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サイト内検索はなぜ「接客」なのか 三井不動産とZETAが取り組む大規模O2O施策の根幹に迫る

売り場作りに生かす「&mall」のランキングデータ

 三井不動産が検索を重視したのは、ファッションECのヘビーユーザーだけでなく、ららぽーとのようなモールに直接来る顧客に対し、わかりやすい接客と案内をするためだ。そこで、検索窓にフリーワードを入力して商品を探すやり方だけでなく、トップページでのランキング情報の表示にも工夫を凝らした。

 黒岩氏は、何が売れているかをお客様に気づいてもらい、「&mall」の商品内容や価格感をつかむきっかけを作りたいと考えたという。

 「お客様がECモールで何度か商品を見て、買いたいと思ってカートに入れたとします。この時、実店舗の店員であれば、お客様がトップスの購入を決めたら、同じブランドのボトムスもお勧めするような提案をごく自然に行っているはずです。同じように、サイトでもコーディネートから「ついで買い」したくなる動線を作りたかったのです」(黒岩氏)

 サイト内検索エンジンは、販売力の高い店員と同じ役割を期待されているのだ。

 さらに、ランキング情報は、施設側のVMD(Visual Merchandising)にも役立てているという。VMDとはモールの中の通路や広場に展示するものだ。「施設全体での売れ筋のカテゴリーや売れている商品を統合的に把握できるようになりました。他方で、ショップ単位のランキングを掲載すれば、VMDでの展示にも役立てることができ、季節ごとの商品トレンドをお客様に知ってもらうことができます」と黒岩氏。

 400店舗超が入居しているららぽーとTOKYO-BAYのような規模になれば、1人が一度の来館で立ち寄る店舗は10から12店舗で、ほぼ固定している傾向があるのだという。実際に買い物をするのはその中の2、3店舗に絞られるとすれば、ZETA SEARCHに基づくVMDでの展示は、普段行かない店舗に行くきっかけ作りに役立つはずだ。

 「オープンしたばかりのころは、どんな商品を扱っているかを理解してもらうため意図的に集約していましたが、現在では『ファッション』『コスメ』など、需要に合わせたカテゴリー別のランキングを見せています」と黒岩氏は話した。

実店舗とECのトータルな成長にサイト内検索が貢献

 ランキングデータの表示は、ZETA側がカスタム開発で提供しているものだという。三井不動産としては、実店舗に来て商品を探してもらいたいし、ネットで検索して見つけてもらった商品を置いている店舗に行きたいとも思ってもらいたい。「&mall」での検索体験の設計では、三井不動産の商品提案への思いがしっかりと反映された。

 ZETAの中川氏は、「レコメンドエンジンではなく、検索エンジンで商品提案ができることが、三井不動産様のモールの構想とうまくマッチしたと思います。また、実店舗とECサイトとの連携を進めていきたいという三井不動産様の思いにZETAが貢献できると思いました」とZETA SEARCHが導入前を振り返った。

 米国と比べると日本は商圏が狭く、実際に出かけて商品を見て試したいと考える消費者が多いという特徴がある。「新しい商品との出会い」は、実店舗だからこそ実現できることもある。けれども、ECサイトを運営している企業の中には、実店舗を管轄する部門とECを管轄する部門が異なり、部門間で競争しているケースもある。

 「ECを強化することで、逆に実店舗での売上が減ることを懸念しているわけですね。三井不動産様の場合、実店舗でもECでも売上としては同じ扱い。会社全体としての成長を重視されているために、今回のお取り組みが実現しました」(中川氏)

 ZETA SEARCH導入後も改善は続いている。検索結果の表示内容については、省略文字を使うケースもあるため、読み替えのための辞書に追加したい項目が日々発生するのだという。

 出張氏は、「キーワードの検索についてはまだまだ磨けます。三井不動産様には他にも実現したい機能がたくさんあるとうかがっています。引き続き、ショップの絞り込み、音声検索、スマートフォン利用時のUI、位置情報の活用など、新しい機能を積極的に実装していきたいと考えています」と今後の改善の方向性について語った。

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続く最適な在庫連携への取り組み

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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MarkeZine(マーケジン)
2018/02/27 12:08 https://markezine.jp/article/detail/27781

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