DMとメール配信は3日くらい空けるのが理想
――DMとメールの配信のタイミングはどう計画しましたか?
五十嵐:DMの投函は12月18日、メール配信は12月20日でした。おそらく翌日の12月19日にほとんどの人の手元に届いているはずです。DMのデザインに悩んだことが影響し、12月の曜日の並びの関係で、年末年始にかかってしまいました。
鈴木:DM到着とメール配信には、できれば3日ぐらい間を空けたかったのが正直なところです。
今回は時間の制約でできませんでしたが、DMの印刷でも、設定次第で、宛先やクリエイティブ要素、レイアウトを自由に変えることができます。Webと同じように、個人宛に自動的に全部カスタマイズして送ることもできるので、次回以降に試してもいいかもしれません。コンテンツだけでなくタイミングも個人単位でカスタマイズすることが、将来的に目指すべき方向性になるでしょう。
――DMを受け取った人向けのランディングページはどんなものにしましたか?
五十嵐:イベント申し込み登録のページに直結させてもよかったと思っていますが、インセンティブ提供のために、資料のダウンロードページにしました。
この機会に訴求したいこともありましたし、何のインセンティブもないと申し込みのページにアクセスしてもらえないかもしれないと思ったのです。ファーストビューでイベント申し込みのバナーがあってもよかったかもしれません。
鈴木:メールの中には申し込みページへのリンクがあるのですが、DMの場合は申し込みに至るまでに資料のダウンロードページを経由する必要があり、導線に違いが生じました。対照実験としての厳密性という意味では、本来はどちらかに合わせた方がいいですね。
DMとメールの組み合わせでイベントの申し込みは2倍に
――実験の結果はどうなりましたか?
五十嵐:評価指標は「メール開封」「Webサイトへのアクセス」「イベント参加申し込み」「イベント参加」の4つです。イベントは2月1日に開催予定ですから、最終評価はこれからになります。
年始の1月4日に確認したところ、CVRである「イベント参加申し込み」率は、メールだけを送った昨年が9%だったのに対し、今年は全体では10%と大きな違いはありませんでした。
ところが、各グループの内訳を見ると、メールだけを送ったグループが9.18%なのに対し、DMとメールを両方送ったグループは17.8%、DMだけを送ったグループは4.8%となりました。DMとメールの掛け合わせによる申し込み増加が顕著だったのです。
その後も受付を続けましたが、今年は席数を増やしていたにもかかわらず、イベント2週間前に申し込みを締め切らなくてはならなかったほどでした。
鈴木:この結果はほぼ予想通りでした。BtoBかBtoCかを問わず、様々な企業と実験してきた経験からいって、DMとメールを組み合わせると効果は最低でも倍になることがわかっています。
ただし、結果を出すには順番が大事です。最初にDMを送り、その後1週間以内にメールを送るのが最も効果があります。
なぜかと言うと、メールの内容は忘れてしまっても、DMは1週間程度なら覚えているからです。覚えているところにメールが来るので効果がでます。逆ではダメなのです。
それから、DMの場合、QRコードを読ませないといけないところが面倒ですが、後から来たメールにリンクがあれば、クリックだけで済む。アナログの良さは、手元に残ることで効果が持続することなのです。効果が続いているところに、アクションが容易なメールが届くと、一気にCVが進みます。
――中間指標の結果はいかがでしたか?
五十嵐:中間指標である、ランディングページへのアクセス率は、メールだけのグループが27%なのに対し、DMとメールを両方送ったグループは47%でした。一般ユーザーに送っているわけではないため、元々アクセス率はかなり高く、メールだけを送った去年も40%弱ありました。
鈴木:DMを組み合わせると申し込みが倍近くになるのは、DMが単にアクセスを量的に増やしたというだけでなく、質的にも改善したからではないでしょうか。DMを受け取ってランディングページにアクセスしたセグメントは、気軽にアクセスしたというより、意思を持ってアクセスしているのかもしれません。正確なところは、アンケートを採って検証する必要がありますが、十分に考えられることです。