完全新作かつ知名度の高い作家で企画を進める難しさ
――広告媒体で既存のコンテンツではなく“新作の”漫画を発信するというのは、あまりない取り組みだと思います。そもそも、今回のコラボレーションはどういった経緯で始まったのですか?
綱島:弊社とスクウェア・エニックス様との初めての取り組みは、2013年12月に開催されたコミックマーケット85に合わせたキャンペーン展開でした。会場アクセスの途中にある主要駅の店舗で限定イラストを使用したノベルティを配布し、限定グッズも販売しました。
鮫島:それ以来取り組みを続けている中で、綱島さんから「『NewDaysビジョン』で、漫画を使って何か新しくて楽しいことをやりたい」とのお話がありました。そこで「マンガUP!」の編集部にこの話をしたところ「おもしろいからやりましょう!」と快諾してもらえたので、実現へと進んだ形です。
――約4年前から、NewDays店舗とのコラボレーションを手がけていたことがきっかけで今回の施策が実現したということですが、プロジェクトはどのように進んだのでしょうか?
鮫島:「NewDaysビジョン」で、スクウェア・エニックスの作品を使ったプロモーションを実施するというところまでは話がとんとん拍子に進みました。しかし、放送するコンテンツを既存作品から持ってくるのか、完全新作でコンテンツの作成から取り組むのかを検討するのに、1ヵ月ほどかかりましたね。
三神:「マンガUP!」では、既存と新作を含めて、常時100タイトル超の作品を公開しています。当たり前ですが完全新作となると、作者を見つけて企画するところから始まります。既存のゲーム・小説などの原案があるものをコミカライズするより、ハードルは高くなります。
今回の取り組みは、大きなプロジェクトであることと話題性も狙えることから、完全新作かつ知名度のある作家様に依頼し「異世界コンビニNewDays」をなんとか企画・実現できました。
綱島:かなり頑張っていただいて、完全新作を使った新しいコラボレーションを実現できた時には、スクウェア・エニックス様のコンテンツメーカーとしての心意気を感じました。
鮫島:当社はゲームのタイトル開発や漫画、攻略本などを制作して世に送り出すことをビジネスにしています。ですから、常に新しくおもしろいものを作りだしたいと考えているスタッフばかりなんですね。
――思いが強かったとはいえ、完全新作で企画を進めるとなると、相当の時間がかかるのではないですか?
三神:今回の企画が始まったのは、2017年の2~3月頃でした。通常、完全新作を制作するとなると、実際にコンテンツを掲載できるまでに1年以上の期間を要します。
鮫島:「マンガUP!」は2017年1月にリリースしました。実は、コンテンツも拡充してくる11月頃のタイミングで、テレビCMを含めた大規模なプロモーションを行う計画がありました。そこで、そのプロモーションの一環として、社内で話をまとめて実現にこぎつけました。これが単なるコラボレーション企画だったら、実現は難しかったと思います。
反響はいかに? UUやDL数などの施策結果
――2017年12月に、「NewDaysビジョン」と「マンガUP!」で完全新作の4コマ漫画の掲載を開始されました。反響はいかがでしたか?
綱島:やはりこういったプロモーションで完全新作の漫画やアニメを扱えるケースは滅多にないので、我々がお取引している広告代理店の方からよく聞かれましたよ。「どうして、あんなことができたの?」って(笑)。それから社内でも、漫画やアニメ世代の若手に好評でした。
鮫島:現在「異世界コンビニNewDays」の総ユニークユーザー数は6万4,000人以上で、約1万1,000人の方にブックマークに入れていただいています。他の4コマ漫画に比べても、倍近い数字です。
12月は、平行して他のプロモーションも行っていたので正確な数字は掴めませんが、放映のタイミングでアプリのダウンロード数も伸びました。ユーザーからは“異世界”と“NewDays”の組み合わせが新鮮という声が数多く寄せられたことから、反響の大きさは感じました。
綱島:プレスリリース後の掲載実績は、ネットニュースを中心に8媒体でした。Twitter上のツイート数は360件(2017年12月8日~2018年2月6日)、表示件数は114万件以上で、通常の3~4倍です。
また、スクウェア・エニックス様によると「異世界コンビニNewDays」の公開初日の閲覧者数は18,790人、現在では11万人を超えているそうです。他の4コマ漫画では、公開初日の閲覧者数は50~5,000人程度であることから「NewDaysビジョン」の首都圏JR105駅192台のサイネージネットワークで放映したことが効果的であったのだろうと自負しております。
そして今回の企画では、「NewDaysビジョン」の魅力度を十分に引き上げることができたと思います。スクウェア・エニックス様にとっても「マンガUP!」の認知拡大、新規ユーザーの獲得に加えて、ブランディング施策としての効果も発揮できたのではないでしょうか。