テレビCMとLINEの併用で、フリークエンシーを最適化
資生堂は、LINE Ads Platformより、複数のメニューを活用している。では、具体的にどのような施策を展開しているのか。中條氏は、詳細な事例紹介に入る前に、資生堂が抱えていた課題を説明した。
「我々が課題視しているのは、テレビCMの成果として予想されるフリークエンシーの平均予測値と実際の数値に乖離があることです。またテレビCMでは、狙っているターゲットへのフリークエンシーを得ることが難しくなってきていることも感じていました」(中條氏)
そこで資生堂は、テレビCMとLINE Ads Platformを組み合わせることで、ターゲットに対してのアプローチを最適化に挑んできた。詳細な施策の内容は以下の3つだ。
1:テレビCMでのリーチがゼロのセグメントに対して、デジタル上で接触を図り、リーチする。
2:テレビCMだけでは態度変容まで及ばないセグメントに対して、デジタルからさらなる態度変容を促す。
3:テレビCMで過剰に接触してしまうセグメントを減らすために、デジタルを組み合わせてアロケーションを最適化する。

テレビだけ、デジタルだけと個別に最適化するのではなく、生活者に対して複数のメディアを活用して最適化を図りながら、態度変容を最大化するメディア設計となっている。
資生堂は、基本的にプロモーションではテレビCMを全国均一に投下しているにも関わらず、エリア別・年代別で態度変容に差が出てくる。テレビCMのみではフリークエンシーが獲得できていない性年代・エリアに向けて、LINE Ads Platformのセグメント配信を行うことで、より効果的にフリークエンシーを高めていくのだという。
メディア最適化という考え方から卒業したい
気になる施策の結果について、中條氏は次のように説明した。
「男女別で数字に違いはありましたが、テレビCMではリーチできなくても、LINEではリーチできる層が存在することがわかりました。よって、テレビCMでリーチできないセグメントにLINEでリーチするという目的の一つは果たせました。また、テレビCMとLINEで十分な態度変容を図るという目的に関しても、昨年実施した施策では一定の目標が達成できたと考えています」(中條氏)
中條氏のコメントを受け、池端氏は「LINE Ads Platformで一定のリーチ補完ができることは確信している。今後は、接触する回数などを分析しながら、最適な態度変容が生まれる方法を探っていきたい」と話した。
最後に中條氏は、資生堂が目標としている“これからのコミュニケーションの在り方”にも言及した。

「ブランドを起点にコミュニケーション活動を行い、各メディアで最適化する。我々はどうしても、このようなブランド起点の発想に陥りがちですし、仕事もこの発想に基づいて進めてしまいます。
しかし実際は、テレビ視聴者・LINEユーザーが個別に存在しているわけではありません。一人の生活者がテレビも見るし、LINEも使うし、店頭で商品を見ることもあるんですよね。なので、生活者起点で想像しながら、メディアの最適化ではなく、生活者目線でフラットにメディアを捉えていきたいです」(中條氏)