年間PVは500万を突破、コンテンツ制作のポイントは?
コンテンツの制作は、お客様起点のものに徹底的にシフト。“ICT×INNOVATION”をテーマに、ビジネスやテクノロジー情報を届けている「FUJITSU JOURNAL」では、取り上げるネタによって「どうしたらお客様に伝わるか」を考え、見せ方を変化させている。
また、コンテンツの評判を高めるための工夫も欠かせない。その一つに、記事の制作を社員自らが取材・撮影・ライティングする形式にこだわっている点が挙げられる。
「当初は素人同然のチームで、内容も改善が必要なものばかりでしたが、数年が経過した今では、立派な取材チームになってきました。社員ですので、取材許可に時間がかからず、記事化するかどうかの判断も素早くできます」(狩野氏)
事例コンテンツにも注力し、年間150本を目標に制作。映像とインタビューの組み合わせで、動画は2分以内で導入効果やポイントを端的に表現することで、見られるコンテンツに。さらに検索ニーズに対応するため、データでWeb検索トレンドを把握してSEO対策も実施した。
こうした結果、「FUJITSU JOURNAL」が2015年のWeb広告研究会 BtoB部門で優秀賞を受賞。また、2016年度のPV数が500万PVを超えるなど、定性・定量の両面で一定の評価が得られたと狩野氏は説明する。
案件化率52%を叩き出した共創ワークショップスタジオ
デジタルではオウンドメディア上のコンテンツを軸に施策を行っているわけだが、アナログではどうなのだろうか。その答えとして狩野氏は、共創ワークショップスタジオ「Digital Transformation Center」の取り組みを紹介。同氏は今後どう取り組みをさらに強化していくとした。
「Digital Transformation Center」は、デジタル革新に向けた最新ICTを活用したスタジオとして、2016年5月に東京、2017年8月には大阪に開設した。2018年3月には、ニューヨーク、ミュンヘンにも開設していく予定だという。
参加者は、富士通の技術者やコンサルタント、デザイナーといったメンバーと、デザイン思考アプローチを用いたディスカッションをしていく。ワークショップには、顧客と実際に行ったプロジェクトをベースに作られた、9カテゴリー、14メニューが用意されている。

「ディスカッションを通じて、お客様の現状の課題がどこにあるのか、どのようなチャレンジが必要なのかを、デザイン思考アプローチをアレンジしながらお客様に当てはめ、インサイトの掘り起こしを行っています。2017年10月までに660回ほど開催しましたが、そこから52%が案件化し、非常に効果的な取り組みだと考え、海外にも広げていこうとしています」(狩野氏)
富士通3つのチャレンジポイント2:「デジタルマーケティング実践」
続いて、チャレンジポイントの2つ目「デジタルマーケティング実践」について狩野氏は、「シンプルにデータ活用とシナリオ型アプローチに取り組むことが大事」だと話す。

富士通でもプライベートDMPへ、20万人を超える顧客行動データと企業データの集約・一元化を行い、データ分析・活用、シナリオ策定、MAの活用によって、リードを育成し打率を高めていった。
「まずは体制を整えることから始めました。マーケティングや営業、IT部門による組織横断のプロジェクトを立ち上げ、大型イベントとの連動を意識したデータ活用、シナリオ策定、コンテンツなどを検討していきました。
データの分析活用についてアドバイスするとしたら、考えすぎないこと。それとステージ別、進捗別、Webアクセスなどから“見える化”して、自分たちが何を発見できるかを考えてみることでしょうか。弊社の場合は、アカウントベースでいかに情報を上手く使うかということでもう一工夫しています」(狩野氏)
イベントでは、開催前、開催時、開催後で、デジタルデータのまま推移できるようデータを連続して使用。特に開催後のセミナーへの誘導、メール、Webサイトへの誘導、資料のダウンロードの促進など、フォローコールを重点的に行い、営業に引き渡しできるレベルまで顧客を育成していく。
