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パートナー選びで変わるSNS運用 成果を出すためのチーム編成に迫る

 国内SNS利用者数が月間で28万人も増えている現在、「SNSマーケティングのポテンシャルはまだまだ広がっている」と語るのは、コムニコ取締役の長谷川直紀氏。これから本腰を入れる企業は急ぎ着手すべきなのはもちろん、運用中だが手応えがないという企業には、取り組みを見直すタイミングだといえる。ソーシャルメディアの黎明期から約10年にわたり、企業のソーシャルメディアマーケティングを支援してきたコムニコにSNS運用について聞く本連載、後編では社外を含めた効果的なチーム編成について掘り下げる。

内製でSNSを運用する際の課題とは?

MarkeZine編集部(以下、MZ):前編では、2017年のトレンドを踏まえて、目的に適したSNSの選び方、効果測定の考え方などを解説いただきました。その中で、組織体制についても話が挙がりました。会社の規模にもよりますが、SNS専任担当を置いている会社は多くないようですね。

株式会社コムニコ 取締役COO 長谷川直紀氏シニアアカウントディレクター 広瀬俊也氏
左より、株式会社コムニコ 取締役COO 長谷川直紀氏
同社 シニアアカウントディレクター 広瀬俊也氏

長谷川:そうですね。でも、兼任の担当者や部門であっても成果を上げている例はたくさんあります。ポイントは前回お話したことと関連しますが、可能ならメイン担当者にはSNSを使い慣れた若手、サポート役として社内に顔が利く人を任命すること。それから属人的な運用にならないようにノウハウを可視化していくことが重要です。

広瀬:社内異動や退職などで担当者が変わることも考えて、誰でもわかるマニュアルを整備し、効果的な運用方法や万が一トラブルが起きた際の対応なども明確にしておくのもお勧めです。

MZ:確かに、担当者変更の問題は大きいですね。今回はそうした部分を踏まえて、社外を含めた最適なチーム編成の考え方をうかがいたいと思います。まず、SNSを内製で運用する企業に多い課題を教えてください。

長谷川:投稿ネタが尽きてしまうことですね。SNSは中長期に運用することが大前提で、そのためには社内外から様々なネタを探す必要があります。しかしながら、兼任で時間がなかなか取れないという方だとネタ探しの段階でかなり苦労するケースが多いようです。

質の高いコンテンツを作り続ける負担を軽減

MZ:毎日更新とまではいかなくても、週に何本かは用意しないと、どのSNSであっても廃れてしまいますね。

広瀬:そうですね、せっかくアカウントを持っていても、ファンへのメッセージ(投稿)が届かなければ意味がありません。実際、ネタが尽きて更新が止まってしまっている企業アカウントもよく見かけます。ネタ探しに困る以外にも、KPI設定や評価の方法があいまいで現状の運用が正しく評価できず、更新するモチベーションが続かないという理由もあると思います。

MZ:裏を返せばコムニコさんをはじめ、外部のパートナー企業を交えてチームを組むメリットとしては、今挙がった投稿ネタの企画サポートや正しい評価・分析が提供できるということでしょうか。

長谷川:確かに、それらはパートナー企業と組むべき理由としてよく挙げられます。SNS運用を「企画」「投稿」「分析」の3段階に分け、それぞれにパートナー企業を使うメリットを見てみましょう。

 まず企画段階のメリットは、コンテンツを継続的に創出できる点です。特にSNS運用支援専業の会社だと、質と量の両方でコンテンツ制作に慣れているので、この点だけで担当者の負担が大幅に減ると思います。

 また、外部の視点だからこそ、新たな投稿ネタの切り口を見つけてくれる可能性を秘めています。外から見るとおもしろい情報でも、社内では意外と見落としがちですから。

MZ:確かに、視点が複数になるだけで、発想が広がりそうですね。

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パートナー企業のノウハウがアドバンテージに

MZ:「投稿」段階ではいかがでしょうか?

長谷川:SNSの仕様変更をすぐにキャッチアップして、投稿に活かせることが大きなメリットです。例えばTwitterにて文字数のカウントの仕方が変わるなど、SNSは仕様変更が頻繁に起こるので、これらを把握していないと計画通りに運用できなくなってしまいます。

MZ:SNSはタイムリーな更新が大事ですが、仕様変更を把握していないと、効果的な投稿につなげることができないということでしょうか。

広瀬:そうですね。パートナー企業が各プラットフォームと密に情報を共有して、常に最新の運用環境を整えていることが重要です。

 「分析」の段階に関しては、先ほどお話しした正しいKPI設定や評価の部分が大きいですね。担当者の中にはSNS運用に初めて携わる方も多いと思いますが、パートナー企業に実績があればあるほど、どういったKPI設定が有効なのか、どんな評価をすれば効果が上がっていくのかのナレッジがあるので、それらを利用できると相当なアドバンテージになると思います。

MZ:なるほど。そういったアドバンテージがあると、冒頭お話しいただいた自社でノウハウを可視化したり、マニュアルを整備したりといったこともスムーズにできそうです。これをゼロから作るのは大変ですよね。

広瀬:大変だと思いますね。実際、そうした部分で苦労されて、当社にご相談いただくこともあります。SNSマーケティングはどの企業にも開かれた手法です。一方で、効果を得るには高度かつ専門的なノウハウが必要なので、プロの力を借りながら自社にナレッジを貯めていくのが近道だと思います。

パートナー選びに求められる3つのポイント

MZ:では、具体的にどういった観点でパートナー企業を選べばいいのでしょうか?

