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MA・SFAはBtoBマーケの「部品」にすぎない。日本のマーケと営業が「気合」を卒業するために必要なこと

KDDIが挑む法人マーケティング組織変革 全ての基本は価値の再定義とコミュニケーション設計


強いリーダーに必要とされる資質

山田:デジタル変革を推進する役割には、マーケティング、テクノロジー、組織マネジメント、リーダーシップなど、たくさんのスキルや経験が必要になると思います。すべての要件を満たす人材を見つけることは難しいのではありませんか。

中東:外資系企業でマーケティングを専門にしてきた人は限られるでしょう。でも、すべての点で優れている必要はないと考えています。業界や商品のことをあまり知らなくても、知っている人に任せればいいだけですし、組織のマネジメントのポイントを自分で考え、明確に示すことの方が大事だと思います。

 わからないで思考停止するのではなく、やることを決めてやってみて、失敗したら修正することの繰り返しなのだと思います。失敗しても続ける先に成長がありますし、セミナーに行ってその通りにやってみればすぐ成功するほど甘くはありません。

 その意味では、失敗を過剰に恐れる人が日系企業には多いのかもしれません。失敗したら、昇進に影響するのかもしれませんが、部下に新しい提案を求めるのならば、上司も挑戦することが重要ではないでしょうか。

山田:私たちが一緒に仕事をしている強いリーダーに共通しているのが、「とりあえずやってみよう」「できる方法を考えてみよう」というスタンスです。全部をうまくやろうとする人とやらないことを割り切れる人で二極化していますね。

中東:失敗のコントロールができればいいのだと思います。ソフトウェア開発と同じで、最初から大きな成功を目指すよりは、試行錯誤を繰り返して最終的に成功につながればいいわけです。最初は失敗するでしょう。失敗の回数は増えるでしょう。でも小さな失敗を早くたくさん経験することで、ノウハウを蓄積でき、成長速度は早まります。

山田:外資系企業と比較すると、日系企業は開発や営業ではリーダーシップが確立しているように見えます。でもマーケティングに関しては、リーダーシップを求められていたことすらなかったのではないでしょうか。

中東:マーケティングとプロモーションの区別がついていないこともあるのが日系企業における最大の問題です。広告を出すことは代理店に任せられるので、プロモーションではリーダーシップはあまり求められないこともあったかもしれません。自分たちの活動を自分たちで小さく限定しているのがもったいないです。

 チームメンバーによく言っているのが、「マーケティング部はマーケティングのプロなのだから、マーケティング部を社内でマーケティングすればいい」ということです。言い換えると、マーケティング部門のステークホルダーは誰か。それぞれにどんな価値を提供するのか。その価値を生み出すにはどうしたらいいのかを明らかにすることです。

 やはり重要なのは、価値の再定義と、ステークホルダーに価値を理解してもらうためのコミュニケーションだと思いますね。

今後のビジョン

山田:最後に、現在取り組んでいる最も大きな課題や次のゴールはどのように設定しているかを教えてもらえますか。

中東:具体的なことは言えませんが、マーケティング部門の変革はほぼ終わりつつあり、KDDIの法人事業全体の変革に取り組んでいく予定です。KDDIの法人マーケティングの在り方について、上層部と一緒に考えている最中です。

 KDDIは非常に大きな会社ですが、残念ながら現時点ではデジタル変革に挑戦している企業のサポートをしていると認識して頂いていません。しかし、3〜5年後にKDDIは変わったと認識してもらえるよう、KDDIが企業のデジタル変革のパートナーになるために、何をすればお客さまに選ばれるかを考え、そのための価値を創出するのが私のミッションになります。

 そのためには、コミュニケーションが不可欠です。社内でコミュニケーションを一番考えているのはマーケティングであり、その権限を持っているのですから、上層部から期待されていることを地道にかつダイナミックにやっていきたいですね。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/05/17 16:23 https://markezine.jp/article/detail/28008

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