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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

2017年に最もシェア拡散された国内施策を発表 2018年のキーワードは「賛否両論のデュアル拡散」

“話題性”で瞬く間に情報拡散した「CASH」

 同様に様々な賛否両論の議論によって大きく話題となり、大量のエンゲージメントを獲得したのが、バンクが運営するアプリ「CASH(キャッシュ)」です。

 これは、目の前のアイテムを一瞬でキャッシュ(現金)に変えることができるアプリとして、ローンチ時から凄まじい話題を巻き起こしました。「CASH」に関するエンゲージメントは、「CASH」のローンチに関するニュースなどに対するオーガニックの口コミによるものです。

 その意味では、その他の広告・プロモーションとは毛色の違う事例ではあります。しかし、これほどまでに話題化したことを考えると、ローンチのニュース自体が効果の高いプロモーションとして機能したとも言えます。

 「CASH」の話題が拡大したのは、ローンチ後すぐに利用したユーザーによるSNS投稿などがきっかけでした。ごく簡単なステップで、身の回りのアイテムが即現金化されるという体験が驚きを持ってユーザーにシェア拡散されたのです。

 それに加え、イノベーティブなサービスに対する賞賛やゴミのようなアイテムを撮影しても現金化される仕組みへの疑問、裏に別の思惑があるサービスではないかと怪しむ声などが次々と顕在化しました。

 その結果、賛否両論を巻き起こしながら、とてつもない勢いで情報が波及していったのです。こうしたソーシャルメディア上での話題によって、「CASH」は広告宣伝費をかけることなく、広くサービスが認知され、利用されることにつながっていったのです。

2018年は、批判を恐れないコミュニケーションが拡大

 2017年のランキングでも特筆すべき事例であるこのレッドブルとCASHに共通するのは、話題についての賛否がデュアルに拡散している点です。ここでは単にエンゲージメント数という定量的な計測のみなので、これらのコミュニケーションがブランド活動として本質的に有効であったかどうかまでは言及できません。

 しかし、ソーシャルメディア上での高いエンゲージメント数に比例して、商品、サービスの熱烈なファンを獲得していることは間違いないと思われます。昨今の事例を紐解くと、熱狂の裏には必ず相応の“批判”が生じていることがわかります。

 昨今の様々な炎上の中には、ブランド価値の毀損につながりかねない事例もあり、企業のコミュニケーション設計には引き続き細心の注意が必要です。ただし、先に説明した通り、批判が一切起こり得ない、“誰に対しても良い顔をする”施策が必ずしも良い施策とは限りません。

 ブランドの資産となるコアな応援者を獲得するためには、時に、一部からの批判を受けることを見越しながらもコミュニケーションをとっていくことが必要になっていくのではないでしょうか。「全員に好かれようとするのではなく、熱狂的なホンモノのファンを形成する」、2018年はそうしたことを主眼として思い切った国内事例が増えていくのではないかと予測しています。

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この記事の著者

物延 秀(モノノベシュウ)

スパイスボックス 副社長。2006年スパイスボックス入社。プロデューサーとして大手企業のデジタル・コミュニケーションをワンストップで支援し、2012年以降はソーシャルメディアを中心とした「共感」と「話題」を生むコンテンツのプランニングとプロデュース、自社ソリューション開発を統括。2016年に事業統括責任者および執行役員に就任。2017年より現職。自社サービス:インフルエンサーマーケティング支援「TELLER」、コンテンツマーケティング支援「BRAND SHARE」、ROI分析プラットフォーム「THINK」、自社メディア:「newStory」自著:『新ヒットの方程式』~ソーシャルメディア時代は、「モノ」を売るな「共感」を売れ!~(宝島社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/01/23 09:00 https://markezine.jp/article/detail/27751

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