NVIDIAのCEOが25年創造し続ける「エクスペリエンス」
米国時間の3月27日から29日にかけて開催された「Adobe Summit 2018(以下、サミット)」。Adobeが今年のサミットでテーマとして掲げたのは昨年と同じく「Make Experience Your Business(エクスペリエンスビジネスの創造)」だった。そして同社は、エクスペリエンスビジネスの創造を主導するリーダーを「Experience Maker」と表現した。
では、「Experience Maker」とは一体どのような役割を果たす人物なのか。そもそも、Experienceの創造とは一体何なのか。先行事例はどこにあるのか。
「Experience Maker All-Star」と題し、複数のExperience Makerたちが登壇したサミット2日目の基調講演には、これらの疑問に対するヒントがあった。本稿では、Experience Makerの代表として登壇したリーダー達によるExperienceの考え方を紹介していく。
基調講演の冒頭に登場したのは、アドビ CEO シャンタヌ・ナラヤン氏と、NVIDIAの創業者でありCEOであるジェン・スン・フアン氏。NVIDIAは、コンピューティングテクノロジーの領域においてリーダーシップを発揮している企業で、近年のAI飛躍の火付け役でもある。
今回のサミットで戦略的パートナーシップを発表したAdobeとNVIDIAだが、ジェン氏とシャンタヌ氏は友人でもあるそうだ。そんな2人の対談は、楽しく時には冗談も交えながら進んでいった。
NVIDIAが創業したのは1999年。まだWindows3.1が出てきたばかりで、ゲームの市場も非常に小さかった頃だ。後にコンピューターグラフィックやPCゲーム市場の急成長を担うことになるNVIDIAだが、この当時からジェンは「いつか、みんながゲームを楽しむ日が来る」と思っていたという。
時代の変化に伴い、テクノロジーが急速に発展すると、コンピューティング、PCゲームの市場は劇的に変化していく。これと並行したった3人からスタートした会社も拡大。世界有数の半導体メーカーへと成長を遂げた。
25年前、まだ市場が小さかった時からゲームによるExperienceの創造に取り組んできたジェン氏。彼の先見の明は、驚きに値する。そして同氏は、これからExperienceの創造に挑戦する人々に向けて、次のようなアドバイスを示した。
「自ら腕をまくり上げ、Experienceの創造に挑むためには、まずテクノロジーの発展を理解しなければなりません。これから成長していくテクノロジーの力や、その業界の人達を巻き込んで、一つひとつ階段を上るように会社を成長させていくのです」(ジェン氏)