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イベントレポート

Advertising Week New York 2017でGoogleは何を語ったのか?

FacebookとGoogle、Pinterestのキーマンが語る、2018年予測(4、How the Biggest Global Platforms do Marketing Analytics)

 このセッションは、Neustar社のJulie Fleischer氏をモデレータに、FacebookからBrad Smallwood氏、PinterestからGunnard Jhonson氏、そしてGoogleからはGoogle アナリティクスのプロダクトマネージャーでもあるBabak Pahlavan氏が登壇し、マーケティングにおける計測や分析の課題や取り組みについてパネルディスカッションが行われました。

FacebookとGoogleが重要視する、データ計測の指針

 冒頭、Julie氏から「皆さんのデータ計測に関する指針はなんでしょうか?」という問いが投げられました。

 これに対し、まずFacebookのBrad氏からはメディアとしてどのようにクロスデバイスでメッセージを届けるかだけでなく、すべてのクロスデバイスでどのように計測をするかも考えているとし、3つの重要なピース(指針)を挙げました。

 1つ目の指針は、「3rdPartyエコシステムの利用」です。「Facebookだけのデータではなく、またデジタルだけでなくすべてのメディアのデータを利用することが重要」と語りました。そして2つ目のピースに「transparency(透明性)」を挙げ、外部の監査である米国MRC(Media Rating Council:メディア調査会社の監査や認定審査を行なう業界団体)認定の重要性を説きました。そして3つ目のピースとして「accessibility(アクセスしやすさ)」を挙げ、すべてのマーケターがデータを活用できる仕組みが必要だと語りました。

 Googleが2005年に今のGoogle アナリティクスの元となる「Urchin」を買収してから計測については長い歴史があります。その上でGoogleのBaback氏は「我々はAdWordsとGoogle アナリティクスを横断した計測ソリューションを提供しているが、今後はブランド計測(リーチやブランドリフト)も提供しようとしている」と語り、次にあげる3つの指針を紹介しました。

 1つ目は「simplicity(シンプルであること)」。Googleが提供しているツールは理解しやすく直観的な使いやすさがあります。2つ目の指針は「actionable(実行可能であること)」とし、計測したデータによってアクションにつながることの重要性を語りました。3つ目に「trustworthiness(信頼性)」を挙げ、DoubleClickも含むプロダクトで多くのMRC認定を受けていることを紹介しました。

左から、Facebook のBrad Smallwood氏、GoogleのBabak Pahlavan 氏、
Pinterest のGunnard Jhonson氏、そしてNeustar社のJulie Fleischer氏

2018年はアトリビューションの年になる

 それぞれ立ち位置の異なるパネラーが各自のデータ計測と活用についての考え方を述べる中でJulie氏からの「今後の計測についての取り組みは?」の問に、GoogleのBaback氏はいくつかのポイントを挙げました。

 モバイルの普及にともなったクロスデバイス集計の重要から「Google Device Graph」の活用にも言及したうえで、まず第一に「2018年は全面的にAttribution(製品)にとってBig Yearになる」と語りました。5月にサンフランシスコで開催された“Google Marketing Next”で新製品である「Google Attribution」が発表されましたが、それがいよいよ2018年早々にローンチされる予定だからか、Baback氏の説明にも熱が入っていました。

 さらに、計測の次の段階として”Cross Stream Measurements“という言葉を使い、テレビ視聴とデジタルチャネルのクロス計測とアトリビューション分析についても言及し、既にローンチしている「Google Attribution 360」の可能性にも言及し、AWNewYorkの参加者(ITやデジタル広告だけでなくグローバルブランディング企業やそのマーケティング担当者)を意識した”データのアトリビューション分析への活用“取り組みもアピールしました。

 Bback氏はさらにテレビとデジタル計測がつながる時代に企業に対しては「先進的な広告主企業ではもはやテレビとデジタルを別々に語らずに1つの全体的なマーケティングのカリキュラムとして話している」と語り、広告主企業のマネジメントへの意識改革を促しました。

 最後に来年に向けたコメントとして、Facebook のBrad氏は「Peopleベースのプランニングとバイイングです。テレビとデジタルも含めたCross Measurementでしょう。プランニングとバイイングと計測がその上で実現される、そう期待したい」とし、Pinterest のGunnard氏も同調しました。

 GoogleのBaback氏は再度アトリビューションについて「テレビとデジタルを一緒に見ていくことがとても重要だ」とし「(テレビとデジタルの)Cross Measurementのアトリビューションの規模を拡大し実行していく」と来年に向けての展望を語りセッションを締めくくりました。

Googleは何を語ったのか?

 デジタルマーケティングに携わる我々は日頃からGoogleの運用型広告(AdWordsやDoubleclick)とGoogle アナリティクスについての情報や事例に触れる機会が多いです。しかし今回のように、YouTube広告の先進的な取り組みにフォーカスしたセッションや、Uniliverのようなグローバルブランドのデジタルを活用したブランディング取り組みが聞けるのは、ITやデジタルだけでなく幅広く“広告・マーケティング”についての議論が交わされるAWNewYorkならではでした。

 とかく技術やツールの進歩に偏りがちな我々の興味も、それらの情報や技術は広告主のビジネスに具体的にどれだけ貢献できているのか?に主眼を置かねば意味を為しません。IT基盤の上でビジネスを構築してきた企業だけではなく、グローバルブランド企業や国内のナショナルブランド企業が”有効なブランディングの手段“としてのデジタルチャネルを積極的且つ戦略的に活用するまでに広がってきていることを強く意識しました。

 AWNewYorkにおけるGoogleのメッセージ「The Age Of Assistance」。プラットフォーマーとしてのGoogleが、よりマーケティングプロセス全体の意思決定に “Assist”できる具体的なプロダクトと、データ活用の可能性を存分に有していることを感じました。

 たとえば、アッパーファネルを狙った認知獲得やブンランドリフトをアシストすることを可能にする取り組みや、サーチやディスプレイだけでなく動画やテレビも含めたマーケティング全体の“データドリブン”をAssistする。さらにボイス機能や(本記事では取り上げませんでしたが)AR/VRとコマースとのコラボレーションも含め革新的な新しい消費体験の創造を“Assist”していく。今回のGoogleのセッション全体を通じて、そのようなGoogleの強い意志を感じ取りました。

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この記事の著者

山浦 直宏(アユダンテ)(ヤマウラ ナオヒロ(アユダンテ))

アユダンテ株式会社 データソリューション推進統括部 統括部長
チーフエグゼクティブコンサルタント
元立教大学経営学部兼任講師

読売広告社において、事業局、営業局、デジタルビジネス局を経て、ファーストリテイリング、トランスコスモスにて一貫してデジタルマーケティングに従事。2016年よりアユダンテに勤務。 ネット広告の黎明期より一貫して、ネット広告、デジタルマーケティング畑を歩む。アクセス解析には2003年より取組み、解析・コンサルティングの実績多数。2010年よりGoogle アナリティクス360を中心としたデジタルマーケティングコ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/12/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/27629

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