCVRです。リニューアル前は、当社の中でもよりリピーターが多い商品を中心にアップしていたのですが、そのCVRが高かったので、この流れを新規に受け入れられやすい商品へも広げようとしている状況です。会社からの期待はもちろん、このブログを通したWeb全体の売上拡大です。

 まだオープンしたばかりなので、数的な手応えはこれからです。ただ、今はシニアの方々も、リアルな口コミやテレビなどで新しいキーワードを知り、Webで検索するのは一般的です。当社のバスツアーでも、帰りのバスの中でタブレットを出して次のツアーを検索する方もいるくらいです。そのときに当社の情報が上がらないと競合に負けてしまいますが、ロングテールの商品は大々的な特集LPなどを作れないので、申し込みページとは別の興味喚起の場としてクラブログを役立てたいと思います。

コミュニケーションの場がデジタルに移っていく

――先ほど「紙媒体はもう要らない」という声もあると聞きました。クラブログのお話も含めて、シニア層の変化にどう対応していくか、お考えをうかがえますか?

市川:今でも事業の根幹は紙ベースと言わざるを得ないので、ご指摘の点に危機感があるのは事実です。現状の、当社販売サイト「club-t.com」では、機能的な部分や顧客への親和性なども含めて紙を完全に代替できているわけではないので、クラブログを補完的に使いながら、オフラインでの顧客コミュニケーションをデジタルでもしっかり展開することを目指しています。

 究極的にはシニアというよりデジタルを使い慣れないすべての方に、「あなた向けのパンフレットが自宅に届いてすぐ選べる」のと同じような感覚で、ネットですぐに最適な情報にアクセスできる環境を実現できれば。いちいち検索して比較検討しなくてもいい、Oneto Oneのサービスが理想です。

――一方で、LINE公式アカウントを開設されたり、“女子旅”を打ち出した商品があったりと、若年層向けのアプローチもされています。そのあたりも含め、今後の展望をお聞かせください。

市川:当然、シニア向けだけでは先細ってしまうので、若年層を含めた広い世代へのアプローチも喫緊の課題です。

 ネット自体、どの世代にとってもひとつの重要なコミュニケーションツールになっています。今後、広い顧客層の方々と接点を保ち続けるためにも、やはり当社の元々のポリシーである「顧客接点を密にする」ことが重要だと思うので、その部分に引き続き注力していきます。

岡山:コミュニケーションツールが増える分、各チャネルで最適なコンテンツの見せ方を考える必要があると思っています。当社には「お客様の役に立ちたい」と考えている社員がとても多く、それが現場での対応を含めてシニアの皆様の支持を得ている要因だと思う一方で、コンテンツに思い入れがあるだけに、凝り固まってしまう点があるかもしれません。良さは活かしながら、客観的にコンテンツを整理していきます。

 また、シニアの方々も今後興味関心のある対象や価値観がますます多様化し、それをシェアしたい気持ちも強まるのではと感じています。その点に当社のテーマ性の高い旅行は非常に合致していて、ツアーで仲間を見つけ、今度は一緒に行こうという会話が当たり前のように現場で起きていますが、その会話も今後はネット上で展開されるかもしれません。そうした動きも含めて、チャネルを充実させていきたいですね。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 17:49 https://markezine.jp/article/detail/27434

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