長谷川:チェックすべき点は、主に3つです。1つ目は、先ほど広瀬の話にもありましたが、実績です。支援している企業が多いほど、また業種が幅広いほど運用のノウハウが高いので、それだけ自社に合った方法でサポートしてもらえるはずです。

 2つ目に、ネット広告全般を扱いながらSNSも支援しているという会社より、SNS運用支援専業の会社が望ましいです。実績も厚く、各プラットフォームとの関係も密に取れていることが多いですから。

MZ:確かに、その関係性は外部のパートナー企業を入れる理由にもなっているわけですから、重要ですね。

長谷川:実績と合わせて、そうした部分も確認するといいと思います。

 3つ目は、コンサルタントの質です。内製で運用していると投稿内容が属人的になりがちで、担当者が変わると運用のトーン&マナーも変わってしまったり、投稿のクオリティが崩れてしまったりすることもあります。一定以上のパフォーマンスを出すために外部のパートナー企業と組むのに、組んだコンサルタントの運用が属人的だと意味がないですよね。

 そのため、質の高い運用ができることは前提として、コンサルタントが変わってもそのクオリティが変わらないかどうか。言い方を変えれば、コンサルタントの教育がしっかりしているかどうかをぜひ確認してほしいと思います。

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“ワンチーム”になることが効果を引き上げる

MZ:ちなみに御社でも、コンサルタントの教育に力を入れているのですか。

長谷川:もちろんです。当社では主に2つのアプローチで、コンサルタントのスキル向上と均質化に努めています。1つは社内研修制度の充実です。各プラットフォームの基礎知識や広告の仕組み、モニタリングの仕方や炎上を防ぐ方法まで教えています。

 もう1つは、コンサルタントに検定制度を受験させることです。弊社は、一般社団法人SNSエキスパート協会を立ち上げて、SNS運用を学べる機会を提供しているのですが、当社のコンサルタントは同法人の「SNSエキスパート検定」上級を全員合格しています。

MZ:コンサルタントの方の実力を底上げする取り組みが進んでいるのですね。では御社から見て、企業とどのような関係を築けると成果が上がるかを教えていただけますか?

広瀬:理想的なのは、“ワンチーム”になることです。そのためには、商品やキャンペーンの情報など、SNS運用に関係する社内の最新情報を密に共有いただく必要があります。これらをクライアントと同じレベルで把握できているかは運用のクオリティに直結するので、スピード最優先でメッセンジャーなどを使って頻繁にやり取りすることもあります。

 また、ご提案した納品物に対するフィードバックも大事ですね。フィードバックを細かくもらいながら精度高く改善を積み重ねることで、成果も上がりやすくなると思います。

SNS運用は“筋トレ” 続けられる体制が重要

MZ:今、既に外部のパートナー企業と組んで運用している企業も多いと思います。その中で成果に行き詰まりを感じているとき、パートナーを見直すべきかどうかの判断基準などはありますか?

広瀬:効果が上がらないときの対応が、1つの観点になると思います。例えば改善策を出し、実行してくれるか。目標やKPIを柔軟に見直す姿勢があるか。上長(社内)に報告しやすい形でレポートしてくれるかなどですね。

 また、これは初めてパートナーを選ぶ際にもいえますが、自社の目的に対する考えに寄り添った提案ができるかがポイントです。例えば「長期的にユーザーとエンゲージメントを築きたい」と思っているのに、パートナー企業がバズを狙った短期施策を提案してくる状態だと、どうしてもズレが生じます。

MZ:確かに、その方向性をちゃんと理解してくれるかどうかは重要ですね。さて、2回にわたり、SNS運用のポイントと理想のチーム編成についてうかがってきました。最後にこれからSNSで成果を出したい企業の皆さまへアドバイスをいただけますか?

広瀬:SNSは短期的な成果を狙うのではなく、質の高いコンテンツ、役立つコンテンツを丁寧に発信し続けることでファンとの距離を少しずつ縮めていくものです。そのためには運用する現場のモチベーションが重要なので、成果を可視化して、ちょっとした成功例であっても社内で共有するなど、チーム外の人からも応援してもらえるような工夫も必要ですね。

長谷川:SNS運用は筋トレみたいなもので、数日休むと一気にリーチが落ちてしまうこともあるため、継続できる環境と体制づくりが肝心です。

 弊社はフルパッケージでサポートすることもあれば、コンテンツ企画やレポーティングなど、一部のご支援も可能です。また、内製で進める場合も「コムニコ マーケティングスイート」というツールで運用における工数削減のお手伝いもできますので、SNSに関することはなんでもご相談いただければと思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/02/08 11:00 https://markezine.jp/article/detail/27814