進むアパレル業界のデジタルマーケティング
「TSI ECストラテジーが実現したMA運用の自走化 ~導入・運用においてスモールスタートを成功させた秘訣とは?」と題した講演に登壇したのは、株式会社TSI ECストラテジー デジタルマーケティング部 オムニチャネル推進課の飯田祐紀氏だ。同社は総合アパレル企業、TSIホールディングスのグループ会社である。
TSIホールディングスは、2011年に東京スタイルとサンエー・インターナショナルが経営統合し設立。「nano・universe」「JILL STUART」などを代表する34のブランドを持ち、国内に約1,400店舗を展開する。
その中でTSI ECストラテジーは、グループ直営のショッピングモールMIX.Tokyoの運営と、各ブランドのEC事業およびデジタルマーケティングを統括している。
2017年2月期におけるグループ全体の売上は1,591億円。そのうちEC売上は255億円で、EC化率は16%となっている。
ユーザーの好みが多岐にわたり、また扱う商品数も多くシーズナリティが重要視されるアパレル業界では、ECの強化とマーケティングオートメーション(以下、MA)を導入したデジタルマーケティングの事例が目立つ。しかし飯田氏は「当初、MAを導入する予定ではなかった」と語る。
2つの課題解決に適したCCMP
では、TSI ECストラテジーはどのようにしてMAの導入に至ったのだろうか。飯田氏はまず同社の抱えていた2つの課題を語る。
「一つは、これまで使っていたメール配信システムの配信到達性に問題があったこと。もう一つは、お客様ごとの最適なコミュニケーションをメールで実現できず、その結果顧客ロイヤリティが向上できていなかった点です」(飯田氏)
配信到達性とは、遅延なく不達(迷惑メールBOX入りを含む)なく、マーケターの意図通りに、メールを届けるために必要な性能である。同社ではメール会員数の増加にともない、全体の4分の1のメールが配信しても意図したとおりに届かないという状況に陥っていた。そのため配信基盤のリプレイスを考え、当初はチーターデジタルが提供する、配信到達性に定評のあるメール配信システム「MailPublisher」の導入を検討していたという。
さらに、当時配信していたメールマガジンは一律のコンテンツだったため反応率が下がっていた。お客様の定着化とロイヤルカスタマー育成を実現するためには、お客様ごとに合わせたコンテンツを配信していく必要があると考えていたのだ。いくつかツールの検討をしていく中で、飯田氏はチーターデジタルのCCMPを知る。
「CCMPはMAの基本的な機能に加えて、高い配信到達性を保持しています。MA導入後もシナリオ配信だけでなく、ブランドメルマガなどの一斉配信を同時に運用していきたかったため、運用をワンプラットフォームに集約できるイメージが持てました。それが決め手となりCCMPを選定しました」と話した。
また、同氏は自社が持っていた課題が解決できること以外にもCCMPを選ぶ決め手となった理由を2つ挙げた。1つ目は、データ活用が容易にできるということ。導入後、部署内で定着させるためには「マーケティング部門の中で運用できる」という視点を重要視した。
中にはデータを抽出するために、SQLなど特別な知識を要するものもある中で、CCMPはそれが管理画面の操作だけで完結する。データ活用のハードルを下げることで、コミュニケーションの最適化やお客様の定着化・ロイヤルカスタマーへの育成といった課題の改善が期待できると考えたのだ。
そして2つ目は、チーターデジタルのサポート体制だという。
「チーターデジタルさんは、いつでも問い合わせができるサポート体制が整っています。問い合わせはメールでのみ、時間を超えた場合は有償といった制約もなく、不明点があった場合は電話で気軽に相談することができます。そうすることでスピーディーにPDCAを回す体制を整備できると思いました」(飯田氏)